毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 地火明夷 二

2022年7月21日

明夷 九三 ・・・ |・|

九三。明夷。于南狩。得其大首。不可疾貞。
□九三。明(めい)夷(やぶ)る。于(ゆ)きて南に狩(かり)す。其(そ)の大(たい)首(しゆ)を得(う)。疾(はや)くす可(べ)からず。貞(てい)。
 義勇に富む九三は、離(明)の極みに居る。暗黒の時を支配する正応上六を討伐すべく、南方(明らかな方面)に兵を進めて、首(しゆ)領(りよう)上六を討ち取る。急いではならぬ。大志と大義を掲(かか)げて、時の到来を待つのである。
象曰、南狩之志、乃得大也。
□南に狩(かり)すの志、乃(すなわ)ち大いに得(う)る也。
 九三の大(たい)志(し)は、南方に兵を進め、首領上六を討ち取って、大いに成就する。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)運盛ンニシテ大事業ヲ起スノ時ナリ、我智ヲ以テ彼ノ智ヲ開クノ時ナリ、其事業ハ南ニ向始ルヲ宜シトス、然ルトキハ大利益ヲ得ベシ、然レドモ・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)暗黒の時に、氣運盛んに大事業を起こす。自分の智恵を用いて、相手の智恵を開く時である。
○事業を起こす際には南に向かって始めるがよい。その場合は大きな利益を得る。一気に進めてはならない。少しずつ進めるのである。
○暗黒の時代の中で明るさが見え始め、災難を回避できる時である。
○(時を待って)進んで行けば、被害を取り除くことができる。
○(時が至れば)暗君を討伐することができる。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治十六年、某商人來リテ、氣運ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、明夷ノ第三爻ヲ得タリ、…
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例)明治十六年、ある商人がやって来て、氣運を占ってほしいと頼まれたので、筮したところ明夷の三爻を得た。
 易斷は次のような判断であった。
 明夷は、日が没して暗い夜が始まる暗黒の時。賢者が愚者に潰され、善人は悪人に迷惑を被る。今回占って三爻が出た。いつも自分を邪魔している者を討伐して退治する時。南方面に向かって、存亡をかけて商機を窺い、相場を制して、大金を勝ち取る。
 このことを「九三。明(めい)夷(やぶ)る。于(ゆ)きて南に狩(かり)す。其(そ)の大(たい)首(しゆ)を得(う)。義勇に富む九三は、離(明)の極みに居る。暗黒の時を支配する正応上六を討伐すべく、南方(明らかな方面)に兵を進めて、首(しゆ)領(りよう)上六を討ち取る」と云う。周王朝を立ち上げた武王が滅びゆく殷王朝の暗君・紂王を討伐した時に例えられる。
 貴方を邪魔する者に対しては、寛大に振る舞って油断させ、じっくり待って好機を捉え、確実に討伐すべし。このことを「疾(はや)くす可(べ)からず。貞(てい)。急いではならぬ。大志と大義を掲(かか)げて、時の到来を待つのである」と云う。
 その後、その商人は勝機を捉えて相手を倒したと云う。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例二)明治二十七年八月廿六日、平壌進軍ヲ占ヒテ、明夷ノ第三爻ヲ得タリ、乃チ之ヲ某氏ニ贈ル、・・・