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時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)7

六.内部分裂する時

 次は「内部分裂する時」の物語である。人間が集まって組織を作れば「内部分裂する時」がある。どんな組織(一番小さい組織は家庭や友だち関係、それが大きくなると親睦団体や学校や会社や地方自治体となり、一番大きな組織は国家である)にも「内部分裂する時」がある。「あなた(わたし)」が属する組織にも「内部分裂した時」があったはずだ。あるいは、これから「内部分裂する時」が来るかもしれない。いつも「内部分裂している」組織もあるだろう。
 「内部分裂する時」の物語。主人公は「あなた(わたし)」である。

 わたしは地方の旧家の今時珍しいほどの大家族に嫁いだ専業主婦である。嫁いだ時の家族構成は夫(三十歳)の祖父(八十五歳)と祖母(八十二歳)、夫の両親(父親五十五歳、母親五十歳)、夫の弟(二十五歳)と妹(二十三歳)、そして、わたし(二十五歳)の八人家族であった。一年後、わたしの長男が、三年後長女が産まれて十人家族となった。
 以上を整理すると次のようになる。
 夫の祖父(八十八歳)、祖母(八十五歳)、父親(五十八歳)、母親(五十三歳)、夫(三十三歳)、わたし(二十八歳)、夫の弟(二十八歳)、妹(二十六歳)、わたしの長男(三歳)、長女(一歳)。
 大家族の実権は夫の祖父と祖母が握っており、夫の父と母は祖父と祖母に柔順に従っている。その権力は圧倒的で誰も祖父と祖母に逆らう者はいないが、あまりにも封建的なやり方に父も母も内心反発しているところも見受けられるが決して反抗したりしない。平成生まれの夫とわたしは祖父と祖母のやり方に辟易としており、同じく平成生まれの夫の弟と妹も同じように感じているようだ。以下省略。