毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)8

七.敵と戦う時

 次は「敵と戦う時」の物語である。どんな人間にも敵はいる。自分が敵と思ってなくても相手が勝手に自分を敵と見なしていることもある。また、人間が集まって組織を作れば、他の組織と対立して戦わなければならないことがある。組織は「身近な家族や友だちに始まって同好会、学校のクラス(学級)、親睦団体など各種団体、会社、地域、地方自治体、一番大きな組織は国家」である。これらの組織と組織が戦う「敵と戦う時」もある。
 「あなた(わたし)」にも、「あなた(わたし)」が属する組織にも「敵と戦った時」があったはずだ。あるいは、これから「敵と戦う時」が来るかもしれない。いつも「敵と戦っている」組織もあるだろう。
 「敵と戦う時」の物語。主人公は「あなた(わたし)」である。

主人公は「四.リーダーの資質を学ぶ時」と「五.ゆったり待てば結果が出る時」に登場した菓子製造卸販売業(ここでは当社と表現する)に勤める営業部の商品開発係長である。
 以後、この商品開発係長の立場に立って「わたし」と表現する。

 「魔のシュークリーム」を販売して以来全国的に有名になった当社に強敵が現れた。「魔のシュークリーム」の「魔」の字を使った洋菓子を次から次に販売して人気を集めている洋菓子製造卸販売業で、企業名も「魔の洋菓子」と「魔」を使っている。当社は「魔の洋菓子」を全く意識していなし、敵とも思っていないのだが、「魔の洋菓子」が「魔」の字を用いた商品を沢山展開しているため、世間は当社と「魔の洋菓子」はライバル企業だと勝手に思っている。当社のお客様も当社は「魔」のシリーズはもう出さないのだろうかと思っている節がある。「魔の洋菓子」が展開している「魔」のシリーズは、「魔のイチゴショート」「魔のチーズケーキ」「魔のモンブラン」「魔のバームクーヘン」「魔のプリン」であり、さすがに当社のオリジナル商品「魔のシュークリーム」は販売していないが、「魔の」というネーミングが重なるため、世間においては当社と「魔の洋菓子」が「魔の」洋菓子でしのぎを削っているように思われている。当社の社長は「魔の洋菓子」が展開する「魔の」商品の展開を静観していたが、ここまで「魔の洋菓子」が展開する「魔の」商品のラインナップが多くなると、何らかの対策を講じる必要があると考えるようになった。以下省略。