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時の物語 周易六十四卦 校正 26

四十三.暗君を葬り去る時

 世(社会・組織)に君臨してきた名君(素晴らしいトップやリーダー)が長年その地位にあり続けて、気が付くと暗君(自分勝手なトップやリーダー)に変貌し、世(社会・組織)を苦しめていることがある。元々は名君だから暗君になったことに気が付かない人も多く、この状態が長く続くと世の中はおかしくなっていく。名君が暗君に変貌してしまったことを誰かが世(社会・組織)に知らしめ、暗君を葬り去らなければ、世の中は知らず知らず崩壊してしまうのが「暗君を葬り去る時」である。

 「暗君を葬り去る時」の主人公は、戦後日本の歪んだ教育を正すために、民間教育機関を立ち上げて世のため人のために尽くしてきた「あなた(わたし)」である。

 わたしは両親とも自衛官の家に産まれ、「世のため人のために生きよ。自分のために生きるな」という教育を受けたので、小学生の頃から今の学校教育は間違っていると感じていた。「個性を伸ばせ」「自分らしく生きろ」という教育方針は根本的に間違えている。国家のために命をかけて仕事をしている両親を心から尊敬しているので、防衛大学校で学び幹部自衛官としての道を歩んだ。三十半ばの時に東日本大震災が起こり救済活動に従事したが、米国の支援がなければ火事場泥棒のような中国に侵略されかねなかった無防備な国家体制に危機感を持った。わたしがこのまま自衛官として勤務し仮に統合幕僚長になったとしても、国防意識が高い国民が支えてくれなければ、国を守ることはできない。そこで、思い切って自衛隊を辞めて「世のため人のために生きる」という志を持つ若者を対象に「人間の生き方や考え方」を教え、国家や先祖に支えられて生かされていることを自覚した若者を増やし、自分で国を守ることを世の中に啓蒙していこうと決意した。
 自衛官時代に匿名で動画配信をしていたので、その経験とノウハウを活かして「天命塾」というチャンネルを立ち上げ、啓蒙動画を配信して塾生を募集した。「世のため人のために生きたい」と思っている若者は予想以上に多く五十名が塾生として応募してきた。月一万円の会費を頂き受講期間を一年間として「天命塾」を開講した。毎回会場を確保して塾を開催するとお金がかかるので、月二回のネット配信と半年に一度の会場講座で防衛大学校や自衛隊の研修で学んだ帝王学や独学で習得した東洋古典に基づいたオリジナル教材をテキストにして塾生の心が奮い立つような講座を開講した。「天命塾」は評判がよく、一年の受講期間を二年に延長する塾生も複数おり、毎年新しい塾生も入塾して運営は順調だった。
 塾を始めてから十年が経過した。資金的な余裕もでき会場講座を中心に開催した。塾生も百名近くになった。塾を運営するに中り塾生を組織化してわたしが塾長を辞めても、新しい塾長が塾を継続して運営できるような体制作りを考えるようになった。塾生の中からわたしの考え方をよく理解しており、将来塾長を任せられそうな塾生を三人選び、一番期待ができる塾生を副塾長、二番を塾頭、三番を事務局長に任命して、塾の収入の半分を三人の報酬と決めた。さらに十年が経過し、わたしはいよいよ一年後に還暦を迎えることになったので、塾長の座を退いて副塾長を塾長に、塾頭を副塾長に、事務局長を塾頭に任命し、新たに一人を新事務局長に任命して、「天命塾」の新しい体制を固めた。以下省略。