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易経六十四卦と本書(時の物語)の関係 9

二十五.運命に順う時        百二十六頁  天雷无妄 ☰☳
二十六.力を蓄え世に尽くす時    百三十一頁  山天大畜 ☶☰
二十七.萬物を養う時        百三十六頁   山雷頤 ☶☳

二十五天雷无妄 ☰ ☳ 乾上震下  運命に順う時 百二十六頁
 天雷无妄は天地の道が人の道を翻弄する時。天地の道は人間の是非善悪を超えた生命エネルギーの継続的な活動である。それは、人間にとって大災害として現れる時もあり、僥倖(思いがけない幸運)として現れる時もある。小賢しい智恵で対処すれば災難を招き寄せる。
 天雷无妄☰☳は、天地否☰☷初爻の陰陽が反転した卦(之卦)である。天地否は衰運の流れの真ん真ん中で物事が閉塞逼迫して二進も三進も行かない時である。日本社会に例えるならば、消費税率を八%から十%に上げてデフレが悪化し終わりの見えない不況に陥った令和元年の翌年(令和二年)に中る。

二十六山天大畜 ☶ ☰ 艮上乾下  力を蓄え世に尽くす時 百三十一頁
 山天大畜は風天小畜☴☰と比較して解説されることが多い。陽爻の間にある陰爻の大きさで判断して風天小畜が下卦乾天の上に一陰あるだけなので「小蓄」と命名され、山天大畜は下卦乾天の上に二陰あるので「大蓄」と命名された。だが、山天大畜は確かに「蓄え養う時」であるのに対して、風天小畜は「柔よく剛を制する」という意味合いが強く「蓄える」という意味合いはないので、卦象を見て大畜あるいは小畜と命名されたのであろう。

二十七山雷頤 ☶ ☳ 艮上震下  萬物を養う時 百三十六頁
 山雷頤は上卦艮☶を上顎(うわあご)(上の歯)と見て、下卦震☳を下顎(したあご)(下の歯)と見る。上顎(うわあご)(上の歯)はどっしりと構えて動かない。上卦艮の性質でもある。下顎(したあご)(下の歯)は上下によく動いて、口の中に入ってくる食べ物を噛み砕く。
 上爻と初爻の間に四つの陰爻が在る。陽爻を充実していると考えると陰爻は空っぽである。つまり、今は中身が空っぽだから必要な物を蓄え養わないとならない。あるいは山雷頤☶☳を八卦に圧縮すると離☲になる。離にも空っぽ(中が空虚なもの)という性質がある。
 以上のことから山雷頤を中身が空っぽな社会・組織・人間等に当て嵌める。