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易経六十四卦と本書(時の物語)の関係 16

四十六.どんどん昇って行く時    二百十三頁   地風升 ☷☴
四十七.水が漏れて乾涸らびる時   二百十七頁   澤水困 ☱☵
四十八.古井戸から清水を汲み出す時 二百二十一頁  水風井 ☵☴

四十六地(ち)風(ふう)升(しよう) ☷ ☴ 坤上巽下  どんどん昇って行く時 二百十三頁
 澤地萃に続いて、地風升も盛運の時である。みんなが集まって何とかしようと努力したのが澤地萃の時。努力が実り、どんどん成長する時が地風升である。卦象を見ると上卦坤☷の大地の下に下卦巽☴の木の種(八卦に陰陽五行を当て嵌めると巽☴は木となる。単なる木ではなく、どんどん成長する木)が埋まっている。
 但し、地風升全体を八卦に圧縮すると大きな「坎」となる。「坎」には「険しい、困る、苦労が多い、紆余曲折、泣く、悩む、憂う」等のマイナスな性質があることから、盛運を恃(たの)んで調子に乗ると災難を招き寄せかねない。

四十七澤(たく)水(すい)困(こん) ☱ ☵ 兌上坎下  水が漏れて乾涸らびる時 二百十七頁
 澤水困☱☵は四大難卦の一つで二九坎為水☵☵に次いで困難な時(凶運)である。四大難卦(あと二つは三水雷屯☵☳と三九水山蹇☵☶)に限らず六十四卦の中には困難な時がいくつもある。四大難卦以外でわたしが困難(凶運)だと感じる卦を挙げると次のようになる。「十二天地否☰☷、二三山地剝☶☷、二五天雷无妄☰☳、三三天山遯☰☶、三六地火明夷☷☲、三八火澤睽☲☱、四四天風姤☰☴、五五雷火豊☳☲、六二雷山小過☳☶」。以上に四大難卦を加えると十三の物語(六四分の十三=二十%)となる。盛運の物語も十三だったから、凶運の物語と同じである。数の上で盛運と凶運はバランスがとれている。
 卦象で見ると上卦兌☱の澤の水が澤から溢れ出て(下卦坎☵の水が澤から溢れ出た水を表す)、乾涸(ひか)らびてしまった状態である。

四十八水(すい)風(ふう)井(せい) ☵ ☴ 坎上巽下  古井戸から清水を汲み出す時 二百二十一頁
 水風井の物語は色々な事に当て嵌められる。埋もれていた組織や寂れてしまった村落が再び甦っていく物語として読み解くこともできれば、埋もれていた能力があることを当人や当該組織が自覚して、その能力を育てていく物語として読み解くこともできる。新しい事や新しい事業を開拓するために、必要な能力や資質を探して磨いていく物語として読み解くこともできる。