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易経六十四卦と本書(時の物語)の関係 15

四十三.暗君を葬り去る時      百九十九頁   澤天夬 ☱☰
四十四.悪魔が忍び込む時      二百四頁    天風姤 ☰☴
四十五.ツートップで栄える時    二百八頁    澤地萃 ☱☷

四十三澤(たく)天(てん)夬(かい) ☱ ☰ 兌上乾下  暗君を葬り去る時 百九十九頁
 陰陽消長卦の循環で見ると、澤天夬は乾為天の一つ手前だから、大盛運の流れの中にあるが、五陽の上に一陰の暗君が君臨して、全体を覆っている。それゆえ、澤天夬には雷天大壮☳☰のような勢いがなく、乾為天☰☰に抜け出る一歩手前で五陽が一陰に押さえ付けられて足踏み状態となり、大変困窮する。

四十四天(てん)風(ぷう)姤(こう) ☰ ☴ 乾上巽下  悪魔が忍び込む時 二百四頁
 天風姤☰☴は乾為天☰☰初爻の之卦である。乾為天初爻は志や人生の目的を確立する時である。自分のために何をするのかという野心・野望ではない。世のため人のために何をするのかという志や人生の目的を高らかに打ち立てる。だから、乾為天の大盛運が始まる。
 ところが、世のため人のために何をするかという発想がなく、「今だけ金だけ自分だけ」という発想でしか物事を考えられない自分中心の人間は、乾為天初爻の時を全うできずに、陽爻が陰爻に変じて乾為天☰☰の時は天風姤☰☴の時に転じてしまう。
 陰陽消長卦の循環で見ると、天風姤は衰運の始めである。全て陽爻で成る大盛運の乾為天の時が終わると、これまで続いてきた盛運の流れが衰運の流れ(天風姤)に転じる。
 天風姤☰☴は怖い時である。一番下にスッと入り込んできた陰爻が及ぼす害悪に誰も気付かない。むしろ、一陰五陽の陰爻に魅力を感じて近付いて行く。害悪と知らずに近付いて行くので、害悪はアッという間に全体に広がる。

四十五澤(たく)地(ち)萃(すい) ☱ ☷ 兌上坤下  ツートップで栄える時 二百八頁
 澤地萃☱☷は五爻と四爻のツートップ体制の形。五爻がトップでワントップ体制の水地比☵☷と四爻がトップでワントップ体制の雷地豫☳☷を合体させた形である。水地比も雷地豫も豪腕のリーダーが全体を制御するのだが、澤地萃は豪腕のリーダーが二人居て全体を制御する。二人が組織をグイグイ率いる大盛運の時である。
 卦象を見ると、上卦兌の澤の水が流れ、下卦坤の大地に浸透して肥沃な土地である。作物が豊富に採れるので沢山の人が集まってくる。上卦兌の経営陣は喜びと恵みの精神(兌の性質)で組織を率いるから、下卦坤の従業員は上卦兌の経営陣に柔順に従い(坤の性質)組織は順調に伸びて行く。