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時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)6

五.ゆったり待てば結果が出る時

 次は「ゆったり待てば結果が出る時」の物語である。誰にでも「ゆったり待てば結果が出る時」がある。ゆったり待てば報われる時がある。「あなた(わたし)」にも「ゆったり待ったから結果が出た時」があったはずだ。ゆったり待ったから報われた時があったはずだ。
 あるいは、これからは「ゆったり待てば結果が出るだろう」と思っていることがあるかもしれない。または、いつも「ゆったり待って結果を出している」人もいるだろう。「急ぐと結果は出ないが、ゆったり待てば結果が出る時」がある。「ゆったり待たなければ結果が出ない時」もある。
 「ゆったり待てば結果が出る時」の物語。主人公は「あなた(わたし)」である。

 主人公は「四.リーダーの資質を学ぶ時」に登場した先代が急死したので菓子製造卸販売業を引き継いだ青年である。以後、この青年の立場に立って「わたし」と表現する。

 急死した父親から事業を引き継いだわたしは四十歳になった。経営者としての自信も付いたので若手経営者からの学びも卒業して、今は自分の考えで会社を切り盛りしている。今、わが社で力を入れているのは新商品の開発である。父親は和菓子職人だったので和菓子に力を入れていたが、わたしの代になってからはお客様の要望や従業員からの提案を取り入れて洋菓子に力を入れるようになった。先日、従業員や仕入れ先などの協力を得て時間をかけて開発した自信作が完成した。名付けて「魔のシュークリーム」である。
 「魔」には①「人の心を迷わせたり害を与えたりする悪魔」や②「あやしいわざ。ふしぎな術。魔法」という意味がある。普通①は悪い意味で使われるのだが、この商品には不思議な魔力があるので誰もが虜になるという意味で、②はそのまま「あやしい(すなわちふしぎだ)」という意味で「魔のシュークリーム」と命名した。従業員は勿論、仕入れ先や金融機関、商工会議所など利害関係者の人々にお願いして試食に試食を重ねて完成した逸品である。
 いよいよこの自信作を市場に投入する段階になったので、どのような売り方をしたらよいかを検討するために、従業員や商工会議所の担当者などを交えたプロジェクトチームを立ち上げた。市場投入の時期を半年後に設定して、月に二回、計十二回の会議で検討を重ねた。会議の中で出て来た意見を紹介すると次のようになる。以下省略。