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時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)34

三十三.逃げるが勝ちの時

 あらゆる人や組織は盛運と衰運の循環の中にある。盛運は小さな盛運と大きな盛運があり、衰運も小さな衰運と大きな衰運がある。「逃げるが勝ちの時」は大きな衰運である。衰運にある時はがんばっても成果が出ない。大きな衰運になればなおさらである。今がどんな時にあるのかを見極めることが大事である。時には六十四類型あるが、それぞれ内容が異なる。それぞれの時に合わせて対応しなければ物事はうまく進んでいかない。「逃げるが勝ちの時」は絶対に真正面から立ち向かってはならない時である。

 「逃げるが勝ちの時」の主人公は、「三十.歴史に学ぶ時」に登場した亡国の危機にある日本を取り戻すために政治活動をしている「あなた(わたし)」である。

 わたしは自国の歴史を否定して、ボウフラのように漂っている今の政治を看過できない。だから、仕事や政治活動を通じて、日本の危機的な状況について色々な人々に話をしてきた。けれども、わたしの思いはなかなか伝わらない。多くの人が話は理解してくれるが、その先につながらない。今の政治が危機的な状況にあることは分かってくれるが、行動を起こそうとしない。政治を変えるためには選挙に行ったり、支持する政党や政治家を応援したり、自分が立候補したりして政治的に動くことが必要だが、半数以上の人が選挙にすら行かない。政治を諦めてしまっている。これでは何時まで経っても政治は良くならない。わたしは日本が大好きで、日本の歴史や文化を学べば学ぶほど、こんなに素晴らしい国は世界中で日本しかないと思っている。だから、日本の歴史や文化を学んで機会あるごとに色々な人々に話している。話をすればみんな共感してくれる。けれども誰も行動しようとはしない。そんなことをしても時間の無駄だと思っている。わたしは二十年近く活動してきた。活動を続けていけばやがてみんなが気が付くだろうと思っていた。けれども誰も気が付かない。気が付いたとしても行動しない。行動しなければ何も変わらない。こんなことを繰り返してきた。以下省略。