戦後の日本社会を覆っている暗君上六の正体は「GHQの呪縛」である。日本は自国の独立と東南アジア諸国の植民地からの解放を目的として米国と戦ったが、戦いに敗れて侵略国家の汚名を着せられた。「GHQの占領政策」で日本人は心の奥深くに贖罪意識を抱くようになった。その意識は戦後、年々高まって、日本が犯した侵略行為を反省することを美德とするようなおかしな風潮が蔓延して、国家体制が崩れ落ちようとしている。
この「GHQの呪縛」と云う暗君を伐ち倒すことは容易なことではなく、「戦後レジュームからの脱却」や「日本を取り戻す」ことを政治信念として歴代総理の就任期間が最年長記録を達成した安倍晋三元総理は、暗君の逆鱗に触れて暗殺されてしまった。
今の日本が地火明夷の時から抜け出すためには、「GHQの呪縛」から脱した国民の中から九三の君子が登場するかどうかにかかっている。戦後昏迷を続けてきた政治が、善い方向に変わって行く兆しが見えてきたので、期待したいところである。
地火明夷の時からは、九三の君子が登場しなければ脱することができない。登場しなければ、いつまでも地火明夷の異常事態の時に置かれることになる。長い期間異常事態の中に置かれると、人々の考え方や行動はどんどん異常になっていく。異常事態の社会の中では、自ら異常にならなければ生きていけないのである。
以上が地火明夷の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。
明夷、利艱貞。
○明(めい)夷(い)は、艱(かん)貞(てい)に利(よろ)し。
明夷は明るいものが傷付けられる(夷)時である。また、明夷は明るい太陽(下卦離)が大地(上卦坤)の下に沈み、君子が小人に仕える暗黒の時(暗黒の世・異常事態)である。
このような道無き時(無道)に如(い)何(か)に対処すべきかをよくよく考えなければならない。君子に降りかかる艱難辛苦に中(あた)って、時の流れに身を任せることなく(身を任せれば堕落する)、そうかといって、逆らうこともなく(逆らえば捕らえられる)、常に正しい道(道德)を固く守ることが唯一の対処法である。以下省略。