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陰陽古事記伝 地球と日本誕生 二

□あらすじ
 伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)と伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)は、地球に降りてきて、陰陽交わって日本の国土を生みだそうとされたが、陰陽交わりの原理原則に背いたので、出来損ないの水(ひ)蛭(る)子(こ)と淡(あわ)嶋(しま)が生まれた。

【書き下し文】
其(そ)の嶋(しま)に天(あま)降(くだ)り坐(ま)して天(あめ)の御(み)柱(はしら)を見立て、八(や)尋(ひろ)殿(どの)を見立てき。是(ここ)に其(そ)の妹(いも)伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)に問ひたまはく、「汝(な)が身は如(い)何(か)にか成れる」。答えて「吾(あ)が身は成り成りて成り合はざる處(ところ)一(ひと)處(ところ)在(あ)り」と白(まを)しき。爾(しか)くして伊(い)邪(ざ)那(な)岐(き)の命(みこと)、「我(あ)が身は成り成りて成り餘(あま)れる處(ところ)一(ひと)處(ところ)在(あ)り。故(かれ)、此(こ)の吾(あ)が身の成り餘(あま)れる處(ところ)を以(も)ちて、汝(な)が身の成り合はざる處(ところ)に刺し塞(ふさ)ぎて國(く)土(に)を生み成さむとおもふ。生むこと奈(い)何(か)」と、詔(の)りたまひき。伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)、答えて曰(いわ)く、「然(しか)善(よ)し」。爾(しか)くして伊(い)邪(ざ)那(な)岐(き)の命(みこと)、「然(しか)あらば吾(あ)と汝(な)と是(こ)の天(あめ)の御(み)柱(はしら)を行き迴(めぐ)り逢(あ)ひてみとのまぐはひせむ」と詔(の)りたまひき。かく期(ちぎ)りて乃(すなわ)ち、「汝(な)は右より迴(めぐ)り逢え、我(あ)は左より迴(めぐ)り逢わん」と詔(の)りたまひて、約(ちぎ)り竟(お)えて迴(まわ)る時に、伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)先ず「あなにやしえをとこを」と言ひ、後に伊(い)邪(ざ)那(な)岐(き)の命(みこと)「あなにやしえをとめを」と言ひ、各(おのおの)言い竟(お)えし後(のち)に其(そ)の妹(いも)に告げて曰(いわ)く、「女人(おみな)先(さき)に言えるは良からず」。然(しか)れどもくみどに興(おこ)して生みし子は水(ひ)蛭(る)子(こ)。此(こ)の子は葦(あし)船(ぶね)に入れて流し去りき。次に淡(あわ)嶋(しま)を生む。是(これ)もまた子の例(たぐい)に入れず。

〇通釈
 伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)と伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)の二(ふた)柱(はしら)の神は、広大な宇宙空間である高(たか)天(あま)原(はら)から淤(お)能(の)碁(ご)呂(ろ)嶋(地球)に天(あま)降(くだ)りなさって、大地から広大な宇宙空間に向かって聳え立つ天(あめ)の御(み)柱(はしら)をお立てになり、続けて立派な神殿である八(や)尋(ひろ)殿(どの)をお建てになった。
 そして、伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)は伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)に向かって次のように問いかけられた。「あなたの身体はどんな風になっているか?」。すると伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)は、「わたしの身体は大体は完成しているのですが、一ヶ処だけ何か足りずに凹(くぼ)んでいる処があります」とお答えになったので、伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)は「わたしの身体も大体は完成しているが、一ヶ処だけ何か余って凸(でつぱ)っている処がある。ならば、わたしの凸(でつぱ)っている処を、あなたの凹(くぼ)んでいる処に挿し入れ塞いで、淤(お)能(の)碁(ご)呂(ろ)嶋(地球)に国土を産み出そうと思うが、あなたは産んでくれるか」とお聞きになった。
 伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)は、「それは、善いことだと思います」とお答えになった。このようなわけで伊(い)邪(ざ)那(な)岐(き)の命(みこと)は、「ならば、わたしとあなたは、天(あめ)の御(み)柱(はしら)をぐるりと廻(めぐ)り逢って、みとのまぐはひをしよう」とおっしゃった。
 以上のように約束を交わしてから、「あなたは右回りで廻(めぐ)りなさい。わたしは左回りで廻(めぐ)ります」とおっしゃって、お互いに納得して廻(めぐ)り逢(あ)った時に、伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)が先に「あぁ、何といい男でしょう」と言って、その後で伊(い)邪(ざ)那(な)岐(き)の命(みこと)が「あぁ、何といい女なんだろう」と言ってから、その後で伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)に「女の人から先に言葉を発したのは良くなかったかもしれない」と告げておっしゃった。そして、みとのまぐはひをして産まれた子は、出来損ないの水(ひ)蛭(る)子(こ)であった。水(ひ)蛭(る)子(こ)は葦(あし)船(ぶね)に入れて水に流してしまった。その次にまた出来損ないの淡(あわ)嶋(しま)が産まれた。淡(あわ)嶋(しま)もまた国土の数には入れなかった。

〇超釈
 伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)と伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)の二(ふた)柱(はしら)の神は、広大な宇宙空間である高(たか)天(あま)原(はら)から淤(お)能(の)碁(ご)呂(ろ)嶋(地球)に天(あま)降(くだ)りなさって、地球の大地から広大な宇宙空間に向かって聳え立つ天(あめ)の御(み)柱(はしら)をお立てになり、続けて立派な神殿である八(や)尋(ひろ)殿(どの)をお建てになった。
 そして、伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)は伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)に向かって次のように問いかけられた。「あなたの身体はどんな風になっているか?」。すると伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)は、「わたしの身体は大体は完成しているのですが、一ヶ処だけ何か足りずに凹(くぼ)んでいる処があります」とお答えになったので、伊(い)邪(ざ)那(な)岐(ぎ)の命(みこと)は「わたしの身体も大体は完成しているが、一ヶ処だけ何か余って凸(でつぱ)っている処がある。ならば、わたしの凸(でつぱ)っている処を、あなたの凹(くぼ)んでいる処に挿し入れ塞いで、淤(お)能(の)碁(ご)呂(ろ)嶋(地球)に国土となる島々を産み出そうと思うが、あなたは産んでくれるか」とお聞きになった。
 伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)は、「それは、善いことだと思います」とお答えになった。このようなわけで伊(い)邪(ざ)那(な)岐(き)の命(みこと)は、「ならば、わたしとあなたは、天(あめ)の御(み)柱(はしら)をぐるりと廻(めぐ)り逢って、みとのまぐはひをしよう」とおっしゃった。
 以上のように約束を交わしてから、「あなたは女神で陰の役割を担っているから右回りで廻(めぐ)りなさい。わたしは男神で陽の役割を担っているので左回りで廻(めぐ)ります」とおっしゃって、お互いに納得して廻(めぐ)り逢(あ)った時に、伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)が先に「あぁ、何といい男でしょう」と言って、その後で伊(い)邪(ざ)那(な)岐(き)の命(みこと)が「あぁ、何といい女なんだろう」と言ってから、その後で伊(い)邪(ざ)那(な)美(み)の命(みこと)に「陰の役割を担っている女神から先に言葉を発したのは良くなかったかもしれない」と告げておっしゃった。そして、みとのまぐはひをして産まれた子は、出来損ないの水(ひ)蛭(る)子(こ)であった。水(ひ)蛭(る)子(こ)は葦(あし)船(ぶね)に入れて水に流してしまった。その次にまた出来損ないの淡(あわ)嶋(しま)が産まれた。淡(あわ)嶋(しま)もまた国土の数には入れなかった。