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四季と易経 その四十一

梅子黄(うめのみきばむ)(七十二候の二十七候・芒種の末候)

【新暦六月十六日ころから二十日ころまで】
 意味は「梅の実が黄ばんで熟す(絵で楽しむ)」である。
 「絵で楽しむ」には次のように書いてある。
 しとしとと降る雨を恵みに、梅の実が薄黄色く色づくころ。

 「梅子黄(うめのみきばむ)」は、易経・陰陽消長卦の「乾為天」上六に中る。次に「乾為天」上六の文章(爻辞と小象伝)を示す。
 「乾為天」上六の言葉は【新暦六月十六日ころから二十日ころまで】に当て嵌まる。

乾為天上九(易経・陰陽消長卦)

《爻辞》
上九。亢龍有悔。
○上(じよう)九(きゆう)。亢(こう)龍(りゆう)悔い有り。
 自戒(自らを律して君徳を維持すること)を怠った飛龍が独走して雲(臣下・部下・下々等)から見放された。雲がなければ地上に慈(じ)雨(う)を施(ほどこ)せない。後悔してもどうにもならない。

《小象伝》
亢龍有悔、盈不可久也。
○亢(こう)龍(りゆう)悔い有りとは、盈(み)つれば久しかる可(べ)からざる也。
 自戒を怠った飛龍が雲から見放された。後悔してもどうにもならない。
 どれほど優秀な大人でも頂点を極(きわ)めれば、何時かは堕(お)ちていくしかない。頂点を極めた飛龍は、よほど自分を戒(いまし)めないと、あっという間に怠(おこた)り驕(おご)り、自ら堕ちていく。もし、自分を戒(いまし)め続けることができたとしても、やがては君德が衰えて権威を失い、その地位に留まることはできなくなる。君德が衰えたと自覚した指導者(トップ)は、自らその地位を後継者に譲ることが求められるのである。

 「乾為天」上九の之卦は「澤天夬」である。次に「澤天夬」の全体像を表す言葉(卦辞・彖辞、彖伝、大象伝)と「澤天夬」上六の言葉(爻辞、小象伝)を示す。これらの言葉は「乾為天」の上九と同じく【新暦六月十六日ころから二十日ころまで】に当て嵌まる。

澤天夬(乾為天上九の之卦)

《卦辞・彖辞》
夬、揚于王庭。孚號。有厲。告自邑。不利即戎。利有攸往。
○夬(かい)は王(おう)庭(てい)に揚(あ)ぐ。孚(まこと)ありて號(さけ)ぶ。厲(あやう)き有り。告(つ)ぐること邑(ゆう)よりす。戎(じゆう)に即(つ)くに利(よろ)しからず。往(ゆ)く攸(ところ)有るに利し。
 夬は決する(五陽爻の君子が一陰爻の小人を決し去る)時である。勢い衰えた小人(上六の一陰爻)の悪(あつ)行(こう)を公(おおやけ)にして民衆に知らしめる(広く一般大衆に認識してもらう)のである。君子が至誠の心で高らかに民衆に訴えても、権力を有する佞人(上卦兌の主爻)上六はしたたかなので危険が伴う。だから、先ずは近隣の人々から説得していく。すなわち足(あし)下(もと)を固めるのである。権力を有する上六の佞人を決し去るに中っては武力を用いるべきではない。武力を用いれば世の中が混乱するだけである。
 以上を踏まえて前進すれば必ずや佞人上六を決し去ることができる。

《彖伝》
彖曰、夬、決也。剛決柔也。健而説、決而和。揚于王庭、柔乘五剛也。孚號、有厲、其危乃光也。告自邑、不利即戎、所尚乃窮也。利有攸往、剛長乃終也。
○彖に曰く、夬は決する也。剛、柔を決する也。健にして説(よろこ)び、決して和(やわら)ぐ。王庭に揚ぐるは、柔、五剛に乘ずれば也。孚ありて號(さけ)ぶ、厲き有りとは、其れ危ぶめば乃ち光(おお)いなる也。邑(ゆう)より告ぐ、戎(じゆう)に即くに利しからずとは、尚(たつと)ぶ所乃ち窮すれば也。往く攸(ところ)有るに利しとは、剛長ずれば乃ち終れば也。
 彖伝は次のように言っている。夬は五陽爻の君子が一陰爻の小人を除去することを決する時である。剛健な五陽(君子)が柔弱な一陰(小人)を除去することを決する。下卦乾の健やかな性質と上卦兌の悦(よろこ)んで和らぐという性質を兼ね備えているので、君子が小人を除去することを民衆は悦(よろこ)び和合一致する。小人の悪行を公にして民衆に知らしめる(広く一般大衆に認識してもらう)のは、一陰(小人)が五陽(君子)よりも高位に居て、権力を持っているからである。君子が至誠の心で高らかに民衆に訴えても、権力を有する佞人(上卦兌の主爻)上六はしたたかなので危険が伴う。畏(おそ)れ危ぶみ慎んで行動してこそ、大事を為し遂げられるのである。先ずは近隣から説得する。すなわち足下を固めて、武力を用いるべきではない。武力を用いれば世の中が乱れ、民衆の支持を失い君子が窮するからである。以上を踏まえて前進すれば必ずや佞人上六を決し去ることができる。君子が小人を権力の座から排除して、君子の道が完成するのである。

《大象伝》
象曰、澤上於天夬。君子以施祿及下。居德則忌。
○象に曰く、澤、天に上(のぼ)るは夬なり。君子以て祿(ろく)を施(ほどこ)して下(しも)に及ぶ。德を居(お)くは則(すなわ)ち忌(い)む。
 大象伝は次のように言っている。澤(兌)が天(乾)の上に昇り決(けつ)潰(かい)して、恩澤の慈雨を降らせるのが夬の形である。君子はこの形を見習って、家臣には恩(おん)祿(ろく)を、民には恩恵を施すのである。德を出し惜しみして民に恩澤を施さないのは、君子の忌(い)み嫌うことである。貴方が君子ならば、德を出し惜しみすることを戒め慎まなければならない。

澤天夬上六(乾為天上九の之卦・爻辞)

《爻辞》
上六。无號。終有凶。
○上六。號(さけ)ぶ无(な)かれ。終(つい)に凶有り。
 夬(一陰五陽)の時に中り天子(トップ)の相談役として衆陽(君子)を押さえつけるように君臨してきた佞人上六だが、いよいよ最後の時を迎えた。最早これまで。泣き叫んでもどうにもならない。どのように足(も)掻(が)いてみても、最後は失脚する外(ほか)ないのである。

《小象伝》
象曰、无號之凶、終不可長也。
○象に曰く、號(さけ)ぶ无(な)きの凶は、終(つい)に長かる可(べ)からざる也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。佞人上六が泣き叫び足(も)掻(が)いてみても最後は失脚する外ない。君子が本来の勢い(剛健さ)を取り戻せば、小人の天下は長続きしないのである。