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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 山沢損 一

2022年7月30日

四一 山沢損 |・・ ・||

損、有孚。元吉无咎。可貞。利有攸往。曷之用。二簋可用亨。
□損(そん)は孚(まこと)有り。元(げん)吉(きつ)。咎无し。貞にす可(べ)し。往(ゆ)く攸(ところ)有るに利(よろ)し。曷(なに)をか之(これ)用(もち)ひん。二(に)簋(き)用(もつ)て亨(とお)す可(べ)し。
 損は下(内)を減らして上(外)を増やす時。真心あれば大いに幸を得る。咎められない。正しい道を守れば、事を進めてもよい。損の時に用いるのは、何であろう…。祭祀においては、粗末なお供え物を用いよう。真心があれば、神様はお受けくださるだろう。
彖曰、損、損下益上、其道上行。損而有孚。元吉无咎。可貞。利有攸往。曷之用。二簋可用亨。二簋應有時。損剛益柔有時。損益盈虚、與時偕行。
□損は下を損して上を益し、其の道上り行く。損して孚有り。元吉。咎无し。貞にす可し。往く攸有るに利し。曷(なに)をか之(これ)用(もち)ひん。二(に)簋(き)用(もつ)て亨(とお)す可(べ)し二(に)簋(き)は応(まさ)に時有るべし。剛を損して柔を益すには時有り。損益盈(えい)虚(きよ)、時と偕(とも)に行う。
 損は下卦兌(内)を減らして上卦艮(外)を増やす道。泰の下卦乾の上爻が上卦坤の上爻に上(のぼ)り、坤の上爻が乾の上爻に下(くだ)る。内を減らして外を増やす。真心あれば大いに幸を得る。咎められない。正しい道を守れば、事を進めてもよい。損の時に用いるのは何であろう。祭祀においては、粗末なお供え物を用いよう。真心があれば、神様はお受けくださるだろう。粗末なお供え物は、しかるべき時に用いるのである。剛陽(行き過ぎた物)を減らして、柔陰(足りない物)を増やすのも、しかるべき時にするのである。減らしたり増やしたり、充実させたり空虚にしたりするのも、すべて、しかるべき時にするのである。
象曰、山下有澤損。君子以懲忿塞欲。
□山の下に沢有るは損なり。君子以て忿(いかり)を懲(こ)らし欲を塞(ふさ)ぐ。
 山の下に沢が有るのが損の形。沢は潤いを減らして山に潤いを与え、水中の土を減らして山に土を盛り付ける。己を減らして他を益するのである。君子は、忿(ふん)怒(ど)する心を戒めて、私利私欲を塞(ふさ)ぐのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)少女、少男ニ對シテ、衷情ヲ述ル者トス、終ニ相孚シテ、澤山咸ノ婚媾アルニ至ルベシト雖モ、今ハ唯情ヲ述ルニ止リ、事成ルノ時ニ非ザルナリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)少女が少男に対して、内に秘めた心を打ち明ける時。真心が通じ合えば沢山咸の結婚に至るが、今は気持ちを打ち明ける段階であり、結婚する(事を成し遂げる)ことはできない。それゆえ、何事も今は契約は成立しない。後になれば契約は成立する。
○内心喜んでも、行動に移さなければ、何かを失うことになる。
○徐々に衰退していく時である。
○他人や社会に対して、自分の財産を提供する時。
○他人と協力して企画・実行することは成就する。
○私利私欲を抑えれば(自分が損する気持ちで他人を益すれば)、人德が益す。また、驕り高ぶることを抑えれば、財産を益す時。
○驕り高ぶらないように慎んで、人德を磨く時。
○公務員の人が占ったら、苦労しても結果が出ない。だが、粘り強く志を貫いて仕事に励めば、必ず吉兆が現れる。
○物事を深く考えない人や欲が深い人は、凶運を招き寄せる。
○一時(いつとき)の怒りによって身を焼き焦がし、欲望のまま暴走して、結局は大損する時。
○兌(口先)で依頼すると、相手は応じてくれない。だが感情を込めて依頼しても、応じてくれない。何をやってもうまくいかない時。
○損すべき時に損して、周りの人から信頼されれば、大いなる吉運を招き寄せて、何の問題も起こらない。
○一時的に損したとしても、損すべくして損した時には、最後は必ず利益が得られる時。
○物事が欠損して(傷付いて)、損害を受ける時でもある。

損 初九 |・・ ・||

初九。已事遄往。无咎。酌損之。
□初九。事(こと)を已(や)めて遄(すみや)かに往(ゆ)く。咎(とが)无(な)し。酌(く)みて之(これ)を損(へ)す。
 下を減らして上を増やす損の時に中り、六四を増やすため、自分の仕事を抛(なげう)って六四の下(もと)に馳(は)せ参ずる。咎められない。自分の立場を弁(わきま)え、事の宜しきを酌(く)み取って、六四に尽くす(己を減らす)のである。
象曰、已事遄往、尚合志也。
□事を已(や)めて遄(すみや)かに往(ゆ)くとは、尚(かみ)、志を合わする也。
 仕事を抛って六四の下に馳せ参ずる。六四と志を同じくする。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)朋友相知ノ人、疾病事故アリテ、我ニ救助ヲ乞フ者アリ、宜シク速ニ應援シ、又應分ノ金ヲ給シテ、其情誼ヲ盡スベシ、躊躇シテ速ニ應ゼザレバ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)親しい友達や知り合いが病気になったり、事故に遭ったりして助けを求められる時である。速やかに対応すべきである。また、必要ならばお金を投じて、相手のために尽くすべきである。助けることを躊躇してグズグズしていると、相手は死んでしまうかもしれない。死なないまでも、大変な困難に陥ることは間違いない。何が起こっても、速やかに対応することが必要な時である。
○上の位の人から依頼されたら、速やかに依頼に応えるべきである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)友人某人來テ曰ク、朋友急ニ金ヲ借ラント請フ者アリ、之ニ貸シ與フルモ迷惑スルコトナキヤ否ヤ、請フ之ヲ占ハンコトヲト、乃チ筮シテ、損ノ初爻ヲ得タリ、・・・