毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

期間限定「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 雷水解 一

四十 雷水解 ・・| ・|・

解、利西南。无所往、其來復吉。有攸往、夙吉。
□解(かい)は西南に利し。往く所なければ、其れ来(きた)り復(かえ)りて吉。往く攸(ところ)有れば、夙(はや)くして吉。
 解は水山蹇(又は水雷屯)の艱難辛苦が解ける時。大地の如(ごと)く寛大にするがよい。
 既(すで)に、艱難から開放されていれば、安静にして退くがよい。
 未(いま)だ、開放されていなければ、速やかに処置するがよい。
彖曰、解、險以動、動而免乎險解。解利西南、往得衆也。其來復吉、乃得中也。有攸往、夙吉、往有功也。天地解而雷雨作、雷雨作而百果草木皆甲坼。解之時、大矣哉。
□解は険にして以て動き、動きて険を免(まぬが)るるは解なり。解は西南に利しとは、往きて衆を得るなり。其れ来(きた)り復(かえ)りて吉とは、乃(すなわ)ち中を得るなり。往く攸有れば、夙(はや)くして吉とは、往きて功有るなり。天地解けて雷雨作(おこ)り、雷雨作りて百(ひやつ)果(か)草(そう)木(もく)皆甲(こう)坼(たく)す。解の時大なる哉(かな)。
 艱難(下卦坎)から動き(上卦震)出て、水山蹇(又は水雷屯)の艱難から脱出した時を解と名付ける。解は艱難辛苦が解ける時、大地の如く寛大にするがよい。大地の如く寛大であれば、大衆の支持を得られる。既に艱難から開放されていれば、安静にして退くがよい。安静にして退くことが、中庸を得ているのである。未だ開放されていなければ、速やかに処置するがよい。速やかに処置すれば大きな功績を成し遂げられるのである。春になれば陰陽の氣が解け、雷轟(とどろ)き雨が降り、あらゆる草木が萌(ほう)芽(が)する。解の時は、何と偉大であろうか。
象曰、雷雨作解。君子以赦過宥罪。
□雷雨作(おこ)るは解なり。君子以て過(あやまち)を赦(ゆる)し罪を宥(なだ)む。
 雷(震)が上空に轟(とどろ)き、慈雨(坎)が大地を潤すのが解の形。君子は、寛大な心で臣民の過失を許して、罪を軽くする。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)久シク苦勞セシコト漸ク解ケ、此ヨリ盛運ニ赴クノ時トス、然レドモ運ナル者ハ安坐シテ待ツ可キニ非ズ、必ズ、心力ヲ盡シテ之ヲ待ツベシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)長い期間、苦労した困難な状況から、ようやく脱出して、これから盛運に向かっていこうとする時である。
○運は待っていても開けるものではない。やるべきことをやった上で運が到来することを待つのである。
○これまで心配事や悩み(睽や蹇の険阻艱難)も、解の時が至れば、解決する。動けば必ず幸運を招き寄せる。
○内面や内側にまだ険阻艱難が潜んでいる。今やるべきことをきちんとやって、内なる険阻艱難を取り除く時である。
○未だ完全に解決していない険阻艱難を解決する時。
○すでに険阻艱難が完全に解決した時。
○東の方向に進み行く時。
○船に乗って遠方まで進み行く時。
○出産(に適する)する(新しい何かが生まれ出る)時。
○利害関係をよく考えて、困難から脱出する時である。
○二人の賢臣が心を合わせて組織の険阻艱難を解決する時である。
○険阻艱難から脱出して、喜びに遭遇する時。
○罪人が恩赦によって許される時。
○何事も速やかに対応すべき時。対応が遅れればチャンスを失う。

解 初六 ・・| ・|・

初六。无咎。
□初六。咎(とが)无(な)し。
 陰柔不中正で卑(ひ)賤(せん)な身分の小人初六は。本来ならば咎あるはずだが、険阻艱難な時を脱する解の初めに居て、陽剛九四と相応じ、陽剛備中の九二と相比する。その感化によって卑(いや)しい心を改めれば、誰からも咎められない。
象曰、剛柔之際、義无咎也。
□剛柔の際(まじわり)、義として咎无き也。
陽剛の九二と九四が陰柔の初六と交わることが、道義として咎められるはずがない。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)從來難義ノ事アリシモ、人ニ助ケラレ、其難將ニ解ントスルノ時トス、能ク身ヲ養ヒ、心ヲ正路ニ守ラバ、次第ニ開運スベシ、又男女ノ別ヲ正シクシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)本来は困難に陥るところを、人に助けられて困難から脱出する時である。心身を養い正しい道を踏み行えば、開運を招くであろう。
○男性は男性らしく、女性は女性らしくして、節度のある交際を心がけるべき時である。
○目上の人から引き立てられる時である。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治二十四年三月、製紙分社長陽其二氏、書ヲ寄セテ、當時、世論ニ囂々スル鄭永寧清國公使館ヘ内通ノ文章ニ就キ、其事實ノ有無ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、解ノ初爻ヲ得タリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例)明治二十四年、製紙会社の社長から手紙が届いた。手紙には「今、世論を騒がせているT氏による清国公使館内通事件が事実か否かを占ってほしい」とあったので、筮したところ解の初爻を得た。
 易斷は次のような判断であった。
 解は解決する時。氷が春の陽気で溶解する時である。初爻に「咎无し。陰柔不中正で卑賤な身分の小人初六は。本来ならば咎あるはずだが、険阻艱難な時を脱する解の初めに居て、陽剛九四と相応じ、陽剛備中の九二と相比する。その感化によって卑しい心を改めれば、誰からも咎められない」とある。易の三百八十四爻の中で「咎无し」とだけ書いてあるのは、この爻ただ一つだけである。天の目から見て、T氏の内通は事実無根である。
 また、解は冤(えん)罪(ざい)が解ける時でもある。初爻の陰は内通したと疑われているT氏であり、四爻の陽は清国の公使である。陰陽和合しているが、それぞれ国益をよく弁(わきまえ)えており、不義を行う者ではない。だから小象伝に「剛柔の際(まじわり)、義として咎无き也。陽剛の九二と九四が陰柔の初六と交わることが、道義として咎められるはずがない」と云う。
 また、易占の力を借りて、看破しなければならないことがある。三爻の陰がそれである。三爻の陰は四爻の清国公使の近くに居て陰陽比しており、巧妙に公使に取り入っている。その三爻が公使と親しくしているT氏を妬(ねた)んで、讒(ざん)言(げん)したのである。それゆえ、三爻の爻辞に「負(お)うて且(か)つ乗る。寇(あだ)の至るを致す。本来人の荷物を背負う役割なのに、九四の大臣に取り入り要職を得て、馬車に乗る。このようなことがまかり通れば、再び険阻艱難を招きかねない。人々は六三を要職から引きずり下ろそうとする」と云う。
 四爻の陽は解の主爻、清国公使である。春になって氷が解ける段階に該当する。四爻の爻辞に「而(なんじ)の拇(ぼ)を解け。朋(とも)至りて斯(こ)れ孚(まこと)とせん。小人六三との腐れ縁を断ち切って、志を同じくする人物と真心を通じ合う」とある。
「拇(ぼ)」とはT氏のことであり、今、水の底で困難に沈んでいる。T氏の冤罪を解くのは公使の役割。公使の力でT氏の冤罪は解けて、T氏は公使に感謝することになる。解は吉の時であるから、トラブルは速やかに解決しなければならない。そうでなければ、二爻の爻辞に「三(さん)狐(こ)を獲(え)、黄(こう)矢(し)を得たり。険阻艱難が解けたばかりの時、六五の君主を補佐して、再び険阻艱難を招きかねない三人の小人(上六・六三・初六)を、真っ直ぐな中庸の德で除き去る」とあるように、再び険阻艱難を招くことになる。そうなったら、大変なことである。世間や新聞は興味半分で色々批判するかもしれないが、相手にしてはならない。このことを大象伝に「君子以て過(あやまち)を赦(ゆる)し罪を宥(なだ)む。君子は、寛大な心で臣民の過失を許して、罪を軽くする」と云う。
 天命は以上である。そこで「世間の噂など気にせずに、どんと構えているがよい」と易断し、手紙を書いて、製紙会社の社長に送った。
(易占の結果については、何も書いてない。)

解 九二 ・・| ・|・

九二。田獲三狐、得黄矢。貞吉。
□九二。田(かり)して三(さん)狐(こ)を獲(え)、黄(こう)矢(し)を得たり。貞にして吉。
 険阻艱難が解けたばかりの時、六五の君主を補佐して、再び険阻艱難を招きかねない三人の小人(上六・六三・初六)を、真っ直ぐな中庸の德で除き去る。道を守れば幸を得る。
象曰、九二貞吉、得中道也。
□九二の貞にして吉なるは、中(ちゆう)道(どう)を得れば也。
 道を守れば幸を得る。中庸の道を心得ているのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)此爻才德備ハリテ、國家ニ忠ヲ盡ス者、君側ニ在リテ權ヲ有スル小人ヲ駆逐スルニ人力ヲ以テセズシテ、道ニ遵ウテ行フ、故ニ貞吉ト曰フ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)この爻は才能と人德を兼ね備えて、国家に忠誠を尽くす人物である。君主の側近として権力を持っている小人を力(ちから)業(わざ)で退治せずに、人の道を教え導く。それゆえ「貞にして吉」と云う。
○普通の人であれば、才能と力量を備えた正直な人物であり、自分を騙そうとする人を駆逐して、怠惰な従業員は解雇する。その結果、善き部下(側近的存在)を得ることができる時である。
○忍耐して事を為せば成功する時である。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)某商人ノ氣運ヲ占ヒ、筮シテ、解ノ第二爻ヲ得タリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例)商人Aの氣運を占って、筮したところ解の二爻を得た。
 易斷は次のような判断であった。
 解は春になれば雷が鳴り、雨が降って、草木が萌芽する時。これを人に当て嵌めれば、長い間苦しめられた困難が、ようやく解決して気持ちが晴れ晴れとする時である。
 今回占って第二爻が出た。商人Aが経営する商店の支配人は、商売の才能があって、沢山の利益を上げるが、交際費を無駄遣いして商店に迷惑をかけることもある。だが、商店に尽くす気持ちに、嘘はない。また、支配人の側近として働く手代の中には、志の高い人物もいて、商店に忠誠を尽くしている。だが、善からぬ手代も三人いて、いつも善からぬ事を企てており、志の高い手代を逆恨みして讒言するのみならず、商店のお金を私的に流用している。
 以上のようであるから、商店の手代たちの人間関係はギクシャクしている。今は志の高い手代を大事にし、善からぬ手代三人組を排除することによって、商店の安定を図るべきである。それゆえ、「田(かり)して三(さん)狐(こ)を獲(え)、黄(こう)矢(し)を得たり。険阻艱難が解けたばかりの時、六五の君主を補佐して、再び険阻艱難を招きかねない三人の小人(上六・六三・初六)を、真っ直ぐな中庸の德で除き去る」と云う。「三(さん)狐(こ)を獲(え)」とは、善からぬ手代三人組を放逐することであり、「黄(こう)矢(し)」とは志の高い手代のことである。
以上の改革を断行して、商店の安定を図るべきだと易斷した。
(易占の結果は書いていない。)

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例二)余明治廿五年、鼻痔ヲ生ジテ、呼吸ヲ妨ゲ、爲メニ談話意ノ如クナラズ、甚ダ之ニ困ム、偶金杉某ハ、永ク獨逸國ニ留學シ、該科ヲ専修シ、近年歸朝開業セリト聞キ、往キテ診察ヲ受ケント欲シ、自ラ筮シテ解ノ第二爻ヲ得タリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例2)わたしは明治二十五年に鼻の中に大きなできものができて、呼吸を妨げる症状に悩んでいた。ドイツで耳鼻科医の勉強をしていた金杉氏が帰国して開業したと聞いたので、診療を受けようと思い、その結果を占って、筮したところ解の二爻を得た。
 易斷は次のような判断であった。
 解は内卦の坎水は険しく、外卦の震雷は動く。すなわち、動いて悩みを解決するという形である。これを病気に当て嵌めると、何もしなければ病気は治らない。速やかに治療を受ければ治るという意味になる。
 今、占って二爻が出た。二爻は坎の主爻なので、これが変ずれば坤となり、病を抜き去る(陽を抜き去って陰となる)という形である。爻辞の「田(かり)」とは、狩猟のこと。「狐(こ)」とは、怪物のことである。「黄(こう)矢(し)」とは、その怪物を射ったので、血が付着した矢のことである。鼻の中のできものは、わたしにとって怪物のようなものである。「三(さん)狐(こ)」の「三」とは、数が多いということであり、「黄(こう)矢(し)」とは、鼻を手術して血が付着することである。以上のことから、治療すれば治ると判断(易斷)した。
 そこで、金杉氏の病院に行った。氏は鼻の中を診察して、「わかった」と即断してくれた。痛みを感じないように患部に麻酔をして、電気を使った簡易な手術で鼻の中のできものを複数除去して完治した。最近の医学の進歩は大したものだと感心したが、易経は数千年前から存在しており、聖人の存在を通して、三百八十四通りの天地の真理を世に伝えてくれるのであるから、さらに、感嘆すべきものである。