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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 雷水解 一

2022年7月28日

四十 雷水解 ・・| ・|・

解、利西南。无所往、其來復吉。有攸往、夙吉。
□解(かい)は西南に利し。往く所なければ、其れ来(きた)り復(かえ)りて吉。往く攸(ところ)有れば、夙(はや)くして吉。
 解は水山蹇(又は水雷屯)の艱難辛苦が解ける時。大地の如(ごと)く寛大にするがよい。
 既(すで)に、艱難から開放されていれば、安静にして退くがよい。
 未(いま)だ、開放されていなければ、速やかに処置するがよい。
彖曰、解、險以動、動而免乎險解。解利西南、往得衆也。其來復吉、乃得中也。有攸往、夙吉、往有功也。天地解而雷雨作、雷雨作而百果草木皆甲坼。解之時、大矣哉。
□解は険にして以て動き、動きて険を免(まぬが)るるは解なり。解は西南に利しとは、往きて衆を得るなり。其れ来(きた)り復(かえ)りて吉とは、乃(すなわ)ち中を得るなり。往く攸有れば、夙(はや)くして吉とは、往きて功有るなり。天地解けて雷雨作(おこ)り、雷雨作りて百(ひやつ)果(か)草(そう)木(もく)皆甲(こう)坼(たく)す。解の時大なる哉(かな)。
 艱難(下卦坎)から動き(上卦震)出て、水山蹇(又は水雷屯)の艱難から脱出した時を解と名付ける。解は艱難辛苦が解ける時、大地の如く寛大にするがよい。大地の如く寛大であれば、大衆の支持を得られる。既に艱難から開放されていれば、安静にして退くがよい。安静にして退くことが、中庸を得ているのである。未だ開放されていなければ、速やかに処置するがよい。速やかに処置すれば大きな功績を成し遂げられるのである。春になれば陰陽の氣が解け、雷轟(とどろ)き雨が降り、あらゆる草木が萌(ほう)芽(が)する。解の時は、何と偉大であろうか。
象曰、雷雨作解。君子以赦過宥罪。
□雷雨作(おこ)るは解なり。君子以て過(あやまち)を赦(ゆる)し罪を宥(なだ)む。
 雷(震)が上空に轟(とどろ)き、慈雨(坎)が大地を潤すのが解の形。君子は、寛大な心で臣民の過失を許して、罪を軽くする。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)久シク苦勞セシコト漸ク解ケ、此ヨリ盛運ニ赴クノ時トス、然レドモ運ナル者ハ安坐シテ待ツ可キニ非ズ、必ズ、心力ヲ盡シテ之ヲ待ツベシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)長い期間、苦労した困難な状況から、ようやく脱出して、これから盛運に向かっていこうとする時である。
○運は待っていても開けるものではない。やるべきことをやった上で運が到来することを待つのである。
○これまで心配事や悩み(睽や蹇の険阻艱難)も、解の時が至れば、解決する。動けば必ず幸運を招き寄せる。
○内面や内側にまだ険阻艱難が潜んでいる。今やるべきことをきちんとやって、内なる険阻艱難を取り除く時である。
○未だ完全に解決していない険阻艱難を解決する時。
○すでに険阻艱難が完全に解決した時。
○東の方向に進み行く時。
○船に乗って遠方まで進み行く時。
○出産(に適する)する(新しい何かが生まれ出る)時。
○利害関係をよく考えて、困難から脱出する時である。
○二人の賢臣が心を合わせて組織の険阻艱難を解決する時である。
○険阻艱難から脱出して、喜びに遭遇する時。
○罪人が恩赦によって許される時。
○何事も速やかに対応すべき時。対応が遅れればチャンスを失う。

解 初六 ・・| ・|・

初六。无咎。
□初六。咎(とが)无(な)し。
 陰柔不中正で卑(ひ)賤(せん)な身分の小人初六は。本来ならば咎あるはずだが、険阻艱難な時を脱する解の初めに居て、陽剛九四と相応じ、陽剛備中の九二と相比する。その感化によって卑(いや)しい心を改めれば、誰からも咎められない。
象曰、剛柔之際、義无咎也。
□剛柔の際(まじわり)、義として咎无き也。
陽剛の九二と九四が陰柔の初六と交わることが、道義として咎められるはずがない。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)從來難義ノ事アリシモ、人ニ助ケラレ、其難將ニ解ントスルノ時トス、能ク身ヲ養ヒ、心ヲ正路ニ守ラバ、次第ニ開運スベシ、又男女ノ別ヲ正シクシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)本来は困難に陥るところを、人に助けられて困難から脱出する時である。心身を養い正しい道を踏み行えば、開運を招くであろう。
○男性は男性らしく、女性は女性らしくして、節度のある交際を心がけるべき時である。
○目上の人から引き立てられる時である。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治二十四年三月、製紙分社長陽其二氏、書ヲ寄セテ、當時、世論ニ囂々スル鄭永寧清國公使館ヘ内通ノ文章ニ就キ、其事實ノ有無ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、解ノ初爻ヲ得タリ、・・・