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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 雷山小過 一

2022年9月10日

六十二 雷山小過 ・・| |・・

小過、亨。利貞。可小事。不可大事。飛鳥遺之音。不宜上、宜下。大吉。
□小(しよう)過(か)は亨る。貞しきに利し。小事に可なり。大事に可ならず。飛(ひ)鳥(ちよう)、之が音(ね)を遺(のこ)す。上(のぼ)るに宜しからず、下(くだ)るに宜し。大吉。
 小過は少々行き過ぎる方が通る時。過ぎたるを知って程よい所に戻り、道を守るがよい。大きく行き過ぎてはならない。小事は成し遂げられる。大事は成し遂げられない。大卦坎は飛ぶ鳥の形(真ん中の陽爻が体、上下の陰爻が翼)。鳴き声が耳に残る所までは行ってもよいが、鳴き声が聞こえなくなる所まで行ってはならない。どこまでも高く飛翔しようなどと図に乗ってはいけない。ほどほどのところで下に降りてくるがよい。
 上を目指して傲(ごう)岸(がん)不(ふ)遜(そん)になってはならない。下に謙(へりくだ)って、謙(けん)遜(そん)謙(けん)譲(じよう)し、控え目にすれば、大いなる幸を得る。
彖曰、小過、小者過而亨也。過以利貞、與時行也。柔得中。是以小事吉也。剛失位而不中。是以不可大事也。有飛鳥之象焉。飛鳥遺之音、不宜上、宜下、大吉、上逆而下順也。
□小過は小なる者過ぎて亨る也。過ぎて以て貞しきに利しとは、時と与(とも)に行(おこな)ふ也。柔、中を得(う)。是(ここ)を以て小事は吉なる也。剛、位を失ひて中ならず。是を以て大事に可(か)ならざる也。飛鳥の象有り。飛鳥、之が音(ね)を遺(のこ)す。上(のぼ)るに宜しからず、下るに宜し、大吉とは、上(のぼ)るは逆にして下(くだ)るは順なれば也。
 小過は小なる者(陰)が少々行き過ぎて物事が通る時。過ぎたることを知って程よい所に戻り、道を守るがよい。時勢に応じて事を行うのである。
 柔順な臣下六二と六五の天子が中庸の德を備えて重要な位に居るから、小事は成し遂げられる。剛健の九三と九四が重要な位から外れて中庸の德を欠いているから、大事は成し遂げられない。
 大卦坎には飛ぶ鳥の形がある。鳴き声が耳に残る所までは行ってもよいが、鳴き声が聞こえなくなる所まで行ってはならない。どこまでも高く飛翔しようなどと図に乗ってはいけない。ほどほどのところで下に降りてくるが宜しい。
 上を目指して傲岸不遜になってはならない。下に謙って、謙遜謙譲し、控え目にすれば、大いなる幸を得る。上に上(のぼ)ることは天理に逆らうことゆえ、傲岸不遜に陥りやすいが、下に下(くだ)ることは天理に順うことゆえ、謙遜謙譲して慎むことができる。
象曰、山上有雷、小過。君子以行過乎恭、喪過乎哀、用過乎儉。
□山の上に雷(かみなり)有るは、小過なり。君子以て行いは恭(うやうや)しきに過ぎ、喪(も)は哀しみに過ぎ、用は倹(けん)に過ぐ。
 山(艮)の上に雷(震)が轟くのが小過の形。山(さん)上(じよう)で雷が轟いても地上には大きな影響を及ばさない。君子は、行いは恭(うやうや)しさを少し過ぎる程度に、喪(も)においては哀しみを少し過ぎる程度に、消費は倹約を少し過ぎる程度に、何事も少し過ぎる程度に抑えて、宜しきを得る。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)傲慢ニシテ進ムトキハ、人ニ嫌惡セラレテ、身ニ災難アルベシク、恭謙ニシテ、進マザルトキハ、人ニ愛敬セラレテ、幸福アルベシ、又人ヨリ依頼セラルル事アル・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)傲慢に進む時は人から嫌われて災難を招き寄せる。恭しい態度で謙遜して進む時は人から愛されて幸福を招き寄せる。
○人から依頼されたことが原因となって、災害が発生することがある。依頼を断って応じなければ、咎なきを得られる。
○お客様の権威が大きくて、主人の権威はほとんどない時である。
○自分は止まって動かないが、相手は動いて止まらない時である。
○過失を犯す時。 ○自分と相手が背き合って離れ離れになる時。
○相手が行おうとすることを、自分が制止する時である。
○親しみ和合できない時である。
○小事は成し遂げられるが、大事は成し遂げられない。
○網の中にいる魚のように、進退が自由にならない。退いて今の立場を守って時が至るのを待つべきである。小事は可だが、大事は失敗する。
○拙い企画は苦労を招くだけ。正しい道を歩むべきである。動きすぎることを自戒すべきである。
○急に思い立つ事があるが、時が経つとどうでもよくなる。
○船が停止する時。進まない方が良い。何かを始めてはならない。
○小人に羽が生えて善からぬ事をしようとする。
○背中合わせの時なので、夫婦関係は和合しない。
○鳥でも飛んではならない。上に進めば問題を起こす時である。
○家を追い出される時。 ○男女関係が盛んな時。
○物価は始めは下がるが後に上昇する。