渙 六三 ||・ ・|・
六三。渙其躬。无悔。
□六三。其(その)躬(み)を渙(ちら)す。悔い无(な)し。
陰柔不正だが意志強固(過居)。自分の身を投げ捨てて離散した世の中を救うために上九の下(もと)に馳(は)せ参ずる。たとえ結果は出なくても、後悔することはない。
象曰、渙其躬、志在外也。
□其(その)躬(み)を渙(ちら)すとは、志、外(ほか)に在(あ)る也。
上九の下(もと)に馳(は)せ参ずる。世の中を救済したいという志を上九に訴えるためである。
以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)我ガ艱難ノ時、上位ノ人ヨリ、我ガ得意ナル事ヲ依頼セッレ、義ヲ立テ、身ヲ顧ミズシテ、節義ヲ盡シ、爲メニ事功ヲ奏シ、己レノ艱難モ亦之ト共ニ消滅ス、・・・
以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)自分も困難な状況に陥っているが、上位の人(上司等)から自分の得意分野の仕事を依頼されたので、義理を立てて自分の身を顧みずに大義を貫く。その結果、事を成し遂げ、自分が陥っていた困難な状況からも脱出できる。身を殺して仁を成す時である。
○国家が困難な状況に陥っているのに、自分の身だけを守ろうとする。
○困難な状況に陥り、対処する策が尽きて、もはや、他の人に依頼するしか手立てがない時である。
以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)友人某來リテ、運氣ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、渙ノ第三爻ヲ得タリ、
以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例)ある友人がやって来て、運氣を占ってほしいと頼まれたので、筮したところ渙の三爻を得た。
易斷は次のような判断であった。
渙は困難な状況に陥った人が、他の人の救助によって、困難な状況から脱出する時である。今回、運気を占って三爻が出た。貴方(占いを依頼した友人)は困難な状況に陥っており、そこから脱出する術(すべ)がない。そこで、上位の人(上九)に応じているので、助けを求めるが、逆に上位の人が急に困難な状況に陥って助けを求められる。そこで、自分の困難を顧みずに、速やかに上位の人を助ける。
貴方が上位の人を助ければ、上位の人は必ず貴方を助けてくれる。結果的に、自分が陥っていた困難な状況から脱出できる。このことを「其(その)躬(み)を渙(ちら)す。悔い无(な)し。陰柔不正だが意志強固(過居)。自分の身を投げ捨てて離散した世の中を救うために上九の下(もと)に馳(は)せ参ずる。たとえ結果は出なくても、後悔することはない。」と云う。
貴方は、自分が陥っている困難な状況を顧みずに、身一つで上位の人を救済すべきである。このことを「志、外(ほか)に在(あ)る也。世の中を救済したいという志を上九に訴えるためである。」と云う。「外(ほか)に在(あ)る」とは、自分の置かれている状況に関わりなく、やるべきことをやりなさい云うことである。
(易占の結果は書いてない。)