毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

期間限定「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 火雷噬嗑

2022年5月26日

二一 火雷噬嗑 |・| ・・|

噬嗑、亨。利用獄。
□噬(ぜい)嗑(こう)は亨る。獄(ごく)を用うるに利し。
 噬嗑は上アゴと下アゴの間にある邪魔物を、聡明な智慧(離)と活発な威権(震)で噛み砕いて除き去り、上下和合亨通する時。
 邪魔物は天下の害悪ゆえ、裁判や刑罰で懲らしめるがよい。
彖曰、頤中有物、曰噬嗑。噬嗑而亨。剛柔分、動而明。雷電合而章。柔得中而上行、雖不當位、利用獄也。
□頤(い)中(ちゆう)に物有るを噬嗑と曰う。噬嗑して亨る。剛柔分かれ、動きて明らかなり。雷電合して章(あき)らかなり。柔中を得て上(じよう)行(こう)す。位に当らずと雖も、獄を用いるに利しき也。
 上アゴと下アゴの間に邪魔物が有るので噬嗑と名付ける。聡明な智慧(離)と活発な威権(震)で邪魔者を噛み砕いて除き去り、上下和合亨通する。剛(震)柔(離)上下に分かれ、果断決行する威力(震)と聡明な智慧(離)を兼ね備えている。雷(震)の盛大な威力と電光(離)の煌(きら)めく光明が合体して、輝いている。柔順で中庸の德を備えた六五が尊位に居る。位は正しくないが、裁判と刑罰の執行が適切(厳格に過ぎない)ゆえ、宜しいのである。
象曰、雷電噬嗑。先王以明罰勑法。
□雷電は噬嗑なり。先王以て罰を明らかにして法を勑(ととの)う。
 上卦離の電光(明智)と下卦震の雷(威光)から成るのが噬嗑の形。
 昔の王は、明智で罪を区分して刑罰を細かく示し、威光で法律を整えて厳正に執行した。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)此卦ヲ得ルトキハ、我レ事ヲ爲サント欲スルノ時、差支ノ事生ズルカ、或ハ中間ニ妨ヲ爲ス者アルノ時トス、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)事を為そうと欲して、何か障害が発生するか、邪魔する者が現われる。礼儀と謙譲の心を大切にして、障害や邪魔者を除去しようとするが効果が上がらない。力(権力や権威)によって、障害や邪魔者を除去すべきである。力で対処すれば効果が上がる時である。
全て事を為そうとするならば、剛強の性質を前面に立てるが宜しい。
○声を高く上げて、その威力で人を脅す時である。
○心の中に含みがあるので、他人に腹を立てる時。
○腹が立ったり怒ったりしやすい時である。自分から相手に声をかけ(言葉を発し)て和合するべきである。
○よく考えないから、争い事を招き寄せる。
○自分と相手の間を邪魔する者がある。自分の志が相手に通じないので事がうまく進まない。邪魔する者を除去すれば、事は成就する。
○邪魔者を除去するために刑罰を用いれば効果が上がる。刑罰を執行すれば、利益が得られる。
○明智と権威によって刑罰を決める。刑罰の効果を見極めて、刑罰を執行すべきかどうか決める。権威を背景に武器を用いて国家を正す時。自分と相手の間に存在する邪魔者を除去すれば事は成就する。
○誰かと争っている場合は、訴訟すれば利益を得られる。
○騒々しくて落ち着きがなく、埒(らち)が明かない時。
○知らないことを人に質問する。 ○女性が強く、男性が弱い時。
○捕まって刑務所に入れられることがある。
○人から誹謗中傷され、あれよあれよという間に災いを招き寄せる。
○感情を激して(怒りまくって)、財産を失う。
○人に利害を説く。 ○人に利害を説かれる。
○人を養う。 ○何かを養う。 ○相手と交易する。
○強硬策で上下が分断される。 ○才能と智恵がある人が勉強する。
○人と反対の売買により利益を得る。物価は騰貴する。

噬嗑 初九 |・| ・・|

初九。屨校滅趾。无咎。
□初九。校を履(ふ)みて趾(あし)を滅す。咎无し。
 悪事を働き、足枷を嵌(は)められ、身動きが取れなくなる刑罰を受けた。初期の段階(小悪)ゆえ、反省して行動を改めれば更生できる。
象曰、屨校滅趾、不行也。
□校を履(ふ)みて趾(あし)を滅すとは、行かざる也。
 身動きが取れない刑罰を受ける。
 これ以上悪事を重ねないように、行動を制したのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)已ニ從事スル所ノ方向ヲ誤ル、宜シク猛省シテ之ヲ改ムベシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)現在の方向性が誤っている。よく反省して改善すべきである。これから起こす予定の事業のことを知らないので、失敗して恥をかく。いつも行っている小さな事業でも迅速に遂行できない。
○交際する相手の是非善悪をよく判断して、しっかりと選ぶべき時。
○足が傷付いており、動いて行くのが困難な時。無理して進んで行けば悪い結果になる。
○今は成功することが難しい時と判断して、進んではならない。
○初爻と上爻は刑罰を執行される時である。悪い要素は早い段階(初爻の段階)で制止するべきである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治二十三年春、友人某來リ謂テ曰ク、今共同シ進ミテ爲スコトアラントス、其吉凶成否ヲ占ハンコトヲ請フト、乃チ筮シテ、噬嗑ノ初爻を得タリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。