毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

期間限定「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 地天泰

2022年5月16日

十一 地天泰 ・・・ |||

泰、小往大來。吉亨。
□泰は、小往(ゆ)き大来(きた)る。吉にして亨る。
 泰は小(坤)が下降して、大(乾)が上昇するから、陰陽よく交わる。
 それゆえ、幸を得て、すらっと通る。
彖曰、泰小往大來。吉亨、則是天地交而萬物通也。上下交而其志同也。内陽而外陰、内健而外順、内君子而外小人、君子道長、小人道消也。
□泰は小往き大來る。吉にして亨るとは、則ち是れ天地交わりて万物通ずるなり。上下交わりて其の志同じきなり。内は陽にして外は陰、内は健にして外は順、内は君子にして外は小人、君子の道長じ、小人の道消するなり。
 泰は小(坤)が下降、大(乾)が上昇して、陰陽よく交わる。幸を得て、すらっと通る。天地交わり、万物が生成発展するのである。君德が民に普く行き渡り、民の意志が君に通じて、君民志を同じくして天下泰平となる。内面は君子(乾)の德を備えて、外面にその光を現さない(坤)。内側に剛健な志を抱き、外側は柔順に人に接する。根幹(内)に君子が居て、末端(外)に小人が居る。君子の道は盛んに伸び、小人の道は衰退する。
象曰、天地交泰。后以財成天地之道、輔相天地之宜、以左右民。
□天地交わるは泰なり。后(きみ)以て天地の道を財成し、天地の宜(ぎ)を輔(ほ)相(しよう)し、以て民を左右(たす)く。
 天地よく交わって和合調和するのが泰の形。君主は天地の道(天地自然の循環)が人の道(人間社会)に適合すべく、ほどよい加減に調整して、万民に寄り添う如く國を治める。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)時方ニ泰百事泰通意ノ如クナラザルハナシ、然レドモ泰極レバ否來ル、天運循環ノ理固ト雖モ、弊ヲ補フハ人ニ存ス、坐シテ以テ否ヲ待ツハ吝ノ道ナリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)正しく「泰」の時。万事安泰、通達しないことはない。だが、安泰の時もやがて極まれば、万事閉塞する「否」の時がやって来る。天の運行は循環して休まないのである。この時に中って、何か事を成し遂げようとしないようでは、後悔してもしきれない。
○「泰」と「否」の時は、天の運行。その時に中るのはその人次第。「泰」の時に、坐して「否」の時を待つのは、情けない話。
○事を成し遂げようとする人が占ってこの卦が出たら、見事に大成功を収める。
○陰陽が合体(合致)する時。
○万事通達する時。 ○万事安定する時。
○男女が情を通じ合う時。 ○上下関係が安定・調和する時。
○商人が占ってこの卦が出たら、その売買は吉運、大きな利益を得られる。卦辞・彖辞に「小往き大来たる」とある所以である。
○寛大で泰然としている時。
○家族が和合して、心身安泰を得る。
○勇気があって温和な人物。
○善人は報われるが、悪人は報われない。

泰 初九 ・・・ |||

初九。抜茅茹。以其彙。征吉。
□初九。茅(ちがや)を抜くに茹(じよ)たり。其の彙(たぐい)を以てす。征きて吉。
 賢人初九は、六四の大臣に抜擢され、茅(ちがや)を一本引き抜けば沢山の茅(ちがや)が引き抜けるように、九二と九三を引き連れて行く。朝廷に九二と九三を推挙して天下泰平となる。賢人が率先して朝廷に集まれば、社会は調和する。
象曰、抜茅、征吉、志在外也。
□茅(ちがや)を抜く征きて吉とは、志外に在ればなり。
 初九が九二と九三を朝廷に推挙して、天下泰平となる。志を同じくする賢人が朝廷(外)に集まるからである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)常ニ己レニ勝リタルモノヲ友トシテ、善事ニ進ムトキハ、其朋友モ與ニ助ケ、又上ニ居ルモノモ之ヲ助クベシ、故ニ小事ニ汲々セズシテ、世ノ公益ニ志スベシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)常に自分よりも優れている人物を友だちに選び、一歩一歩前に進めば、目上の人から目をかけられる。小さなことにクヨクヨせず、世のため人のために役に立てるような志を抱くべきである。「茅(ちがや)を抜く。六四の大臣に抜擢される」ことで調子に乗って、私利私欲に走ってはならない。
○目上の人に目をかけられる。
○初爻の居る場所は未開の土地。この土地を開墾していくべき。このことを「茅(ちがや)を抜く。茅(ちがや)を一本引き抜けば沢山の茅(ちがや)が引き抜ける」と云う。
○時に臨んで活性化できるように決断すべきである。
○善人が互いに連携して共に大事業を進める時。
○朋友(同志)の推薦によって立身出世する。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治二年、某藩ノ氏族某氏來リテ、商業ニ從事スルノ可否ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、泰ノ初爻ヲ得タリ・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。