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期間限定「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 はじめに 乾為天

2022年5月6日

はじめに

 本書は、八幡書店から出版されている「増補 高島易斷 上下巻」呑象高島嘉右衛門著に記載されている「(占い)」=「易経を占いとして解読する際のポイント」を記した箇所と「(占例)」=「実際に高島嘉右衛門が占いを立てた事例を記録した文章」を、著者(白倉信司)が読み取れる範囲内で現代語訳した文章で構成されている。
 あくまでも、著者が読み取れる範囲内の現代語訳なので、明治時代に書かれた本書の意味を正確に現代語訳したものではない。著者の独断と偏見に基づく現代語訳なので「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」というタイトルにした。

一 乾為天 ||| |||

乾、元亨利貞。
□乾(けん)は元(おお)いに亨(とお)りて、貞(ただ)しきに利(よろ)し。
 乾の時は、何を成し遂げても、あなたなりに大成する。正しくあるがよい。
彖曰、大哉乾元、萬物資始。乃統天。雲行雨施、品物流形。大明終始、六位時成。時乗六龍、以御天。乾道変化、各正性命、保合大和、乃利貞。首出庶物、萬國咸寧。
□大いなるかな乾(けん)元(げん)、万物資(と)りて始(はじ)む。乃(すなわ)ち天を統(す)ぶ。雲行き雨施(ほどこ)して、品(ひん)物(ぶつ)形を流(し)く。
大いに終始を明らかにし、六(りく)位(い)時に成る。時に六(りく)龍(りゆう)に乗じ、以(もつ)て天を御(ぎよ)す。乾道変化して、各(おの)々(おの)性(せい)命(めい)を正しくし、大(だい)和(わ)を保(ほう)合(ごう)するは乃(すなわ)ち利(り)貞(てい)なり。庶(しよ)物(ぶつ)に首(しゆ)出(しゆつ)して万(ばん)國(こく)咸(ことごと)く寧(やす)し。
 なんと偉大であろうか。乾の大いに成就するという時は。万(ばん)物(ぶつ)が生成発展を始めた。乾のパワーが万物を司(つかさど)っている。雲がモクモク湧き出て慈雨を施し、一つ一つが形を成して流通する。物事の始めと終わりを表わす「龍の六変化」である。
 君子の資質が隠れ潜んでいた潜(せん)龍(りゆう)が、志を打ち立てて、師匠に巡り逢い、努力に努力を重ねて、慈雨を施す飛龍として大空に飛翔する。
 乾(天)の道は陰陽消(しよう)長(ちよう)変化して、六十四の役割を全うし、天地宇宙が生成発展する。常に正しくして宜しきに適っている。龍が時を得て、世界が調和する。
象曰、天行健。君子以自彊不息。
□天(てん)行(こう)は健(けん)。君子以(もつ)て自(じ)強(きよう)して息(や)まず。
 天の営(いとな)みは、万物を照らし続ける太陽のように健(すこ)やかである。君子は、万物を照らし続ける太陽の働きを手本にして、自らを強く養(やしな)い、一日たりとも休まないのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
此卦ヲ得バ萬事ニ臨ミ剛健ニシテ疆メテ息マザルコト、乾ノ如クラナンヲ要ス、
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)この卦を得たら、万事に臨むに、剛健で限りなく強く、何事も継続して休まないという大象伝のようでなければならぬ。
○乾が出た時は、元亨利貞の四德を具えていることを要する。
○乾は德を施して、利益を求めてはならない時である。
○女性が占って乾が出た時は、強すぎて嫌われる恐れがある。慎むべきである。
○天候は、二三四五爻ならば晴れる。
○売買は、売る場合は利益があるが、買う場合は利益がない。
○善悪の結果は、一代で終らず子孫に引き継がれる。
○(乾はリーダーの時ゆえ)凡人が偶然リーダーになった場合は、下の人々を軽んじる恐れがある。
○賢者は天命を知っているので、人の道を踏み外さない。凡人は慢心が生じたり、時の勢いに乗じたりして、周りの人々を蔑(ないがし)ろにする恐れがある。

乾 初九 ||| |||

初九。潜龍。勿用。
□初(しよ)九(きゆう)。潜(せん)龍(りゆう)なり。用(もち)うる勿(なか)れ。
潜龍は無限の可能性を秘めているが、才能が潜み隠れている。世に出てはならぬ。
潜龍勿用、陽在下也。
○潜龍用うる勿れとは、陽にして下に在ればなり。
世に出てはならぬ。まだ君子の才能を発揮できない。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
大才德アリト雖モ、今ハ其才德を用フベキ時ニ非ズ、故ニ隠伏シテ、時運ノ至ルヲ待ベシ、然レドモ小事ノ如キハ、婦人ヲ用ヒテ事成ルノ占トス、
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)大きな才能と人德を具えているが、今はその才德を用いる時ではない。それゆえ、隠れ伏して時運が至るのを待つべきである。小さな事なら、女性を使いに出すがよい。
○目上の人とギクシャクする時である。
○大きな夢や希望を抱いても、実現しない。
○時を待ってから、事業計画を立てて実行するべきである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治二十二年、貴顕某ノ氣運ヲ占ヒ、筮シテ乾の初爻ヲ得タリ
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。