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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 火山旅 一

2022年8月29日

五十六 火山旅 |・| |・・

旅、小亨。旅貞吉。
□旅(りよ)は小(すこ)しく亨(とお)る。旅は貞にして吉。
 火(離)が山(艮)の上に在る。山(宿)は動かず、火(旅人)は燃え移るので、旅に例える。他国を旅する旅人は、止まるべき所に止まり(艮)、明智(離)で適切に対処する。それゆえ小事は通る。他国を旅する旅人の正しい道を守れば幸を得る。
彖曰、旅小亨。柔得中乎外、而順乎剛、止而麗乎明。是以小亨。旅貞吉也。旅之時義大矣哉。
□旅(りよ)は小(すこ)しく亨(とお)る。柔、中を外に得て、剛に順(したが)ひ、止まりて明に麗(つ)く。是(ここ)を以て小(すこ)しく亨(とお)る。旅は貞にして吉也。旅の時義大いなる哉(かな)。
 旅の時は、止まるべき所に止まり(艮)、明智(離)で適切に対処する。それゆえ小事は通る。柔順で外卦の中を得た旅人六五が剛健の上九と九四に挟まれて、止まるべき所に止まり(艮)、明智に従う(離)。それゆえ小事は通る。
 他国を旅する旅人の正しい道を守れば幸を得る。旅の時の意義は何と偉大であろうか。
象曰、山上有火旅。君子以明愼用刑、而不留獄。
□山の上に火有るは旅なり。君子以て明らかに慎みて刑を用ひ、而(しか)して獄(ごく)を留(とど)めず。
 泰然と止まり妄動しない山(艮)の上に、明るく速く燃え移る火(離)が有るのが旅の形。君子は、罪の軽重を明らかに見定め、慎重に刑を確定して、速やかに判決・執行する。
 すなわち何事も明らかに見定め、慎重に確定して、速やかに実行するのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)官員ハ公使領事等ヲ拜命シテ、外國ニ赴クノ卦トス、常人ハ愛敬薄キ人ニテ、衆人ニ愛セラレザルノ時トス、僧侶ハ德行衆ニ勝レタル眞ノ出家トス、器量ノ・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)役人(サラリーマン)が外交官(貿易担当)として、外国に赴任する時。勤めていない人は愛嬌が無いので、周りの人に愛されない時。僧侶の場合は、人德の高い本物の人物である。人德の高い人物は、大衆を教え導く。孔子も旅の人。孔子を旅の時に当て嵌めてみるがよい。
○体は止まろうとするが、心を止めることができない時。相手は去って行き、自分は止まる。親しい人がいない。誰も助けてくれない。苦労が絶えず、身も心も定まらない不安定な時。
○外に出かけて、弁舌で対処する時。
○火が山を焼いて山火事となり、火が旅人のように彷徨う時。
○今の場所から他の場所へ移転する時。
○利害関係を考慮して、今進めている事を取り止める時。
○人德高い賢人に順い、教え導かれる時。
○心が安定しない(不安定な)時である。
○親しい人が少なく、人々に受け容れられない時である。
○何らかの理由で出家することになる。
○物価は上昇する。

旅 初六 |・| |・・

初六。旅瑣瑣。斯其所取災。
□初六。旅にして瑣(さ)瑣(さ)たり。斯(こ)れ其(そ)の災を取る所なり。
 柔弱不中正で身分も賤しい初六は、旅に出ても志が卑小で、為す事全て卑劣である。侮蔑されて恥をかき、災いを招く。
象曰、旅瑣瑣、志窮災也。
□旅にして瑣(さ)瑣(さ)たりとは、志窮まるの災也。
 為す事全て卑劣である。恥知らずの初六が行き詰まって災いを招く。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)心狭小ニシテ、卑劣ナル者ハ勿論假令ヒ卑行ナキ人ト雖モ、人ニ知ラレズシテ、恥辱ヲ受ルノ時トス、我レ謙遜スレバ、人益々卑下スベシ、自若タル行ヲ爲シテ・・・