帰妹 六三 ・・| ・||
六三。歸妹以須。反歸以娣。
□六三。妹(いもうと)を帰(とつ)がするに以て須(ま)つ。反(かえ)れば帰(とつ)ぐに娣(てい)を以てす。
六三は柔弱不中正で上六と不応。兌(だ)の主爻で震の動きを悦(よろこ)ぶ淫(みだ)らな女。誰も嫁に貰ってくれない。反省すれば妾(めかけ)にはなれる。
象曰、歸妹以須、未當也。
□妹(いもうと)を帰(とつ)がするに以て須(ま)つとは、未(いま)だ当らざる也。
誰も嫁に貰ってくれない。性格の悪さが度を超えているのである。
以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)女子ニシテ斯ノ如シ、其醜太甚シト謂フベシ、男子ニ在リテハ、世ニ媚ビ、人ニ諂ヒ、常ニ僥倖ノ心ヲ抱キテ、上流ニ立ント欲スルモ、其望ヲ達スルコト能ハズ、・・・
以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)女性の場合、甚(はなは)だ醜い姿である。男性の場合、常に人に媚び諂い私利私欲を追求するが願いは叶わない。
○手段を選ばないで立身出世しようとする。どうしてそのようなことが実現しようか。よくよく反省すべきである。
○何も学ばないのに無謀に行動するので、進退窮まる時である。
○心掛けが卑(いや)しいので、誰にも相手にされない。
○何かを持ち逃げされる。
○自分を大事にしないので、人に馬鹿にされる。
○善からぬ(不正な)女性なので、誰も結婚してくれない。
○経済観念がない。貧困で困窮して、優れた才能がありながら、ろくな仕事に就けない。
○高く売ろうとして、逆に安く売る羽目に陥る。
以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)某縣人、余ガ親友ノ添書ヲ携ヘ來リ、官途ニ就クノ成否ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、歸妹ノ第三爻ヲ得タリ、・・・
以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例)ある人から役所への就職の成否を占ってほしいと頼まれたので筮したところ帰妹の三爻を得た。
易斷は次のような判断であった。
帰妹の卦は、少女が長男に恋い焦がれて迫って行く。長男はこれを避けて逃げて行く。
陰の三爻(貴方)は陽の四爻(旧知の役人)に比している。三爻は下の位であり四爻は上の位である。下の位の三爻は四爻と旧知の間柄である(比している)から、役所への就職を四爻の役人に依頼する。四爻の役人は表面的には依頼を受諾するが、内心では拒否している。三爻の貴方は役所に就職できるものと期待するが、終にそれは叶わないので絶望的な心境に陥る。以上を「妹(いもうと)を帰(とつ)がするに以て須(ま)つ。反(かえ)れば帰(とつ)ぐに娣(てい)を以てす。六三は柔弱不中正で上六と不応。兌(だ)の主爻で震の動きを悦(よろこ)ぶ淫(みだ)らな女。誰も嫁に貰ってくれない。反省すれば妾(めかけ)にはなれる。」と云う。
(残念だが)貴方の役人になりたい(職員として採用されたい)という望みは叶わない。もっと小さな望み(例えば、臨時職員として採用)で満足すべきであると易断した。
その後、果たして易占の通りとなった。