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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 風火家人 一

2022年7月22日

三七 風火家人 ||・ |・|

家人、利女貞。
□家(か)人(じん)は、女(おんな)の貞しきに利し。
 家人は治(ち)國(こく)平(へい)天(てん)下(か)の本(もと)たる斉(せい)家(か)の道。家を斉(ととの)えるには、一家の主が男の道で正しく家人を導くことは基(もと)より、婦人が率先して女の道を固く守ることが肝(かん)要(よう)である。
彖曰、家人、女正位乎内、男正位乎外。男女正、天地之大義也。家人有嚴君焉。父母之謂也。父父、子子、兄兄、弟弟、夫夫、婦婦、而家道正。正家而天下定矣。
□家人は、女、位(くらい)を内に正しくし、男、位を外に正しくす。
 男女正しきは、天地の大義なり。家人には厳(げん)君(くん)有り。父母の謂(いい)也。父は父たり子は子たり、兄は兄たり弟は弟たり、夫は夫たり婦(つま)は婦たり、而(しか)して家(か)道(どう)正(ただ)し。家を正しくして天下定まる。
 家人は女(六二)が内で女の道を固く守り、男(九五)が外で男の道を固く守る。各(おの)々(おの)道を守ることは天地の大義。そもそも家の中には威厳のある君主が居て、それは父母である。父は父らしく子は子らしく、兄は兄らしく弟は弟らしく、夫は夫らしく妻は妻らしく、各々その道を固く守れば、家の中は正しく治まる。先(ま)ず家の中をしっかり治めてこそ天下も治まるのである。
象曰、風自火出家人。君子以言有物、而行有恆。
□風(かぜ)、火より出(い)づるは家人なり。君子以て言(こと)物(もの)有(あ)り、而(しか)して行(おこない)恒(つね)有(あ)り。
 風(外)は火(内)から起こる。治國平天下(外)は齊家(内)に由るのが家人の形。君子は、言葉は至誠を貫き、偽(いつわ)りなく、行いは久しく※恒(つね)を守る。
※恒とは、「変易(変化)・不易(変化の法則)の道理」のこと。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)我レ明ニシテ彼レ從ヒ、一家睦クシテ、家事齊ヒ、安心ナル時ナリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)夫(陽的存在)は明智・明德を具えており、妻(陰的存在)は夫(陽的存在)に従う。家族(組織内の人々)仲睦まじく、家事(組織内の運営)はスムーズに運び、心安らかな時である。
○大勢の人々と交際して仲良くなり、まるで家族のような親密な関係を築き上げられる時である。
○本業を固く守れば、漸次に豊かになり、幸運を招き寄せる時である。
○家の中(組織の内部)で事を為せば成功する。家(組織)を出て事を為せば失敗する。
○物価は始め上がってその後下がる。売買が成功しやすい時。

家人 初九 ||・ |・|

初九。閑有家。悔亡。
□初九。有(ゆう)家(か)を閑(ふせ)ぐ。悔い亡(ふせ)ぶ。
 剛健正位で明德(離)備えた初九は、家を治める最初の段階に居て、邪心を制御することから始める。後悔することはない。
象曰、閑有家、志未變也。
□有(ゆう)家(か)を閑(ふせ)ぐとは、志未(いま)だ変ぜざる也。
 邪心を制御することから始める。家の人々の志が正しさを保っているのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)節儉ハ家ヲ興シ國ヲ興スノ基ニシテ、之ヲ行ヘバ、輕薄ニ流レズ、邪悪ニ陥ラザル者ト心得、總テ冗費ヲ省キ、質素ヲ行フベシ、又他ニ心ヲ移サズ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)節約と倹約は家族円満と国家繁栄の基本である。何事も節約と倹約を守れば、軽薄に流れることなく、邪悪に陥ることもない。以上を心得て、何事も無駄を省き質素にすべき時である。
○目的を一つに定め、家族(組織の構成員)が協力し、規律を定めてキチンと守れば、家庭(組織)は隆盛に向かって行く。
○外部の人を招き入れる場合は、わが家風(社風)と外部の人の役割分担を丁寧に伝え理解を得てから招き入れれば、招き入れた人は、キチンとその役割を全うして、わが家(組織)に貢献する。
○何事も初心を貫けばその後栄誉を得る。途中で怠ってはならない。
○進んで行くだけで、決して退かない時である。
○自分ができないことを遺言して身内の(家人)に託す時である。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)二十三年十二月、友人某來リテ、商法發令ノ成否ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、家人ノ初爻ヲ得タリ、・・・