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易経(周易)を読み解く 九一(山雷頥 初二三)

初九 ―‥‥ ‥‥― (山雷頥)之卦 二三山地剝
初九。舍爾靈龜、覿我朶頤。凶。
○初九。爾(なんじ)の靈(れい)龜(き)を舍(す)て、我(われ)を覿(m)て頤(おとがい)を朶(た)る。凶。
 初九は剛健正位で才德(才能と道德心共に)高いが、地位は卑しく(最下に在り)、下卦震(動)の主爻なので上に進もうとしている(六四と応じている)。自分には貴重で優れた才德(才能と道德心)があるのに、それを活かすことを放棄して、天子の師として君臨する頤の主爻上九を羨(うらや)ましく思い、下顎を垂れて涎(よだれ)を流す。
 素行自得して己を養い、貴重で優れた才德(才能と道德心)を活かして人(比する六二や応ずる六四)を養育するべきなのに、上九を羨ましく思い下顎を垂れて涎(よだれ)を流している。これでは全く、お話しにならない。
象曰、覿我朶頤、亦不足貴也。
○象に曰く、我を覿て頤(おとがい)を朶(た)るとは、亦(また)、貴(たつと)ぶに足らざる也。
 小象伝は次のように言っている。初九は素行自得して己を養い、貴重で優れた才德(才能と道德心)を活かして人(比する六二や応ずる六四)を養育することができる。なのに、天子の師として君(くん)臨(りん)する上九を羨(うらや)ましく思い、下(した)顎(あご)を垂れて涎(よだれ)を流している。どんなに才德(才能と道德心が共に)高くても、このような有様では全くお話にならない。もはや、貴ぶには及ばないである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)社会や組織の下層に居て、例え経済的に裕福になっても、満足しない。もっともっとと欲を出し、贅沢三昧を堪能しようとするから、禍(人災)を招く。地方の豪商が祖先から長年続いている事業を大事にせず、平凡な能力しかないのに、役人になることを望む。そのような人が、お国のために力を尽くすはずがなく、役人になって権力を手にすることを望む。人と利益を競うべきではない。
この時に処するに、以上のあり方を反面教師にすべきである。
○自分の利益を優先しようと考える。 ○気持ちがフラフラして、何も手に付かない。
○自分の才能と能力を過小評価して、人に頼って働こうとしない。人から批判される。


六二 ―‥‥ ‥‥― (山雷頥)之卦 四一山澤損
六二。顚頤。拂經。于丘頤、往凶。
○六二。顚(さかしま)に頤(やしな)わる。經(つね)に拂(もと)る。丘(おか)に于(おい)て頤(やしな)われんとし、往(ゆ)けば凶。
 六二は陰柔ゆえ自らを養う力はなく、応じる関係に在る六五とは陰同士なので養ってもらうこともできない。比する下の陽剛初九に養ってもらうえば常(じよう)道(どう)に背(そむ)く(上が下を養うと云う常の道に反する)が、まんざら悪くもない。けれども、応じる関係にある六五の上に君臨する陽剛の上九(丘)に養ってもらおうとして上に進み行けば、そもそも陽剛上九とは応ずる関係にない(何の縁故もない)ので、禍(わざわい)を招き寄せる。
象曰、六二往凶、行失類也。
○象に曰く、六二の往(ゆ)けば凶とは、行けば類(るい)を失う也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。六二が応じる関係にある六五の上に君臨する陽剛の上九に養ってもらおうと進み行けば禍を招くのは、そもそも上九と六二とは応ずる関係にない(何の縁故もない)からである。そして、そのようなことをすれば、本来六二と縁故があり、貴重で優れた才德(才能と道德心)を活かして六二を養うことができる陽剛初九を失うことになるのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)得られる財産は少なく、失う財産は多い。出入りがアンバランスな時である。役人の場合、上司を補佐できず、部下に助けられる。それゆえ、上の者からは信頼されずに、支援が断ち切られる。
○自分を養うことができず、人に養ってもらうのを待っている。利に悖(もと)っているから、凶運である。
○人の厄介になる(人に迷惑をかける)ことを、悪いと思わない。


六三 ―‥‥ ‥‥― (山雷頥)之卦 二二山火賁
六三。拂頤。貞凶。十年勿用。无攸利。
○六三。頤(い)に拂(もと)る。貞(てい)なれど凶。十年用(もち)ふる勿(なか)れ。利(よろ)しき攸(ところ)无(な)し。
 柔弱不中正でやり過ぎる六三は、自分を養う力もないのに、下卦震(動)の極点で妄動しており、一人ひとりが自らを養うために努力する頤(い)の道に甚だしく背いている。
 本来、正応である上九に養ってもらうのは正しいことだが、柔弱不中正なのに傲慢な態度で妄動して上九に媚び諂い取り入ろうとする。これでは、お話しにならない。
 このような人物は、未来永(えい)劫(ごう)用いてはならない。このような人物を用いれば、陸(ろく)なことにはならないのである。
象曰、十年勿用、道大悖也。
○象に曰く、十年用(もち)ふる勿(なか)れとは、道(みち)大いに悖(もと)れば也。
 小象伝は次のように言っている。柔弱不中正なのに傲慢な態度で妄動して上九に媚び諂い取り入ろうとする六三を未来永劫用いてはならないのは、一人ひとりが自らを養うために努力する頤の道に甚(はなは)だしく悖(もと)っているからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)本業に安んずることなく、何かを得ることを願って、あれこれ多くのことを求めるが、逆に財産を失う(損失する)時である。
その人にとっては分の過ぎた職業・職位に就いていながら、それ以上の出世を望んで、人災を招く。人の恩に馴れ、感謝する心を忘れて、世間の信用を失わないように、慎むべきである。
○柔弱で邪心が強く不正の位。動き(下卦震雷動)の極致で、正しい道を踏み外す。それゆえ、凶運である。
○人に養われて勢力を伸ばすが、養ってくれた上の人に取って代わろうとする。道を大きく踏み外す。 ○恩を仇で返す時である。