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周易詳解(一部抜粋) 雷地豫

十六雷地豫 ☳ ☷

 互卦 三一澤山咸  ☱☶
 綜卦 十五地山謙  ☷☶
 錯卦  九風天小畜 ☴☰

 雷地豫も地山謙と同じく一陽五陰の卦である。地山謙をひっくり返すと雷地豫となる。いわゆる綜卦である。綜卦とは自分と相手がいる場合、自分の立場で見たのが本卦で、相手の立場で見ると綜卦になる。すなわち、地山謙が従業員の立場で見た時とするならば、雷地豫は役員の立場で見た時となる。
 従業員の立場で見ると役員が無能(坤☷)なので、このままでは会社が立ち行かなくなる。そこで、従業員をとりまとめている三爻が中心となって山のように、どっしりと構えて、「孤立や孤独(艮の性質)」に耐え、物事に「貞固(艮の性質)」に対処したのである。しかも、役員の面子を立てて黒子に徹したのである。
 これを役員の立場で見たのが雷地豫である。下卦坤☷の無能な役員がよく動き働く上卦震☳の従業員に任せて高みの見物をしている。働き者の従業員は二三四爻の互体艮☶の山のように、どっしりと構えて、「孤立や孤独(艮の性質)」に耐え、物事に「貞固(艮の性質)」に対処する。以上、雷地豫と地山謙を綜卦の関係で整理してみた。
 一方で次のような見方もできる。同じ一陽五陽でも一陽の位によって内容が全く異なってくる。地山謙の一陽は従業員の立場である三爻に位置していたから、自分の力を発揮するに中り、上卦の役員に謙る必要があった。ところが、雷地豫の一陽は役員の立場である四爻に位置しているから、謙る必要は全くなくどうどうとその力を発揮することができる。このような見方もできる。
 地山謙には「君子終(おわり)有り。」とあった。三爻が君子だからこそ謙って黒子に徹する任務を遂行できるのだと。ところが雷地豫には「侯(きみ)を建(た)て師(いくさ)を行(や)るに利(よろ)し。」とある。役員である四爻を全面的に立てて大々的に動くが宜しいというのである。同じ一陽五陰の時でも爻の位が一つ違うだけで全く違った内容になる。これが易経の面白いところである。すなわち、「時処位(ときところくらい)」によって対処法が全く異なるのである。以下省略。