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易経(周易)を読み解く 二四(山水蒙 四五上)

六四 ―‥‥ ‥―‥ (山水蒙) 之卦 六四火水未濟

六四.困蒙。吝。
○六四。蒙に困(くる)しむ。吝(りん)なり。
 六四は才德乏しく応じる爻と比する爻がない(六四以外は応比のいずれかはある)。蒙昧さを啓いてくれる先生は陽爻である九二と上九であるが、包容力のある九二にも、厳格に過ぎる上九とも縁がない。孤立無援の八方塞がりで困窮する。
 このまま、現状に甘んじているとしたら、実に恥ずかしいことである。応比の関係になくても、自分から師を求めて行かなければ蒙を啓くことはできない。
象曰、困蒙之吝、獨遠實也。
○象に曰く、蒙に困(くる)しむの吝(りん)なるは、獨(ひと)り實(じつ)に遠ければ也。
 小象伝は次のように言っている。六四が孤立無援の八方塞がりで困窮するのは、童蒙仲間の四陰の中で、六四だけが、師(九二と上九)と無縁だからである。このままでは誰も助けてくれない。自分で道を切り開いていくしかない。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇蒙昧無知にして、どうでもよいこと(無益なこと)に心を苦しめる時。智恵のある人を先生として学び、これまでのあり方を反省し、蒙を啓くべく発奮すべきである。それができなければ、終に蒙昧無知な人間として一生を終える。
○人の諫めを聞き入れない時。 ○愚鈍なので、何をやってもうまくいかない。
○蒙を啓いてくれる先生を捜し求めて学ぶべきである。


六五 ―‥‥ ‥―‥ (山水蒙) 之卦 五九風水渙

六五。童蒙、吉。
○六五。童(どう)蒙(もう)、吉(きつ)なり。
 六五は君主(トップ)としての力量に欠けている。君主(トップ)の位に在るけれども上卦艮(少男)の一員なので童蒙と名付ける。柔順で中庸の德を具えているので己の力量を辨(わきま)えている。自分より格下の位に在る九二の賢臣を師と崇めて、蒙を啓くべく師に教え導かれる。
象曰、童蒙之吉、順以巽也。
○象に曰く、童蒙の吉(きつ)なるは、順にして以(もつ)て巽(そん)なれば也。
 小象伝は次のように言っている。六五の君主(トップ)が蒙を啓くのは、柔順で中庸の德を具えており、素直で謙虚だからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇自分を教え導いてくれる賢者が存在する。謙虚な姿勢で賢者に学べば、遂に青雲に向かって進み行くようになる。
○誠の心で賢者の教えに従い、違うことがあってはならない。

上九 ―‥‥ ‥―‥ (山水蒙) 之卦 七地水師

上九。撃蒙。不利爲寇。利禦寇。
○上九。蒙を撃(う)つ。寇(あだ)を爲(な)すに利しからず。寇(あだ)を禦(ふせ)ぐに利し。
 上九は童蒙である六五の君主を啓蒙するために、六五を叩き撃つように教え導く老師である。闇雲に厳格に過ぎてはならないが、悪の誘惑から六五の君主(トップ)を守るためには、厳格にすべきである。六五は君主(トップ)の位に在るから厳格にするのである。また、上九の老師ならば、善いところは何一つない無節操な女六三(応じている)の蒙を啓けるかもしれない。
象曰、利用禦寇、上下順也。
○象に曰く、用て寇を禦ぐに利しとは、上下順なれば也。
 小象伝は次のように言っている。悪の誘惑から童蒙を守るためには、厳格にすべきであるのは、師と弟子の道(上九を六五のお目付役やブレーンに例えている)に適っているからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇過激な性格なので、慕う人がなく、他人の過ちを容赦なく責めるので、怨みを買う。その過激な言行を慎むべきである。
○思わぬ時に盗賊に押し入られる。よくよく戒めなければならない。
○理屈屋で人情に欠ける。先ず自分を正すべきである。
○今は自分を省みる時。人を制することはできない。
○老父が隠居の身で、後継者にあれこれと口を出して嫌われる。
○他人の言行の是非善悪を厳しく問いかけるので、怨みを買う。
○無知蒙昧な人物に欺(あざむ)かれる。