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易経(周易)を読み解く 二三(山水蒙 初二三)

初六 ―‥‥ ‥―‥ (山水蒙) 之卦 四一山澤損

初六。發蒙利用刑人。用説桎梏、以往吝。
○初六。蒙を發(ひら)く。用(もつ)て人を刑するに利し。用(もつ)て桎(しつ)梏(こく)を説(と)き、以て往(ゆ)けば吝(りん)なり。
 初六は柔弱で才德乏しいから、放っておけば悪の道に進みかねない。比する剛中九二の先生は初六を啓蒙する役割を担っている。
 刑罰を加えるような厳しさで初六に道德を叩き込むが宜しい。道德が身に付いてきたら刑罰を緩くすべきである。
 いつまでも厳し過ぎると未熟な初六が反抗して、悪の道に進みかねないからである。
象曰、利用刑人、用正法也。
○象に曰く、用て人を刑するに利しとは、用て法を正す也。
 小象伝は次のように言っている。九二の先生が刑罰を加えるような厳しさで初六に道德を叩き込むのは、柔弱で才德乏しい初六は蒙昧なので、理屈抜きで人間社会の決まり事(法)を叩き込むことが必要だからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇頑(かたく)なな愚か者が、先生(九二)によく鍛えてもらい、智恵を啓こうとする時。先生の鍛え方が厳しすぎて、教え導くことの限界を超えると、先生が恥をかく。
愚かなままで成長すると、人の道の何たるかを知らないので、自分が過ちを犯すなどと思わず、過ちを犯して罪人となり刑罰を受けることがある。先生(九二)が早くその事に気付き、初六に人の道を教え、志を改めさせて、法律や道德に従うように導くべきである。
○物事の是非や得失の判断ができない。 ○妄想が多くなる。
○畏れることを知らない。誰かに教え導いてもらうべきである。


九二 ―‥‥ ‥―‥ (山水蒙) 之卦 二三山地剝

九二。包蒙、吉。納婦、吉。子克家。
○九二。蒙を包む、吉。婦(ふ)を納(い)る、吉。子、家を克(よ)くす。
 九二は剛健中庸の德を具えており、童蒙(蒙昧な六五の指導者)を啓蒙する(教え導く)使命を担っている。童蒙(蒙昧な六五の指導者)を包容する度量で教え導けば、童蒙(蒙昧な六五の指導者)蒙を啓くことができる。
 妻を娶るように六五と意氣投合して、剛に過ぎず(厳し過ぎず)寛に流れず(寛容に過ぎず)六五を教え導けば、(指導者の蒙昧さは啓けて)家(家族を最小単位として国家を最大単位とするあらゆる組織)は斉い、国は治まる。子(九二)が父(六五)から厚く信任されるからである。
象曰、子克家、剛柔接也。
○象に曰く、子、家を克(よ)くすとは、剛柔接(まじ)わる也。
 小象伝は次のように言っている。子(九二)が父(六五)から厚く信任されて家(家族を最小単位とするあらゆる組織)を斉えることができるのは、剛柔(師である九二と蒙昧な指導者六五が)相応じて意氣投合するからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇剛明の德を隠して人を善く導く者。それゆえ、その剛明の德を慕って教えを授かろうとする人が少なくない。高貴な存在ゆえ良縁を結ぶこともある。子どもにまで家運繁栄することが及ぶ。
○大衆を指導・指揮すれば吉運の時。
○教師を雇ったり、教師に付けば吉運が開ける。
○社長や議長などリーダー的存在の人が、部下や大衆を指導すれば、吉運が開ける。
○養子を迎えて養えば大きな吉運が開ける。
○天下・組織の蒙昧な状態を治めることができる。

六三 ―‥‥ ‥―‥ (山水蒙) 之卦 十八山風蠱

六三.勿用取女。見金夫、不有躬。无攸利。
○六三。女(じよ)を取(めと)るに用うる勿(なか)れ。金(きん)夫(ぷ)を見れば、躬(からだ)を有(たも)たず。利しき攸(ところ)无(な)し。
 六三は、才德乏しいのに気位高く欲深い女である。指導者の師である九二に心を引かれて夫(上九)を蔑ろにする。このような女は絶対に嫁にしてはならない。金持ちや色男を見れば、身を保てない無節操な女である。善いところは何一つない。
象曰、勿用取女、行不順也。
○象に曰く、女(じよ)を取(めと)るに用うる勿(なか)れとは、行い順(じゆん)ならざる也。
 小象伝は次のように言っている。六三は指導者の師である九二に心を引かれて夫(上九)を蔑ろにする。このような女は絶対に嫁にしてはならない。
 夫に柔順に従う女の道に背いて恥じを知らない無節操な女である。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇女性を娶(めと)るのは宜しくない。自分の意思で行なうことは、何事も宜しい結果とはならない。自分の所に向かって来る者は、皆、不正の人物なので、心安んずることができない。
○蒙昧な女性のように、物事を判断できない。