十七澤雷随 ☱ ☳
互卦 五三風山漸 ☴☶
綜卦・錯卦 十八山風蠱 ☶☴
雷地豫は春の雷に例えられたが、澤☱の下に雷☳が潜んでいる澤雷随は秋の雷に例えられる。春夏秋冬の順で整理すると雷に例えられる卦は次の四つである。
春の雷 雷地豫☳☷(大地に出てきて轟き渡る)
夏の雷 雷天大壮☳☰(天の上で激しく轟き渡る)
秋の雷 澤雷随☱☳(活発な活動を止め湖の下に潜んで休む)
冬の雷 地雷復☷☳(大地の下に潜んで春を待つ)
澤雷随は随う時である。本来は随うべき相手でなくても今は随うべき相手に随う時である。それは卦象に表れている。すなわち、上卦☱は人間家族に例えれば「少女(女の末っ子)」である。下卦☳は「長男」である。普通は「長男」が上に居て、「少女」は下に居るべきなのに逆転している。本来なら「少女」が「長男」に随うべきなのに、今は「長男」が「少女」に随うべき時だから、「少女」の下に「長男」が居るのである。
それゆえ、彖伝に「隨は剛(ごう)来(きた)りて柔(じゆう)に下(くだ)り、動きて説(よろこ)ぶは隨なり。/隨は下卦震(剛)が上卦兌(柔)の下に在(あ)る。剛(長男)が柔(少女)に随って動けば、柔(少女)は悦んで剛(長男)に従う。これが隨の時である。」とある。
澤雷随は随う時であるから陰の卦とも云える。繋辞上伝第三章に「卦には小大有り」とある。黒岩重人先生は「全釈易経下」の中で「小は小卦、すなわち陰卦をいい、陰爻を主とする卦のこと」と解説している。「陰爻を主とする卦」の解釈は難しく、彖に陰爻が多いから「陰卦」と考えるのは違うと思う。澤雷随は陰陽三爻ずつで同数であるが、「今随うべき相手に随う時」だから明らかに「陰卦」である。「陰卦」とは「陰」の「柔順、従う、承ける、消極的、静的」という「陰」の性質を持っている卦であろう。以下省略。