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易経(周易)を読み解く 百(離為火 四五上)

九四 ―‥― ―‥― (離為火)之卦 二二山火賁
九四。突如其來如。焚如、死如、棄如。
○九四。突如として其(そ)れ來(らい)如(じよ)たり。焚(ふん)如(じよ)たり、死(し)如(じよ)たり、棄(き)如(じよ)たり。
 ここから上卦に入る。下卦は先代の御代、上卦は現世或いは後世の御代。九四は現世或いは後世の御代の始めである。九四は剛(ごう)毅(き)に過ぎて志がなく(陽爻陰位)、謙(けん)譲(じよう)の德に欠けている(陽剛不中正)。君主(トップ)を補佐する大臣(側近)の位(或いは先代の後を継ぐ後継者の位)にありながら、君主(トップ)の座を射止めようとして猪(ちよ)突(とつ)猛進する。烈火のように天下国家を攪(かく)乱(らん)するので、安定していた先代の御代は様変わりする。
 誰の支持も得られずに自爆して反逆罪で処刑される。大衆から見放されて、その存在は葬(ほうむ)り去られる。泰平の世は乱れて国家社会は危機的な状況に陥る。
象曰、突如其來如、无處容也。
○突如として其(そ)れ來(らい)如(じよ)たりとは、容(い)るる處(ところ)无(な)き也(なり)。
 九四は現世或いは後世の君主(トップ)を補佐する大臣(側近)の位(或いは先代の後を継ぐ後継者の位)にありながら、君主(トップ)の座を射止めようとして猪突猛進する。
 このような反逆者(或いは暗君)が世間に受け容れられるはずがないが、泰平の世は乱れて国家社会は危機的な状況に陥る。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)自分の勇気を誇る余り、人からの諫めに全く耳を貸さず、やりたい放題を重ねて、自ら人災を招く。「飛んで火に入る夏の虫」とは、九四のこと。恐れ慎み人災に遭遇することを避けるべきである。
○婦人の場合は、嫉妬が原因となり、人間関係や事業が破綻する。
○ザワザワと騒がしい。私利私欲で動けば、人間関係や事業は破綻し、親しい人々は離れて、思いもよらない人災に遭遇する。
○延焼するという象(かたち)。

六五 ―‥― ―‥― (離為火)之卦 十三天火同人
六五。出涕沱若。戚嗟若。吉。
○六五。涕(なみだ)を出すこと沱(た)若(じやく)たり。戚(うれ)へて嗟(さ)若(じやく)たり。吉(きつ)。
 六五は柔順にして明智・明德・文明と中庸の德を具えた天子(トップ・先代の後継者)だが、烈火のように天下国家を攪(かく)乱(らん)する側近九四の大臣(或いは先代の後継者の位にありながら猪突猛進して世間から見放された自分自身)に妨害されて、涙を流すような心労が絶えない。憂え悲しみ嘆かずにはいられない。けれども、柔中の仁德で時勢を見極め、戒(いまし)め慎(つつし)み、騒いだり腹を立てたりすることなく、艱難辛苦を克服すべく努力する。
 やがて、艱難辛苦を乗り越える頃になると、二陽の勢いは徐々に衰えていき、国家は安(あん)寧(ねい)に向かっていく。
象曰、六五之吉、離王公也。
○六五の吉(きつ)は、王(おう)公(こう)に離(つ)けば也(なり)。
 六五は柔中の仁德で時勢を見極め、戒(いまし)め慎(つつし)み、騒いだり腹を立てたりすることなく、艱難辛苦を克服すべく努力する。やがて、艱難辛苦を乗り越える頃になると、二陽の勢いは徐々に衰えていき、国家は安(あん)寧(ねい)に向かっていく。
 柔順にして明智・明德・文明と中庸の德を具えた六五が天子(トップ・先代の後継者)としての役割を全うすべく憂え畏(おそ)れて、爲(な)すべき事を成すからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)人を慈しみ愛する気持ちが深く、この爻の言葉を体現できる人ならば、その人が属する家族・地域・組織は調和して、平和な天下国家を実現できる。彖伝に「重(ちよう)明(めい)にして以(もつ)て正に麗(つ)く。乃(すなわ)ち天下を化(か)成(せい)す。日日に新たに太陽が昇るように、人は明智に明智を重ねて正しい道に麗く。すなわち君主が太陽のような明德を発現して、臣民を化(か)育(いく)すれば、文化・文明は生成発展する」とあるのは、この爻を称賛しているのである。世の爲政者は、この爻を見習って自戒すべきである。

上九 ―‥― ―‥― (離為火)之卦 五五雷火豐
上九。王用出征。有嘉折首。獲匪其醜。无咎。
○上九。王用(もつ)て出(い)でて征(せい)す。嘉(か)有り。首(かしら)を折る。獲(え)ること其(そ)の醜(たぐい)に匪(あら)ず。咎(とが)无(な)し。
 上九は剛健で明智・明德・文明の德を極めた(離の卦極に居る)賢人である。トップ六五の命令で反乱軍(九四)を討(とう)伐(ばつ)するために出(しゆつ)征(せい)する。その結果、見事に反乱軍の首(しゆ)領(りよう)を討ち滅ぼすが、手下の仲間には寛大に対処する。それゆえ誰からも咎められない。
象曰、王用出征、以正邦也。
○王用(もつ)て出(い)でて征(せい)すとは、以(もつ)て邦(くに)を正す也。
 上九が六五の命令で反乱軍(九四)を討(とう)伐(ばつ)するために出(しゆつ)征(せい)するのは、六五のトップを補佐して反乱軍を討ち滅ぼし、反乱軍の乱行によって危機的な状況に陥っていた国家社会を正して、泰平な世の中を築き上げるためである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)勇気を持って悪を制止すれば、大きな成功を治める時である。明智を具えた人が大事業に中って実質的な成功を治める。
○剛毅さと明察さを極める時。よく決断する(決断できる)。
○智恵が多いので幸福が得られる。