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周易詳解(一部抜粋) 澤地萃

四十五澤(たく)地(ち)萃(すい) ☱ ☷ 兌上坤下

 互卦 五三風山漸 ☴☶
 綜卦 四六地風升 ☷☴
 錯卦 二六山天大畜☶☰

 澤地萃☱☷は五爻と四爻が陽爻でそれ以外が陰爻のツートップ体制の形をしている。五爻がトップでワントップ体制の水地比☵☷と四爻がトップでワントップ体制の雷地豫☳☷を合体させた形が澤地萃である。水地比も雷地豫も豪腕トップが全体を制御するのだが、澤地萃は豪腕トップが二人居て全体を制御する。二人が組織をグイグイ率いる大盛運の時である。
 卦象を見ると、上卦兌の澤の水が流れており、また下卦坤の大地に浸透して肥沃な土地である。作物が豊富に採れるので沢山の人が集まってくる。上卦兌の経営陣は喜びと恵みの精神(兌の性質)で組織を率いるから、下卦坤の従業員は上卦兌の経営陣に柔順に従い組織は順調に伸びて行く。業績は伸びて人々が集まり、運氣は益々盛んになる。何とも景気の良い時である。
 だが、この卦を小成卦で見ると大きな「坎」となる。坎には「険しい・苦労が多い・悩む」性質があるから、大盛運の中に問題や課題が潜んでいそうである。あるいは、川が氾濫して大水害が起こる可能性もある。また、上卦の経営陣には兌の「喜びすぎて乱れる」性質があるから、ツートップが調子に乗ってグイグイ行き過ぎると、組織が乱れる心配もある。
 ツートップの五爻は社長、四爻は側近。それぞれ経営者としての能力を具えており従業員から慕われている。ツートップ体制は組織をグイグイ率いていく力もあるが、ツートップの方向が一致しないと組織をバラバラにしかねない心配もある。
 野球選手に例えるとツートップはスター選手である。古い話で恐縮だが高度経済成長期の読売ジャイアンツ(巨人)の長島選手と王選手の組み合わせがツートップ体制である。やがて長島選手も王選手も監督になったが、澤地萃のツートップ体制とは、長島選手が巨人軍の監督を務め、王選手がヘッドコーチを務めているような体制である。
 巨人軍の選手から見れば、長嶋監督も王ヘッドコーチも憧れの的である。長嶋監督に強く惹かれる選手もいれば、王ヘッドコーチに強く惹かれる選手もいる。監督(社長)もヘッドコーチ(側近)も素晴らしい人物であるが、組織を一つにまとめる観点から見ると、組織は二分しかねない。五爻の長嶋監督には二爻の四番バッターが応じているが、四爻の王ヘッドコーチには三爻のベテラン選手が比しており、初爻の新人スター選手が応じている。以下省略。