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周易詳解(一部抜粋) 風地観

二十風地観 ☴ ☷ 巽上坤下

 互卦 二三山地剝  ☶☷
 綜卦 十九地澤臨  ☷☱
 錯卦 三四雷天大壯 ☳☰

 風地観も陰陽消長卦の一つである。衰運真っ盛り(天風姤☰☴→天山豚☰☶→天地否☰☷→風地観☴☷)で、どんどん墜ちていく時だが、閉塞・逼迫してどうにもこうにもならなかった天地否の時と比べると、外部環境は更に悪化しているものの、先行きに希望が見えてくる(国の光を観る)時である。
 風地観の時に希望が見えてくるのは、五爻と上爻が範を示すからである。日本の国体に当て嵌めると五爻は今上陛下、上爻は歴代天皇である。史実とは異なるが、理想的な日本の国体の在り方として幕末を風地観に当て嵌めると、上爻は歴代天皇、五爻は孝明天皇、四爻は徳川慶喜である。慶喜は孝明天皇の姿に「国の光を観た」のである。そこで、自分は身を引き幕府を閉じ王政復古を実現すべく明治政府に後を託したのである。
 風地観☴☷の後は、山地剝☶☷→坤為地☷☷とまだまだ墜ちていく。けれども、風地観の時に「国の光を観る」、すなわち、将来昇っていく時の方向性が見えたのである。だから、風地観の時は天地否よりも更に外部環境は悪化して厳しい状況に置かれるが、希望を持ってその厳しい状況を乗り越えることができる。
 卦象から見ると、風地観☴☷を八卦に圧縮すると大きな艮☶となる。天地否☰☷の時は頭(上卦☰)が重くて、足下(下卦☷)がおぼつかなかったが、風地観☴☷になると頭(上卦☴)が軽くなり、地に足が付いてきた。どっしりと聳え立つ山☶のように安定感が増してきたのである。
 あるいは、上卦巽☴の風(君子の慈愛)が下卦坤☷の大地に普(あまね)く行き渡り、万物は君子を仰ぎ観るのである。
 今を下卦、将来を上卦と見立てるならば、風地観☴☷をひっくり返した綜卦地澤臨☷☱が将来となる。今は墜ちていく時だが、将来は昇っていく時であることを示している。だから、風地観の時は天地否よりも厳しい状況に置かれても将来に希望を持って進んで行くことができる。「咸臨丸」は地澤臨の言葉から命名した。咸臨丸は軍艦二号機である。軍艦一号機は「観光丸」と命名されている。明らかに風地観の「国の光を観る」が出典であろう。江戸時代の武士達は易経を熟知していたのである。以下省略。