毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

易経(周易)を読み解く 百五九(火風鼎 初二三)

2021年12月18日

初六 ―‥― ――‥ (火風鼎) 之卦 十四火天大有

初六。鼎顚趾。利出否。得妾以其子。无咎。
○初六。鼎(かなえ)、趾(あし)を顚(さかさま)にす。否(あしき)を出(いだ)すに利し。妾(しよう)を得て其(その)子を以てす。咎(とが)无(な)し。
 初六は鼎の脚であり、社会制度を刷新する鼎の時の最下に居て鼎の脚をひっくり返そうとしている。正しい姿勢ではないが、鼎の中に溜まっている穢いもの(変革前の残滓)を除き去るには都合がよい。変革の後、乱れた秩序を鼎の中に溜まっている穢いものに例えたのである。変革の後で新しい秩序を整えるには、乱れた秩序を一掃することが必要なのである。例えれば、初六は賤しい身分(鼎の最下)なので九四の大臣(側近)の正妻にはなれないが、妾になって子供を産み、九四に跡取りが出来たという手柄を立てるのである。鼎の中に溜まっている穢いもの(変革前の残滓)を除き去るという、旧来の人々から嫌われる役割を担っているが、手柄を立てるので、誰からも咎められないのである。
象曰、鼎顚趾、未悖也。利出否、以從貴也。
○象に曰く、鼎、趾(あし)を顚(さかさま)にすとは、未(いま)だ悖(もと)らざる也。否(あしき)を出(いだ)すに利(よろ)しとは、以て貴(たつとき)に從(したが)ふ也。
 小象伝は次のように言っている。初六は鼎の脚であり、社会制度を刷新する鼎の時の最下に居て鼎の脚をひっくり返そうとしている。正しい姿勢ではないが、道理に悖っていない。穢いもの(旧来の弊害)を除去するのは、貴いもの(より善い社会制度)を取り入れるためである。すなわち、変革の後、乱れた秩序を一掃して、新しい秩序を整えるためである。
【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇古い慣習や制度の弊害を取り除き、気持ちを刷新して、新しい指導者の方向に従えば、吉運を招き寄せる。
○妾(正式な存在ではない喩え)を迎える場合は、善良な人物を得られる時。また、妾から子どもが生まれる(これも喩え)時である。
○陰謀を図る者は、陰謀が発覚して実行できない。そのような悪しき心を改めて、尊崇すべき人物に従えば、たとえ貴方が小人(凡庸な人物)だとしても、社会の役に立つ時である。
○やろうとしている事は既にできている時。それ以上望んでも意志が継続しないので無駄である。
○女性としての喜びが得られる時である。

以下省略。次の書籍をご覧ください。