毎日連載! 易経を中心に日本の心に関する情報を毎日アップしています。

易経(周易)を読み解く 八十(山地剝 四五上)

六四 ―‥‥ ‥‥‥ (山地剝)之卦 三五火地晉
六四。剝牀以膚。凶。
○六四。牀(しよう)を剝(はく)するに膚(はだえ)を以(もつ)てす。凶。
 六四は牀(しよう)の脚(あし)を剝(はく)落(らく)し尽くして牀の上に居る上九に迫り(人が載っている寝台の脚の下から脚の上、そして、寝台そのものに被害が及び、今や寝台に載っている)君子・上九の皮膚を剝落する段階に至った。もはや禍(わざわい)(君子が小人に剝落されること)を回避できない。終には全てが崩壊(君子が小人に剝落されて組織が瓦解)する。
象曰、剝牀以膚、切近災也。
○象に曰く、牀(しよう)を剝(はく)するに膚(はだえ)を以(もつ)てすとは、切に災(わざわ)いに近き也。
 小象伝は次のように言っている。もはや禍(わざわい)(君子が小人に剝落されること)を回避できない。人が載っている寝台の脚の下から脚の上、そして、寝台そのものに被害が及び、今や寝台に載っている人に直接被害が及ぶように漸(ぜん)次(じ)に進んで来た剝落の災害がいよいよ切(せつ)迫(ぱく)して上九の君子に近づいて来たのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)災いが、自分の身に及ぶ時。方向を転じて災いを回避する処置を執(と)るべきである。そうでなければ、臍(ほぞ)を噛む(自分のヘソを噛む~どうにもならない~)ように後悔する。
○火氣によって、衣裳が剥ぎ取られるような時。
○禁じられていることを犯してしまう時。
○自分から災いに近付いて行き、災いを蒙る。
○火に関係する災難に遭遇する。

六五 ―‥‥ ‥‥‥ (山地剝)之卦 二十風地観
六五。貫魚。以宮人寵。无不利。
○六五。魚を貫く。宮(きゆう)人(じん)を以て寵(ちよう)せらる。利しからざる无(な)し。
 卦主(トップ)の六五が衆陰(初六・六二・六三・六四)を目(め)刺(ざ)し魚のように一つに束(たば)ねて、後(こう)宮(きゆう)の妻(さい)妾(しよう)のように上九から寵(ちよう)愛(あい)されれば(君子たる上九に柔順に従えば、或いは、君子たる上九に取り入って媚(こ)び諂(へつら)えば)、剝の禍(わざわい)を一(いつ)時(とき)は回避することができる。
象曰、以宮人寵、終无尤也。
○象に曰く、宮(きゆう)人(じん)を以て寵(ちよう)せらるとは、終(つい)に尤(とが)无(な)き也。
 小象伝は次のように言っている。六五が衆陰を目刺し魚のように一つに束(たば)ねて、後(こう)宮(きゆう)の妻(さい)妾(しよう)のように上九から寵(ちよう)愛(あい)される(君子たる上九に柔順に従う、或いは、君子たる上九に取り入って媚(こ)び諂(へつら)う)から、最終的にトップとして組織を瓦解させた責任を免れることができる(歴史的に汚名を着せられることはない)のである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)貴人の寵愛を賜って幸せを招き寄せる時。天下国家を論ずる人は、天下の大事に中るべきである。婦人から寵愛を受けるようなことがあってはならない。よくよく反省すべきである。
女性が柔和に過ぎて、亭主がやりたい放題となり、家計が破綻することに気付かない時でもある。
○大きな果物(大きな成果)があるのに、人が食べない(人々が用いない)ので、木に吊る下がっている(何もせずに存在している)ような(有益なことを活用できない)時である。
○男性が女性に制御(コントロール)される時である。
○江戸時代ならば大奥、現代ならば事務方のトップに出世して、将軍や政治家に寵愛され、実権を握っている時である。
○武士なら剣、町人なら棒、女性なら針に関連した占いである。
○色恋沙汰で苦しみ悩む時である。

上九 ―‥‥ ‥‥‥ (山地剝)之卦 二坤爲地
上九。碩果不食。君子得輿、小人剝廬。
○上九。碩(せき)果(か)食われず。君子は輿(くるま)を得、小人は廬(ろ)を剝(はく)す。
 上九の君子(上流階級の一部の人々・一部の人格者・神仏)は一陽(君子)が五陰(小人)の上に在るから大きな果物に喩(たと)えることができる。衆陰がこれを食べようとするが、超然と山頂に隠居している上九の君子(上流階級の一部の人々・一部の人格者・神仏)は、小人の姦(かん)謀(ぼう)の及ぶところではない。如(い)何(か)に世が乱れ、小人が蔓延(はびこ)っても、正義の種は亡びることなく、何時かはまた勢いを得るのが天理である。
 乱が極まれば民は泰平を願うので、上九の君子(上流階級の一部の人々・一部の人格者・神仏)は民に崇(あが)められ、大きな車の上に載せられる。君子(上流階級の一部の人々・一部の人格者・神仏)は小人を覆(おお)い庇(かば)う屋根のような存在だから、小人が君子を剝(はく)落(らく)すればさらに世は乱れ、小人も安(あん)閑(かん)としていられなくなるのである。
象曰、君子得輿、民所載也。小人剝廬、終不可用也。
○象に曰く、君子は輿(くるま)を得とは、民(たみ)の載(の)せる所(ところ)也(なり)。小人は廬(ろ)を剝(はく)すとは、終(つい)に用(もち)う可(べ)からざる也。
 小象伝は次のように言っている。上九の君子(上流階級の一部の人々・一部の人格者・神仏)は民(たみ)に崇(あが)められ、大きな車の上に載せられる。天下泰平を願う多くの民が推(お)し戴(いただ)いて、上九の君子(上流階級の一部の人々・一部の人格者・神仏)を車に載せるのである。
小人が君子(上流階級の一部の人々・一部の人格者・神仏)を剝落すればさらに世は乱れ、小人も安(あん)閑(かん)としていられなくなる。天の運行は循環して必ず正しい道に復(かえ)るので、小人が君子(上流階級の一部の人々・一部の人格者・神仏)を陥(おとしい)れても、終(つい)にはその姦(かん)謀(ぼう)を遂(と)げることはできないのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)一つしかない果実を大切に保護して、人に食べられないようにするべきである。国家の存亡は陰陽消長の循環、人智の及ばない天の道であるが、人事を尽くして天命を待つのが君子のやり方である。
「碩(せき)果(か)食(くら)われず。一陽が五陰の上に在るから大きな果物に例える。衆陰がこれを食べようとするが、超然と山頂に隠居して、小人の姦(かん)謀(ぼう)の及ぶところではない」。
すなわち、超然と山頂に隠居して、小人の姦謀から逃れなければ、遂には、言葉にならない惨状を見る。
○崩壊していく。 ○首が飛ばされる。  ○上り詰めて落ちていく。
○初爻の時から身に迫ってきた災害により剥落して地に墜ちる時。
○行き止まる時。 ○邪なものが正しい道を侵食する。