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易経(周易)を読み解く 七八(山地剝 全体)

二三 山(さん)地(ち)剝(はく) ―‥‥艮山 ‥‥‥坤地
互卦 二坤爲地  綜卦 二四地雷復  錯卦 四三澤天夬
剝、不利有攸往。
○剝(はく)は往(ゆ)く攸(ところ)有るに利(よろ)しからず。
 剝は陰気が増長して盛んになり陽気を押し出す(一陽五陰の)時。下から漸次長じてきた陰氣が浸食する力に山が剝ぎ落とされて平地になる(下流・中流・上流の一部が皆、腐敗・堕落してしまい、極めて少数の上流階級の人だけが道を守っている)ように、君子(陽爻)が小人(陰爻)に(一陽五陰まで)追い詰められてしまった。
 人事に当て嵌めた場合、このような陰陽消長の流れの中で、君子(極めて少数の上流階級の人や人格者)は積極的に行動してはならない(積極的に行動すればあっという間に追い詰められる)。陰氣が浸食する時勢に順い止(とど)まって、様子を窺(うかが)うべきである。

彖曰、剝剝也。柔變剛也。不利有攸往、小人長也。順而止之。覿象也。君子尚消息盈虚。天行也。
○彖に曰く、剝は剝(は)ぐ也。柔剛を變(へん)ずる也。往(ゆ)く攸(ところ)有るに利(よろ)しからず、小人長ずれば也。順にして之(これ)に止(とど)まる(之を止める)。象を覿(み)る也。君子は消(しよう)息(そく)盈(えい)虚(きよ)を尚(たつと)ぶ。天(てん)行(こう)也(なり)。
 彖伝は次のように言っている。剝とは剝ぎ落とすこと。陰柔の勢いが盛大になり(下流・中流・上流の一部に及び)、陽剛(極めて少数の上流階級の人)を剝ぎ落とすのだ。陰柔が漸(ぜん)次(じ)に進み、陽剛を変じて陰柔に化するの(一陽五陰の時)である。
 下から漸次長じてきた陰氣が浸食して山が剝ぎ落とされ平地になるように、君子が小人に追い詰められている。このような陰陽消長の流れの中で、君子(極めて少数の上流階級の人や人格者)は積極的に行動してはならない(積極的に行動すればあっという間に追い詰められる)。時勢に順い止まって様子を窺うべきである。
 小人の勢いが甚(はなは)だ増大しているからである。下卦坤の性質は順・上卦艮の性質は止である。君子(極めて少数の上流階級の人や人格者)はこの卦象を観(み)て、宜しく時に順い止まる〔或いは、陰柔を止める〕のである。君子(極めて少数の上流階級の人や人格者)は陰陽消(しよう)息(そく)〔隆盛と衰退〕盈(えい)虚(きよ)〔充実と空虚〕の理法を尊重・順応し、進むべき時には進み、退くべき時には退く。陰陽消(しよう)息(そく)盈(えい)虚(きよ)の循環は、天地自然の運行である。

象曰、山附於地剝。上以厚下安宅。
○象に曰く、山(やま)地に附(つ)くは剝なり。上以て下を厚くし宅(たく)を安(やす)んず。
 大象伝は次のように言っている。高く聳(そび)え立つ山が剝(はく)落(らく)して大地にへばりついている(下から漸次長じてきた陰氣が浸食する力に山が剝ぎ落とされて平地になる)のが剝の形である。人の上に立つ者は、この形を陰陽消(しよう)息(そく)盈(えい)虚(きよ)の循環だと心得て、君子たる己は質素倹約に努め、小人たる下(しも)々(じも)には厚く施(ほどこ)して、自分(君子)の地位を安定させるのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)小人が増長し君子が困窮する時。女性が時を得て、男性を軽蔑する。何事も成就しない。小人や女性に気を付けて、身の安全を図り、時が一変するのを待つべきである。巧言令色の輩が君子を装う時。
○一見、下は厚く上は重いので、安静に見えるが、薄情で人を剥奪しようと企(たくら)んでいる。
○「智恵や配慮に欠ける」「人に欺される」など、後悔することが多い。
○女性が才能と智恵を具えて、男性を軽蔑する。
○剥とは、剥落すること。山が崩れて大地に埋もれる時。
○進んで行っても事は成就しない。進み行けば失敗する。
○志は高いが分不相応なので、後悔することが多い。
○何かを削り取られる時。 ○何かが尽きる時。
○何事も零落する(落ちぶれる)時である。
○進んで事を為すと失敗する。退くと利益が得られる。
○家財を失う(手放す)ことになる時。
○小人が君子を欺き迫害し、下位の者が上位の者を欺き迫害する。
○人に欺され、財産を奪われないように、守りを固める時。
○物価は一時高止まりして、後に下落する。