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易経(周易)を読み解く 四四(地天泰 四五上)

六四 ‥‥‥ ――― 之卦 三四雷天大壯
六四。翩翩不富、以其隣。不戒以孚。
○六四。翩(へん)翩(ぺん)たり。富(と)めりとせずして其(そ)の隣を以(もつ)てす。戒(いまし)めずして以(もつ)て孚(まこと)あり。
 柔順正位で君主(トップ)の側近である六四は、泰平が頂点を極めて折り返し地点を過ぎた時に大臣の位に居る。賢人初九を抜擢し泰平を維持すべく、鳥が群がり飛んで行くように下に降る。その位を誇ることなく、同類の六五・上六と連なって謙虚な気持ちで賢人初九に謙(へりくだ)る。自戒せずとも至誠ゆえ初九の信頼を得る。
象曰、翩翩不富、皆失實也。不戒以孚、中心願也。
○象に曰く、翩(へん)翩(ぺん)として富(と)めりとせずとは、皆、實(じつ)を失えば也。戒(いまし)めずして以(もつ)て孚(まこと)ありとは、中(ちゆう)心(しん)願う也。
 小象伝は次のように言っている。六四の大臣が賢人初九に謙るのは、統治者である六四・六五・上六は、虚心で富貴を求めないからである。自戒せずとも至誠ゆえ初九の信頼を得るのは、統治者(六四・六五・上六)が心の底から天下泰平を願うからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)貴方は目下の人に質問することを恥ずかしいと思わず、聖人が遺した言葉をよく学び、よく謙遜する立派な人物である。その貴方が知識が豊富で智恵がある人と共に事業を企画して誠実に事を進める。周りの人から信用を得られるようになれば、貴方の願望は成就する。
○保有している権力が徐々に弱くなっていく。
○知識豊富で智恵がある人物に何かを委任する。
○私利私欲から離れ、公に奉ずることを希望すべきである。

六五 ‥‥‥ ――― 之卦 五水天需
六五。帝乙帰妹。以祉元吉。
○六五。帝(てい)乙(いつ)、妹を帰(とつ)がしむ。以て祉(さいわい)あり。元吉。
 六五は柔中の德を具えて天子の位に居る。泰平が頂点を極めて折り返し地点を過ぎ世の中が傾こうとしている時にあって、己の力不足を知り、昔の王様(殷(いん)の帝(てい)乙(いつ))が自分の妹を格下の諸侯に嫁がせたように、虚心で賢人九二に治国を一任する。
 それゆえ天下泰平を維持することができる。臣民の幸福は続き、国は大いに栄える。
象曰、以祉元吉、中以行願也。
○象に曰く、以て祉あり元吉とは、中にして以て願いを行なう也。
 小象伝は次のように言っている。臣民の幸福は続き、国は大いに栄える。
 柔順にして中庸の德を具えた六五の天子(トップ)が、心の底から泰平の維持を願って、賢臣九二に治国を一任するからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)王さまが妹を格下の諸侯に嫁がせたと云う。目下の人々の中から、誠実で信用できる者を抜擢して、自分の願いを実現する時である。
○貴婦人が謙遜して格下の家に嫁ぐ時。
○私利私欲を捨てて虚心になり、知恵の優れた人物に事を託する時。
○宮仕えしている人が、仕事における器量を十分に具えていながら、今は安泰な時なので、その器量を存分に発揮する機会がない時。
○智恵や知識に優れた部下を得られる時。
○神仏のご加護によって幸を賜る時。

上六 ‥‥‥ ――― 之卦 二六山天大畜
上六。城復于隍。勿用師。自邑告命。貞吝。
○上六。城(しろ)隍(ほり)に復(かえ)る。師(いくさ)を用(もち)ふる勿(なか)れ。邑(ゆう)より命(めい)を告(つ)ぐ。貞(てい)なるも吝(りん)。
 上六は泰が否に移行する時である。堀を掘削して築き上げた城壁が崩れ落ちて堀が平地に復るように泰平の時は終焉しようとしている。
 上下君臣の情が交わらず、民心が離反した時に兵力を用いてはならない。最早動乱を鎮撫することはできない。天下に政令を発布しても無駄である。自分の領地内で政令を命ずる他ない。政令が如何に正しくても、天下泰平を保つことができなかったのである。統治者としては恥ずべきことである。
象曰、城復于隍、其命亂也。
○象に曰く、城隍に復るとは、其の命亂るる也。
 小象伝は次のように言っている。泰平の時は終焉しようとしている。民(みん)心(しん)が離(り)反(はん)して、天下泰平の天命が攪(かく)乱(らん)して機能しなくなったのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)家庭や事業(組織)が転覆する予兆が現象として現われる時。できるだけ慎むように心がけて、事を為そうとしてはならない。
この段階に至る前に、やがては、この段階に至ることを予測しておき、予め備えておけば、いざ、この段階に至った時の防御ができる。
予め備えておかないのは、喉が渇いてから井戸を探し、火事になってから水源を探すように愚かなことである。この段階に至る前に、この段階に至ることを想定して防御策を講じておけば、いざという時に、オロオロと狼狽して右往左往するようなことにはならない。
○安泰の時が窮まって、閉塞の時に移行し始めた時。家庭や事業(組織)は崩れ落ちはじめる。
○部下や目下の人に、アゴで使われる予兆がある。
○信用が失墜して、命令が通じなくなってくる。