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六十四卦の概要 雷澤帰妹

五十四 雷澤帰妹 ☳ ☱

 雷澤帰妹は何をやろうとしても自分が思った通りには絶対にできない時である。衰運であり嫌な時である。けれども人生、自分が思った通りにできることなどほとんどないのである。そういう意味から雷澤帰妹を捉えるならば、自分の思い通りにならない現実と如何に折り合いを付けるかと云う時である。
 人生を雷澤帰妹に重ねて考えると次のようになる。そもそも出生自体が自分の思い通りにならない。両親を選ぶこともできないし、国家や人種や経済状態などを選ぶこともできない。必然的にある国家のある人種のある経済状態のある両親からこの世に生まれ出てくるのである。自分の思いとは全然関係のないところで、選択の余地なく生まれてくるのである。生まれてきたことを「よし」とするしかないのである。
 わたしたちがこの世に生まれてから死ぬまで様々な経験をする。その経験のほとんどが自分の思い通りにならない経験である。両親を選べない。兄弟を選べない。親戚を選べない。近所に住んでいる人々を選べない。何もかもが自分の思い通りにはならないことばかりである。自分の思い通りになることなど、長い人生の中で数えるほどしかないのである。
 以上のように考えると雷澤帰妹から学ぶことは多い。自分の思い通りにならない時に如何に対処すればよいかが雷澤帰妹には書いてある。卦辞・彖辞に「帰妹は往(ゆ)けば凶。利(よろ)しき攸(ところ)无(な)し。/雷澤帰妹の時は、自分の思い通りに何かをやろうとしても、何一つ自分の思い通りにはならない。自分が満足することなど何一つないのである。」とある。まぁ人生大体こんなものであろう。
 人生のステージごとに雷澤帰妹を当て嵌めてみると、次のようになるであろう。
○出生から幼児期
 国家を選べない。家の経済状態を選べない。両親を選べない。男性女性の別を選べない。兄弟を選べない。親戚の人を選べない。近所に住んでいる人(友だち)を選べない。保育園を選べない。保育園の先生を選べない。保育園の友だちを選べない。幼稚園を選べない。幼稚園の先生を選べない。幼稚園の友だちを選べない。
○青年期
小学校を選べない。選んでも試験で落ちることもある。小学校の先生を選べない。小学校の友だちを選べない。選んでも嫌われることもある。以下、中学も同様、高校も同様、大学も同様である。