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易経(周易)を読み解く 四五(天地否 全体)

十二 天(てん)地(ち)否(ひ) ―――乾天 ‥‥‥坤地
互卦 五三風山漸  綜卦・錯卦 十一地天泰
否之匪人。不利君子貞。大往小來。
○之(これ)を否(ふさ)ぐは人に匪(あら)ず。君子の貞(てい)に利(よろ)しからず。大往(ゆ)き小來(きた)る。
 否は上下君(くん)臣(しん)交わることなく閉塞する時。人間社会においては、あらゆる事象が閉塞する否の時は人の道に反することが横行闊歩する。君子が正しい道を固く守っても、この閉塞状態をどうすることもできない。
 天(君主・トップ)は上(外)に在り、地(臣下・臣民・民・部下)は下(内)に在る。天地陰陽(上下君臣・上司と部下・夫婦・親子等あらゆる関係)交わることなくあらゆる事象が閉(へい)塞(そく)する。

彖曰、否之匪人、不利君子貞、大往小來、則是天地不交萬物不通也。上下孚交天下无邦也。内陰而外陽、内柔而外剛、内小人而外君子。小人道長、君子道消也。
○彖に曰く、之(これ)を否(ふさ)ぐは人に匪(あら)ず、君子の貞に利しからず、大往(ゆ)き小來(きた)るとは、則(すなわ)ち是(こ)れ天地交わらずして萬(ばん)物(ぶつ)通ぜざる也。上下交わらずして天下に邦(くに)无(な)き也。内は陰にして外は陽、内は柔にして外は剛、内は小人にして外は君子。小人の道長(ちよう)じ、君子の道消(しよう)する也。
 彖伝は次のように言っている。否は天地陰陽(上下君臣・上司と部下・夫婦・親子等あらゆる関係)交わることなく閉(へい)塞(そく)する時である。天地の氣が交わらない(陰陽結合による創造活動が行われない)ので萬(ばん)物(ぶつ)は生成化(か)育(いく)しないのである。
 上下君臣(政府と民衆・上司と部下・親と子)の意志が疎(そ)通(つう)しないので国家(を始めとするあらゆる組織)の体(てい)を成さない。
 内側(下卦)の陰氣が徐々に盛んになり、外側(上卦)の陽氣は徐々に衰退する。内面(下卦)は柔弱なのに外面(上卦)は剛健を装っている。小人が要職を独占して君子は閑(かん)職(しよく)に追いやられる。小人が跋(ばつ)扈(こ)して、君子の道は消滅する。

象曰、天地不交否。君子以德儉辟難、不可榮以祿。
○象に曰く、天地交わらざるは否(ひ)なり。君子以(もつ)て德を儉(つづまやか)にし難(なん)を辟(さ)け、榮(えい)するに祿(ろく)を以(もつ)てす可(べ)からず。
 大象伝は次のように言っている。天地陰陽交わらず萬(ばん)物(ぶつ)は閉(へい)塞(そく)し、小人が跋(ばつ)扈(こ)して、世の中が乱れ崩壊に向っていくのが否の形である。
 君子はこの形に倣(なら)って、己の道德才能を上手に包み隠して、小人が招き寄せる災難に近付いてはならない。君子を禄(ろく)位(い)(富や名誉)で誘惑することはできないのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)君子が志を実現できない時。才能を隠して、表舞台から退き、正しい道を守ることが肝要である。
○物事が大きく塞がり(閉塞し)衰運甚だしい時。慎むべきである。
○万事閉塞状態に陥って、どうにもこうにもならない。
○陰陽消長の循環の中で陰が長じて小人が跋扈する時。
○正しい事が通らないので「人に匪(あら)ず。人の世に非(あら)ず」と云う。人として、してはならないことをしてしまう。
○生活に苦労する。生活が困難になる時。
○正しい言行が通じない時。
○万事閉塞して、志を失いかねない時。
○商人にとっては、売買共に損失を出す時。それゆえ、「大往(ゆ)き小来(きた)る。天地陰陽(上下君臣)交わらず、閉(へい)塞(そく)・逼(ひつ)迫(ぱく)する」と云う。
○物品の動き(商流・物流等)が滞る。
○いくら苦労しても、衰運の時ゆえ、安心できない。呼吸ができないような苦労をする。
○内面は善からぬ状況なのに、外面は善き人物を取り繕っている。
○小人が跋扈して、君子が困窮する。
○小人が徒党を組んで国家を混乱に陥れる。
○和合できない時、親睦できない時。
○家族の円満や組織の調和が維持できない。
○物事が成就しない。 ○損失が発生する。
○何か善からぬモノが迫ってくる。 ○物事が乖離する。
○多かれ少なかれ、万事衰退する。