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易経六十四卦と本書(時の物語)の関係 11

三十一.若い男女が出逢う時     百四十九頁   澤山咸 ☱☶
三十二.共に成長していく時     百五十三頁   雷風恒 ☳☴
三十三.逃げるが勝ちの時      百五十八頁   天山遯 ☰☶

三十一澤山咸 ☱ ☶ 兌上艮下  若い男女が出逢う時 百四十九頁
 澤山咸☱☶から下経(かけい)が始まる。上経(じようけい)が大きな物語として「天地の道」を示したのに対して、下経(かけい)は小さな物語として「人の道」を示している。「人の道」は若い男女の出逢いから始まる。澤山咸は若い男女が出逢って結ばれる時の物語である。
 いくら男がその気になっても女が男を受け容れてくれなければ男女は結ばれない。卦象を見ると、坤☷(女の気持ち)の中で、乾☰(男)の存在がどの程度の地位を占めているかが分かる。澤山咸の卦象は女の気持ち(・・・)の中で男の存在(☰)が高い地位にある(・☰・・)ことを示している。

三十二雷風恒 ☳ ☴ 震上巽下  共に成長していく時 百五十三頁
 若い男女が出逢って結ばれる澤山咸☱☶の次には、結ばれて結婚した男女が幾久しく共に歩む雷風恒☳☴が置かれている。上経(じようけい)が陰陽の働き(天地の道)を示すために、乾為天☰☰と坤為地☷☷から始まるように、下経(かけい)は男女の働き(人の道)を示すために、澤山咸☱☶と雷風恒☳☴から始まるのである。
 澤山咸は若い男女の出逢いに例えられる。あらゆる人間の行為は陽と陰の出逢いから始まる。陽と陰の出逢いから始まった事が継続すれば物事が成就する。それが雷風恒の時である。
 雷風恒は女性が家庭を守り、男性が外で働くという形になっている。上卦下卦は外卦内卦とも云う。外卦震☳の男性が家の外で働いて(震の奮い動く性質)生活費を稼ぎ、内卦巽☴の女性が男性が財布の紐を握って家計を支える。

三十三天山遯 ☰ ☶ 乾上艮下  逃げるが勝ちの時 百五十八頁
 天山遯は小人(陰)の勢いがどんどん盛んになる時なので、君子(陽)は小人(陰)に真正面から立ち向かってはならない。陰陽消長卦の循環で捉えると、盛運の流れに乗り上限の乾為天☰☰の時が終わり、小人(陰)が最下に入り込んで天風姤☰☴の時になると衰運の流れに転ずる。さらに小人が下に入り込み天山遯の時になると、君子(陽)が立ち向かって行けないほどに小人(陰)の勢いが盛んになり、六十四卦の中で最も閉塞逼迫して途方に暮れる天地否☰☷の時に向かって行く。その後、風地観☴☷→山地剝☶☷とどんどん沈んで行き、下限の坤為地☷☷に至る。