雷火豊の卦象を下から追っていくと次のようになる。下卦離☲の明智・明德で大盛運がやってくる。二三四爻の互体巽☴の風が吹いて大盛運(吉運)は一転して大衰運(凶運)となり、巽の「隠れる、迷う、不決断、疑う、失念、偽る、騙す、多欲」などの性質で人々はもがき苦しむことになる。下卦離の主爻に五爻の暗君が啓蒙され、三四五爻の互体兌☱の「調和、潤い、恵み、笑う、悦ぶ」などの性質によって、再び名君となって大衰運(凶運)は大盛運(吉運)に転じて、人々は幸せになる。
ところが最後の最後に上卦震☳の極点で行き詰まり、再び大衰運(凶運)に転じて二度と立ち直れないような結末を迎える。
以上が雷火豊の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。
豐、亨。王假之。勿憂。宜日中。
○豐(ほう)は亨る。王、之(これ)に假(いた)る。憂ふる勿(なか)れ。日(ひ)の中(ちゆう)するに宜し。
豐は盛運(吉運)の極み。明らかな智慧(下卦離)で世の中の状況や情勢を見極めて、雷(らい)光(こう)が轟(とどろ)き渡(わた)るように動いている(上卦震)。それゆえ、何事も盛んに伸びて国や社会は豊かになる。権威と権力を兼ね備えたトップ(リーダー)が到達する豊かさの極みである。盛者必衰の理(ことわり)を過度に心配することはない。
中天に輝く太陽になったつもりで萬民を遍(あまね)く照らすことが肝要である。だが、盛運(吉運)は衰運(凶運)に向かって行くことを覚悟しておくべきである。以下省略。