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人生に役立つ易経 火山旅

 火山旅の卦象を下から追っていくと次のようになる。これから見知らぬ土地で一定の期間(最低一年・最長一生)旅をしたり仕事や生活をすることになった人は、下卦艮☶の「静かに止まる、丁寧、節度を保つ、篤実である」などの性質で見知らぬ土地の人々に接する第一段階である。
 第一段階を経たら二三四爻の互体巽☴の「巽順、すっと入る、自分から話しかける、交際が広い」などの性質で見知らぬ土地の人々との人間関係を構築していく。これが第二段階である。
 第二段階を経たら、互体三四五爻兌☱の「会話、調和、笑う、悦ぶ、楽しむ」などの性質で見知らぬ土地の人々との人間関係を深めていく。これが第三段階である。
 そして最後は上卦離☲の「明るい、明智・明德、明瞭、輝く、学問、名誉、名声、美しいもの、文化的なもの」などの性質で見知らぬ土地の人々から信頼され、もはやよそ者ではなく、地元の人・仲間としてその土地に永住する。これが最終段階である。

 以上が火山旅の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。

旅、小亨。旅貞吉。
○旅(りよ)は小(すこ)しく亨(とお)る。旅は貞(ただ)しければ吉。
 旅(りよ)は旅(たび)する時である。旅を広く捉えれば、長期出張や単身赴任等も一種の旅である。
 旅は火(上卦離)が山(下卦艮)の上に在る。山(移動することがない宿に例える)は動かず火(常に移動する旅人に例える)は燃え移るので旅に例えて物語はできている。
 旅人は見知らぬ土地を旅するので何事にも慎重である。すなわち、止まるべき所に止まり(下卦艮)、明智(上卦離)で適切に対処しようとする。それゆえ、小さな事なら成就する。旅人が旅の時の正しい道(止まるべき所に止まること)を固く守れば、幸運を招き寄せることができる。以下省略。