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人生に役立つ易経 風澤中孚

 易経の経文には「孚」という言葉が何度も出てくる。「孚有り」と云う言葉は五水天需(結果を待つ時)、九風天小畜(十翼剛を制する時)、風地観(将来の方向性が見える時)、雷天大壮(もの凄い勢いで物事が成就する時)、澤火革(抜本的に社会や組織を変革する時)で使われている。
 八水地比(みんな仲良くする時)には「初六、孚有りて之に比(した)しめば、咎无し。孚有りて缶に盈つれば、終に来たりて他有り、吉。/初六は真心に満ち溢れて相手と仲良くするので、何も問題は起こらない。初六の真心は質素な器に酒が溢れ出るようである。やがて、天子からご褒美を賜る。吉運の極みである」とある。
 一七澤雷随の九四には「孚有り道に在りて以て明らかならば、何の咎かあらん。/至誠の心で道を歩み、明智で機微(きび)を察すれば、咎められない。」と、九五には「嘉に孚あり。吉。/至誠の心で順うので幸を得る。」とある。三七風火家人には「孚有りて威如たり。終には吉なり。/真心と威厳を兼ね備えている。終には吉運を招き寄せる。」とある。四二風雷益の六三には「孚有りて中行あり。/至誠の心と中庸の德を兼ね備えている。」とあり、九五には「孚有りて恵心あり。/至誠の心と慈しみの心を兼ね備えている」「孚有りて我が德を恵みとす。/至れる誠が有るから、慈しみの心が溢れ出ている。」とある。四三澤天夬の卦辞・彖辞には「孚ありて号べども厲きこと有り。/至誠の心で高らかに訴えても、小人はしたたかなので危険が伴う。」とある。四五澤地萃初六には「孚有れども終えず。/真心があっても迷っていては駄目である。」とある。同じく澤地萃と四六地風升には「孚あれば乃ち禴(やく)を用うるに利し。/真心があれば外面を飾る必要はない。お供え物が少ない夏祭りのように倹約するがよい。」とある。四八水風井の上六には「孚有りて元いに吉なり。/真心で清水を施せば大いに幸を得る。」とある。四九澤火革の卦辞・彖辞には「孚あり。元いに亨る。/至誠の心があるから変革が大いに成就する。」とあり、九四には「孚有りて命を改むれば吉なり。/至誠の心で革命を成し遂げれば吉運を招き寄せる。」とある。
 以下、現代語訳は省略する。五五雷火豊には「孚有りて発若たれば、吉なり」とある。五八兌為澤には「孚ありて兌ぶ」とある。そして六一風澤中孚と九風天小畜には「孚有りて攣如たり」とある。六四火水未済には「孚有りて吉なり」「孚有りて于(ここ)に酒を飲む、咎むし」とある。

 以上が風澤中孚の概要である。以下省略。