毎日連載! 易経を中心に日本の心に関する情報を毎日アップしています。

易経(周易)を読み解く 四十(天沢履 初二三)

易経(周易)を読み解く

初九 ――― ‥―― 之卦 六天水訟
初九。素履。往无咎。
○初九。素(そ)履(り)す。往(ゆ)くも咎无し。
 初九は剛健正(せい)位(い)(陽爻陽位)だが貧(ひん)賤(せん)で低い地位に在(あ)る。応じる相手(目をかけてくれる上司)もなく、孤独なので誰からも束縛・牽制されることなく、貧(ひん)賤(せん)で低い地位に素直に順って自らを得る。それゆえ、何を爲(な)しても咎められない。
象曰、素履之往、獨行願也。
○象に曰く、素(そ)履(り)の往(ゆ)くは、獨(ひと)り願いを行(おこな)ふ也。
 小象伝は次のように言っている。貧(ひん)賤(せん)で低い地位に素直に順って自らを得る(素行自得)。今の立場を素直に受け容れて、それ以上を願わないのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)本業に専念して、それに満足し、他人のことを羨ましがってはならない。小さな善行を積み上げて、善い人間になろうと望むべきである。メッキが剥がれるような善行を為し遂げようとしてはならない。
礼儀作法を大切にして、心を正しく、善き行いを積み上げれば、立身出世する予兆がある。
○漸次に積み上げるべきである。急激に事を成し遂げようとしてはならない。
○微力で弱い。人から虐待されることがある。
○目上の人を畏れる(畏れなければならない)時である。

九二 ――― ‥―― 之卦 二五天雷无妄
九二。履道坦坦。幽人貞吉。
○九二。道を履(ふ)むこと坦(たん)坦(たん)たり。幽(ゆう)人(じん)は貞にして吉。
 九二は不正(陽爻陰位)だが中(ちゆう)庸(よう)を得ており才德(才能と人徳)を具えている。だから、世に超然として坦(たん)坦(たん)と道を履(ふ)み行う。
 毀(き)誉(よ)褒(ほう)貶(へん)に心奪われず、従(しよう)容(よう)として世捨て人のように振る舞い、私利私欲から離れていれば、幸運を招き寄せる。
象曰、幽人貞吉、中不自亂也。
○象に曰く、幽(ゆう)人(じん)は貞にして吉とは、中(ちゆう)にして自ら亂(みだ)れざる也。
 小象伝は次のように言っている。毀(き)誉(よ)褒(ほう)貶(へん)に心奪われず、従(しよう)容(よう)として世捨て人のように振る舞い、私利私欲から離れていれば、幸運を招き寄せる。
 中(ちゆう)庸(よう)の道をよく守り、富(ふう)貴(き)や栄(えい)達(たつ)に心乱さないからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)事を為して直ぐに結果を出そうとすれば、思ってもいなかった災難を招き寄せる。静かに時機が到来するのを待つべきである。
履は、元来、順調に事を為し遂げられる時である。直ぐに結果を出そうと急いではならない。順序を履んで事を成し遂げるが宜しい。
○履み行く道は危険だが、柔順に付き従って行けば、終には成就する。
○私利私欲に惑わされず、固く正しい道に履み従うべきである。危険な目に遭遇するが傷付くことはない。遂には吉運を得る。
○一人毅然として正しい道を守る時。
○人に恭しくして、敬する心を大切にすれば、自分の身を修めることができる。 ○家業を分担する時。
○所有物を紛失する心配がある。思わぬ損失が生じる時である。
○慎みの心を決して忘れてはならない。

六三 ――― ‥―― 之卦 一乾爲天
六三。眇能視、跛能履。履虎尾咥人。凶。武人為于大君。
○六三。眇(すがめ)にして能(よ)く視(み)るとし、跛(あしなえ)にして能(よ)く履(ふ)むとす。虎の尾を履(ふ)む。人を咥(くら)う。凶。武(ぶ)人(じん)大(たい)君(くん)と爲(な)る。
 六三は剛健だが不中正でやり過ぎる性格である。才德(才能と人德)が不足しており大事を成す器ではないが、そのことを全く自覚していない。
 自分は目が不自由なのに物事がよく視え、その上、足が不自由なのに遠くまで歩いていけると思っている。己の力を過信して大事業を企て妄進して虎の尾を履む。
 虎の逆鱗に触れ、虎に食われて失脚する。六三は自ら禍(わざわい)を招いて自滅したのである。放(ほう)恣(し)な武人が横(おう)行(こう)闊(かつ)歩(ぽ)して、無謀にも九五の大(たい)君(くん)に喧嘩を売ったのである。
象曰、眇能視、不足以有明也。跛能履、不足以與行也。咥人之凶、位不當也。武人為于大君、志剛也。
○象に曰く、眇(すがめ)にして能(よ)く視(み)るとするも、以て明(めい)有るに足らざる也。跛(あしなえ)にして能(よ)く履(ふ)むとするも、以て與(とも)に行くに足らざる也。人を咥(くら)うの凶は、位(くらい)當(あた)らざる也。武人大君と為るは、志剛なる也。
 小象伝は次のように言っている。目が不自由なのに物事がよく視えるはずがないではないか。足が不自由なのに遠くまで歩いていけるはずがないではないか。
 虎の逆鱗に触れ、虎に食われて失脚し禍を招いて自滅したのは、才德(才能と人德)乏しい小人が剛位(三爻・現場の長の位)に居るからである。
 放(ほう)恣(し)な武人六三が横(おう)行(こう)闊(かつ)歩(ぽ)して無謀にも九五の大君に喧嘩を売ったのは、強暴な野心野望を志と勘違いしているのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)勢いに乗じ、自分の才能を過信して妄動する。大きく道を踏み外す時である。万事、温和な心で人に接し、人と論争してはならない。そうでなければ、自ら災難を招き寄せる。よくよく慎むべきである。
○小さな事を大袈裟に論じて、自分の分を超えた大望を企画・実行しようとする。出来もしない大言を吐いて、馬鹿なのに利口ぶって、慎むことを知らない。愚かな人物が己の力を過信して虎の尾を履み、虎に食われる。大きな危険が自分の身に迫っている。
○能力もないのに、昇進や転職を望んで、結局、そのために苦労することになる。人から馬鹿にされる。
○能力がない人が過分な扱いを受けて人から嫉(ねた)まれる。予測できないような災難に遭遇する。