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六十四卦の概要 風天小畜 天澤履

九風天小畜 ☴ ☰

 地水師、水地比と一陽五陰の卦が続いた。風天小畜と次の天澤履は一陰五陽の卦である。一陽五陰の卦は一陽が剛健だから五陰を従える事が出来る。いわば力業で治めるのである。それに対して一陰五陽の卦は一陰が柔順だから全体を制御することができる。柔よく剛を制するのが一陰五陽の卦である。風天小畜は柔よく剛を制する典型的な時である。一陰が四爻に位置している。四爻は五爻の側近である。側近がやんわりと全体を制御する時である。また、五爻は四爻の力を借りれば全体を治めることができるので四爻を大切にする。見た目は五爻が四爻の力を借りて全体を治めているように見えるが、五爻は四爻にやんわりと制御されているのである。四爻はそのことを五爻に覚られてはならない。陰が陽を制御していることを表に出してはならないのである。以下省略

十天澤履 ☰ ☱

 天澤履は一生懸命頑張る人は報われるが、自己過信して頑張らない人は命を落としかねない時である。天澤履の時は五爻のカリスマ経営者が独裁体制を敷いている。だれも五爻に逆らうことはできない。逆らえば首を切られてしまう。だからみんな必死で頑張る。頑張るから本来の自分の力以上の結果を出すことができる。首を切られないように必死で頑張るから報われるのである。
 けれども、下卦兌☱の主爻(主)である三爻は自分の力を過信している。兌☱には「口達者、佞人、腰砕け」という意味がある。自分は陰爻陽位で力不足なのに、自覚していない。三爻は下卦の上位に居るから現場の長である。下の二陽に支えられて何とかその役割を果たしている。けれども自分の力で現場を動かしていると勘違いしている。だから、みんなが必死で取り組んでいるのに、自分は必死にならない。自分には力があるから大丈夫だと思い上がっている。だから独裁者であるカリスマ経営者に目を付けられて失敗しようものなら殺されるような仕打ちを受ける。そのことを「虎の尾を履む」と言う。
 三爻には三つの性質がある。一つは下卦兌☱としての性質。一つは二三四爻の互体離☲としての性質。もう一つは三四五爻の互体巽☴としての性質である。
 離☲の性質である「明智・明德」を生かして物事をよく考え、巽☴の性質である「巽順・教化」を生かして善き教えに巽順に従えば「虎の尾を履む」こともないであろう。だが、一陰五陽の一陰である三爻は柔よく剛を制することができるはずなのに、天澤履の三爻はそれができずに虎の尾を履んでしまうのである。以下省略