十一地天泰 ☷ ☰
地天泰は易経六十四卦の中で最も安定した時である。上卦坤☷の「柔順、承ける、載せる、容れる、滋養、謙虚、貞節、包む」という性質が上から降ってくる。下卦乾☰の「剛健、寛大、円満、健全、純粋、正直、誠信」という性質が下から昇ってくる。上下がしっくり交わって物事が安定する。これ以上安定している象(かたち)はない。誰もが安らぎ楽しみゆったりとくつろいでいる。
強い者が下に居て、上に居る弱い者を支えている。強い者として理想的な在り方である。日本国民を大御宝(おおみたから)としてその幸せを祈り続けておられる天皇陛下のような在り方である。
日本の国は神武天皇によって始まった。日本書紀によれば紀元前六百六十年の二月十一日のことである。以来、令和五年の現在に至るまで百二十六代の天皇陛下が日本国民の幸せを祈り続けて今日に至る。誠に有り難いことである。他国では考えられない僥倖(ぎようこう)である。これが地天泰の時である。わたしたちはこのような僥倖(ぎようこう)に感謝しなければならない。下卦乾☰に支えられて、上卦坤☷は伸び伸びと活動することが出来る。下卦乾☰が支えてくれるから、伸び伸びと活動できるのである。そのことを忘れてはならない。以下省略
十二天地否 ☰ ☷
天地否☰☷は地天泰☷☰がひっくり返った形である。地天泰は六十四卦の中で最も安定した時だったが、ひっくり返った形の天地否は六十四卦の中で最も不安定な時、閉塞する時、逼迫する時である。天地否は物事の盛衰を表す陰陽消長卦において最も盛運の乾為天☰☰と最も衰運の坤為地☷☷の真ん中に位置している。 まさしく衰運のど真ん中に在るのが天地否である。上卦乾☰は上に向かって進み、下卦坤☷は下に向かって進む。陽と陰が正反対の方向に向かって進むので何事も交わらない。何事も成就しない。世の中には小人(悪しき人々)が蔓延(はびこ)って君子(善き人々)は身の置き場がない。そんな絶望的な状況が天地否の時である。あらゆる物事が閉塞・逼迫しているから活路を見出すことも出来ない。衰運の中で只管(ひたすら)忍耐するしかないのである。
このような絶望的な状況の中で一体どうすればよいのか。易経は「忍耐せよ」と教えている。忍耐力は人間の強さである。今こそ強い人間になってこの絶望的な状況を堪え忍び、次のステップに備えるのである。以下省略