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易経(周易)を読み解く 百九(天山遯 四五上)

九四 ――― ―‥‥(天山遯)之卦 五三風山漸
九四。好遯。君子吉。小人否。
○九四。好(よみ)すれども遯(のが)る。君子は吉。小人は否(しから)ず。
 九四は剛健不中正(陽爻陰位)。正応初六(陰爻陽位)を愛しているが、不正同士なので宜しくない関係である。今は遁れ退く遯の時だから、私欲(初六への想い)を断ち切って、剛健の德を発揮し隠遁すべきである。
 君子なら遯の時の大義に順って隠遁する。小人は私欲に囚(とら)われて禍(わざわい)を招き寄せる。
象曰、君子好遯。小人否也。
○象に曰く、君子は好(よみ)すれども遯(のが)る。小人は否(しから)ざる也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。九四が君子なら遯の時の大義に順って隠遁する。小人は私欲に囚(とら)われて禍(わざわい)を招き寄せる。貴方が君子か小人か、問われる時である。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)日頃親しくしていても、善からぬ人ならば、人情に絆(ほだ)されずに、断固として交際を断ち切るべし。
○悪しき友との関係を断絶する時である。
○君子は吉運を招くが、小人は吉運を招くことができない。
○好きなことを我慢して災害を回避すべき時。

九五 ――― ―‥‥(天山遯)之卦 五六火山旅
九五。嘉遯。貞吉。
○九五。嘉(よ)く遯(のが)る。貞(てい)にして吉(きつ)。
 剛健中正の九五は遁れ退く時のトップとして柔順中正の六二と相応じている。小人の勢いがどんどん伸びて君子が隠遁を余儀なくされる遯の時に中(あた)り、六二と力を合わせて人事を尽くし、天命に順って、嘉(よ)く(美しく)隠遁するのである。
 その隠遁の仕方は正しく、遁れ退く遯の時(じ)宜(ぎ)に適(かな)っているので、吉祥を招き寄せる。
象曰、嘉遯、貞吉、以正志也。
○象に曰く、嘉(よ)く遯(のが)る。貞(てい)にして吉(きつ)とは、志を正しくする也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。九五の隠(いん)遁(とん)の仕方は正しく遯の時(じ)宜(ぎ)に適(かな)っているのは、小人が跋扈する遯の時に処するに、中正の德を以て正しい志を貫(つらぬ)くからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)富貴な身分ゆえ世事には疎い。目下の人を引き立てるべく努力して、才能がある者を見つけて事を委ねるべし。
正しいやり方を貫けば、幸せを招き寄せて、平安な時が続く。
また、妻子を捨てて、他国へ逃れて、帰ってこない時でもある。
○小人が前に進み、君子は小人を避ける時である。
○危ないところを免れて、幸いを招き寄せる時である。

上九 ――― ―‥‥(天山遯)之卦 三二澤山咸
上九。肥遯。无不利。
○上九。肥(ゆた)かに遯(のが)る。利(よろ)しからざる无(な)し。
 上九は剛健で遯の極点・上卦乾の最上に居(お)り、超然と逍(しよう)遙(よう)自(じ)適(てき)している。応比なく何の柵(しがらみ)もないので、悠然と隠遁することができる。宜しくないことは何一つない。
象曰、肥遯、无不利、无所疑也。
○象に曰く、肥(ゆた)かに遯(のが)る、利(よろ)しからざる无(な)しとは、疑う所无(な)き也。
 小象伝は次のように言っている。上九が悠然と隠遁して宜しくないことは何一つないのは、何の柵(しがらみ)もないので、疑い憂(うれ)えることがないからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)上爻は心広く、身体豊かで、世事には超然としている。いつも飄々として心に悩みなく、何事にも囚われない。大いに宜しきを得て、吉運を招き寄せる時である。
○災難を回避して、安楽の状態に辿り着く時である。