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易経(周易)を読み解く 五六(地山謙 四五上)

六四 ‥‥‥ ―‥‥ 之卦 六二雷山小過
六四。謙撝无不利。(六四。无不利。謙撝。)
○六四。謙を撝(ふる)うに利(よろ)しからざる无し。(六四。利しからざる无し。謙を撝(ふる)う。)
 六四の大臣は天子・トップ(六五)と功臣・出来る部下(九三)の間に居る側近(ナンバーツー)である。上のトップには恭(うやうや)しく謙(へりくだ)って仕(つか)え、下の出来る部下には謙遜して譲(ゆず)る。常に謙(けん)德(とく)を発揮・発(はつ)揚(よう)しているから、いかなる場合も不利益はない。

象曰。謙撝无不利(无不利。謙撝)、不違則也。
○象に曰く、謙を撝(ふる)うに利(よろ)しからざる无し(利しからざる无し。謙を撝(ふる)う)とは、則(のり)に違(たが)わざる也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。常に謙(けん)德(とく)を発揮・発(はつ)揚(よう)しているから、いかなる場合も不利益はない。六四の在り方が、天の道(則)に適(かな)っているからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)地位は高いが実力はない。部下の才能と知恵を用いて事に対処するがよい。
○部下の中から、才能がある人材を抜擢任用して、自分の職務を補佐(代行に近い内容で)してもらう時である。
○地位が低く、野に埋もれている君子を抜擢任用して、共に事を成し遂げようとする。

六五 ‥‥‥ ―‥‥ 之卦 三九水山蹇
六五。不富以其鄰。利用侵伐。无不利。
○六五。富(と)めりとせずして其(そ)の鄰(となり)を以(もつ)てす。用(もつ)て侵(しん)伐(ばつ)するに利(よろ)し。利(よろ)しからざる无し。
 六五の天子・トップは富(ふう)貴(き)や権威に由(よ)らず謙德で接するから下(しも)々(じも)は帰服する。相談役の上六、側近の六四と共に世を統(す)べ、九三の君子を信任して世を治める。
 それでも帰服しない者(暗に九三を指している)があれば、武力で征伐するしかない。ならば万事順調で宜しきを得るであろう。

象曰、利用侵伐、征不服也。
○象に曰く、用て侵伐するに利しとは、服せざるを征する也。
 小象伝は次のように言っている。それでも帰(き)服(ふく)しない者(暗に九三を指している)があれば、武力で征(せい)伐(ばつ)するしかない。(組織の運営を任せている者に)天子・トップが謙德で接しても帰服しないのであれば、権威を発動して武力で抑えるしか方法はないのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)人の上に立ち、あまりにも謙遜するので、下の者に侮(あなど)られることが心配される時。
断固とした処置を下せば、今の地位を長く維持することができる。優柔不断であれば、下から突き上げられてその地位を維持することが難しくなる。
○君主が、あまりにも謙遜し過ぎれば、下から突き上げられる。場合によっては強硬手段に出るべきである。
○君位に在りながら、驕り高ぶることなく、部下を慈(いつく)しんで恩恵を施そうとする。立派なことだが、それでも君主に従おうとしない臣下が居れば、武力で征伐すべきである。
○上の者の寛大な処置に甘えて、仕事を怠る部下に対しては、厳しく懲らしめるべきである。
○義理と人情を大切にするあまり、財産を失うことがある。
○困窮している人を救出すべき時である。

上六 ‥‥‥ ―‥‥ 之卦 五二艮爲山
上六。鳴謙。利用行師征邑國。
○上六。鳴謙す。用て師(いくさ)を行(や)り邑(ゆう)國(こく)を征するに利し。
 上六は柔順卦(か)極(きよく)で謙を極(きわ)め、功労を誇らない(苦労しても胸を張らない)九三と相応じており、九三の謙德に感(かん)応(おう)してさらに謙遜し、己の謙德に磨きをかけようとしている。
 上六は六五を補佐する老師(相談役)ゆえ、その謙德を用いて自分の領地内に軍隊を出動させ、六五に帰服しない悪人(君子を全うできなかった九三)を征伐するがよい。

象曰、鳴謙、志未得也。可用行師征邑國也。
○象に曰く、鳴謙すとは、志未だ得ざる也。用て師を行り邑國を征す可き也。
 小象伝は次のように言っている。上六が九三の謙德に感応してさらに謙遜するのは、謙德を極(きわ)めようとしている上六の志が未だ成(じよう)就(じゆ)していないからである。
 上六は六五を補佐する老師(相談役)として、その謙德を用いて自分の領地内に軍隊を出動させ、六五に帰服しない悪人(君子を全うできなかった九三)を征伐する役割を担っているのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)家族の中に驕り高ぶっている人がいたら、その人を抑制して、身を修め家を齊(ととの)えることの大切さを教え導く時である。
君子が人を教え導く時は、先ずは自分を正しくしなければならない。常に自分の言行を省みて、自らその言行を治めることを善しとする。
○自らの才徳を包み隠して、陰德を積み上げ、君徳を磨くべく、心から発(ほつ)願(がん)する時。