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易経(周易)を読み解く 七七(山火賁 四五上)

六四 ―‥‥ ―‥― 之卦 三十離爲火
六四。賁如、皤如、白馬翰如。匪寇婚媾。
○六四。賁(ひ)如(じよ)たり皤(は)如(じよ)たり、白(はく)馬(ば)翰(かん)如(じよ)たり。寇(あだ)するに匪(あら)ず婚(こん)媾(こう)するなり。
 六四は下卦離(文明と明智)を離れて上卦艮(止まる)の始め、質素に復る時である。柔正の德を得て大臣(側近)の位に在り、剛健初九と力を合わせて華美に過ぎる風俗を白生地のように改めようとする。徒歩で貧賤の位に服している初九を求める六四の思いは切実であり、白馬に乗って初九のところへ馳せ参ずる。
 比する九三を仇(あだ)のように憎んでいるのではない。初九と一緒になって共に力を合わせ、華美に過ぎる風俗を(文飾から質素へ)改めようとしているのである。
象曰、六四當位疑也。匪寇婚媾、終无尤也。
○象に曰く、六四は位(くらい)に當(あた)りて疑う也。寇(あだ)するに匪(あら)ず婚(こん)媾(こう)するなりとは、終(つい)に尤(とが)无(な)き也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。質素に復る時の始めに居る六四は陰爻陰位の正位だが、華美に過ぎる風俗をどのようにして質素に改めればよいかと迷っているのである。
 比する九三を仇(あだ)のように憎んでいるのではない。共に力を合わせて、華美に過ぎる風俗を質素に改めようとしているのである。初九と力を合わせて、文飾から質素へと方向を改めるので、終には咎を免れるのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)陽剛九三は、陰柔の六四が自分よりも高い位に居ることを羨ましく思って、六四に結婚を申し込む。九三は六四を憎んでいるわけではない。そこで、結婚を承諾すれば、終には咎なきを得る。
○六四と応爻である初九が、共に飾り合って志を同じくする時である。

六五 ―‥‥ ―‥― 之卦 三七風火家人
六五。賁于丘園。束帛戔戔。吝終吉。
○六五。丘(きゆう)園(えん)を賁(かざ)る。束(そく)帛(はく)戔(せん)戔(せん)たり。吝(りん)なれども終(つい)に吉(きつ)。
 六五は柔順で中庸の德を備えた天子(トップ)である。華美な文飾を好まず、丘(きゆう)陵(りよう)の田園で農業に従事して民(民衆)の苦労を知り、倹約の美德で臣(しん)民(みん)(部下と民衆)を風化しようと志す。予算を倹約するため賓(ひん)客(かく)への進物や臣下への俸(ほう)禄(ろく)を削減する。
 以上のようであるから、一時は吝(りん)嗇(しよく)と謗(そし)られて君主(トップ)としての尊(そん)厳(げん)を失うけれども、終(つい)には国家(組織)を泰平に導いて天下萬(ばん)民(みん)を化(か)成(せい)する(善き人間へと導く)。
象曰、六五之吉、有喜也。
○象に曰く、六五の吉は、喜び有る也。
 小象伝は次のように言っている。六五の天子(トップ)は、一時は吝(りん)嗇(しよく)と謗(そし)られて君主(トップ)としての尊(そん)厳(げん)を失うけれども、終(つい)には国家(組織)を泰平に導いて、天下萬(ばん)民(みん)を化(か)成(せい)する。虚飾よりも実質を重視して臣(しん)民(みん)(部下と民衆)の心を豊かに風化することが天子(トップ)の喜びなのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)衣食住の全てを節約すべきである。人と交際するに中って自分を飾り立てることなく誠実であることが肝要である。
○君子は種を蒔いても収穫することが難しいことを知っている。小人は人に依存することも知っている。君子は常にこのようでなければならない。己を修めることが何より肝要である。
○男は男としての正しさを、女は女としての正しさを得る時。
○蒔いておいた種が花を開き、実を結ぶ時である。
○(質素な)庭園を好むような(精神的に豊かな)時である。
○貧しい人がお金持ちを装って、財産を騙し取ろうとする。
○礼節を大切に、奢侈を避けて、倹約するので、終には吉運を得る。

上九 ―‥‥ ―‥― 之卦 三六地火明夷
上九。白賁。无咎。
○上九。白く賁(かざ)る。咎(とが)无(な)し。
 陽剛の賢人上九は、文飾が華美に流れれば窮することになる賁の時の終りに居る。
 高邁な志を抱いて隠(いん)遁(とん)し、剛にして屈せず、止まって動かず、文飾を残らず取り去って天地自然の本質(無我の境地)に復る。
 人為の装飾は一(いち)毫(ごう)もなく、虚飾を咎められるようなことは微塵もない。
象曰、白賁、无咎、上得志也。
○象に曰く、白く賁(かざ)る、咎(とが)无(な)しとは、上(うえ)、志を得る也。
 小象伝は次のように言っている。人為の装飾は一(いち)毫(ごう)もなく、虚飾を咎められるようなことはない。最上に居る上九が文飾を残らず取り去って天地自然の本質に復れば、下々は自然に風化される。すなわち上九の志が実現するのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)艮の篤実な性質に則り、誘惑に打ち勝ち、私心を捨て、善行を積み上げれば、苦悩せずとも、自然と国は治まり家は斉(ととの)う。
○文明開化の中に在ると、華美に流れやすい。論語に礼を重んじるには「驕(おご)ることなく、倹約せよ」とあるが、才能や智恵を用いるより、徳行を重んじるべき時である。
○車に乗らず徒歩で行くことによって、ともすれば驕り高ぶりかねない気持ちを戒めることが肝要である。