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易経(周易)を読み解く 七六(山火賁 初二三)

初九 ―‥‥ ―‥― 之卦 五二艮爲山
初九。賁其趾。舍車而徒。
○初九。其(そ)の趾(あし)を賁(かざ)る。車を舍(す)てて徒(と)す。
 初九は賤(いや)しい位(くらい)に居る剛健正位の君子である。その位(趾(あし))に素(そ)して事を行い自得する。俗人(小人)は徒歩を恥じて車に乗るが、初九の君子は恥じることなく徒歩を貫(つらぬ)く。
象曰、舎車而徒、義弗乘也。
○象に曰く、車を舍(す)てて徒(と)すとは、義として乘らざる也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。俗人(小人)は徒歩を恥じて車に乗る(見栄を張る)が、初九の君子は恥じることなく徒歩を貫く。
 富(ふう)貴(き)に惹(ひ)かれて(見栄を張って)車に乗ることは、君子の道義に反するからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)剛健で正しく明るい性格の賢人だが、野に埋もれている。車にも乗れず徒歩で苦労する。名誉を得ることは望まずに、持ち場を大切にすべきである。今はまだ福運は到来しない。
○社会を治める名門の家に仕えているが、その家に権力に、内心不安を感じている。仕事をしていると、辞めてしまおうかという気持ちがふつふつと湧いてくるが、それが希望につながる。
○車に乗らずに徒歩で行く。その篤実な行為が世間に知られる。

六二 ―‥‥ ―‥― 之卦 二六山天大畜
六二。賁其須。
○六二。其(そ)の須(あごひげ)を賁(かざ)る。
 柔順中正の六二は、剛健正位の九三と相比している。互体震(三四五)と上卦艮で山雷頤の卦ができる。九三は山雷頥の初爻なので下(した)頤(あご)である。六二は下顎である九三の下に生えた鬚(あごひげ)である。鬚(あごひげ)は自力で動けないから下(した)頤(あご)の動きに従うように、六二(柔)は九三(剛)に従って自(じ)修(しゆう)自(じ)得(とく)するのである。
象曰、賁其須、與上興也。
○象に曰く、其(そ)の須(あごひげ)を賁(かざ)るとは、上と與(とも)に興(おこ)る也。
 小象伝は次のように言っている。鬚(あごひげ)である六二は自力では動けないから下(した)頤(あご)(九三)の動きに従うように、六二(柔)は九三(剛)に従って自(じ)修(しゆう)自(じ)得(とく)する。
 上に居る九三に従い剛柔相(あい)待(ま)って賁の道(文飾)を完成させるのである。(九三が君子ならば六二は君子の影響を受ける。九三が小人ならば六二は小人の影響を受ける。)

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)ヒゲを飾って体裁を取り繕う。上位の人と交際し、知識を身に付けて身を立てよう(出世しよう)とする時。
○頭に髪の毛が生えているのは自然のこと、人為的に飾っているわけではない。このようなことなら、咎められない。知識を身に付けて、人脈を築き上げれば、事を成し遂げることができる。
○ヒゲを生やして見た目を飾り、人に順う時である。

九三 ―‥‥ ―‥― 之卦 二七山雷頤
九三。賁如、濡如。永貞吉。
○九三。賁(ひ)如(じよ)たり濡(じゆ)如(じよ)たり。永(えい)貞(てい)にして吉(きつ)。
 九三は剛健正位で文明と明智の極致(下卦離の最上)に居るから、「きらきら」と輝き、「つやつや」と潤っている。但し、過ぎたるところがある(三の位に在る)ので、調子に乗りかねないので、常に自分を戒めて正しい道(程よい文飾)を固く守るが宜しい。
象曰、永貞之吉、終莫之陵也。
○象に曰く、永(えい)貞(てい)の吉(きつ)は、終(つい)にこれを陵(しの)ぐ莫(な)き也。
 小象伝は次のように言っている。九三は過ぎたるところがある(三の位に在る)ので、常に自分を戒(いまし)めて正しい道(程よい文飾)を固く守るが宜しい。
 九三が正しい道(程よい文飾)を固く守れば、終(つい)に誰もが九三を軽んじ侮ることができなくなる。もし、正しい道(程よい文飾)を固く守ることができずに、過飾(過ぎたる文飾)に向かえば、人から軽んじられ侮られることになる。(実(まこと)に恥ずかしいことである。)

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)剛い性質で不中正の九三が時を得て、上下の陰に飾られる。銅銭が金メッキで飾られているようなもの。長く人徳を守り物事に溺れることがなければ、吉運を招き、その地位を失うようなことはない。
この時に中って、賁の虚飾を省略し、正しいことを固く守って、長く人の道を踏み外さなければ、吉運を招くという占いである。
○高尚な言葉を発するが、志はグラグラしている。
○温和であれば物事が成就する。 ○上下交わって飾り合う。