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四季と易経 その九

水沢腹堅(さわみずこおりつめる)(七十二候の七十一候)

【新暦一月二十五日ころから二十九日ころまで】
 意味は「沢に氷が厚く張りつめる(絵で楽しむ)」である。
 「絵で楽しむ」には次のように書いてある。
 最低気温の記録が聞かれる時季でもありますが、日照時間は少しずつ長くなっています。

 「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」は、易経・陰陽消長卦の「地(ち)澤(たく)臨(りん)」九二に中る。次に「地澤臨」九二の文章(爻辞と小象伝)を示す。
 「地澤臨」九二の言葉は【新暦一月二十五日ころから二十九日ころまで】に当て嵌まる。

地澤臨九二(易経・陰陽消長卦)

《爻辞》
○九二。咸(かん)臨(りん)す。吉(きつ)にして利(よろ)しからざる无(な)し。
 剛中の賢臣九二は剛健中(ちゆう)庸(よう)で才能と人德高く柔順中庸の六五の天子(トップ)と相応じている。六五の天子(トップ)は賢臣九二の才能と人德に感動する。賢臣九二は六五の天子(トップ)の信任を得て事に臨むから、何事も宜しくして、何の問題も起こらない。
《小象伝》
○象に曰く、咸(かん)臨(りん)す。吉(きつ)にして利(よろ)しからざる无(な)しとは、未(いま)だ命(めい)に順(したが)わざる也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。剛中の賢臣九二は六五の天子(トップ)の信任を得て事に臨むから、何事も宜しくして、何の問題も起こらない。
 賢臣九二が時には六五の天子(トップ)の発する命令に順わず、諫(いさ)めることも辞さない態度で事に中(あた)るからである。

 「地澤臨」九二の之卦は「地雷復」である。次に「地雷復」の全体像を表す言葉(卦辞・彖辞、彖伝、大象伝)と「地雷復」六二の言葉(爻辞、小象伝)を示す。これらの言葉は「地澤臨」九二と同じく【新暦一月二十五日ころから二十九日ころまで】に当て嵌まる。

地雷復(地澤臨九二の之卦)

《卦辞・彖辞》
○復は亨(とお)る。出(しゆつ)入(にゆう)、疾(やまい)无(な)く。朋(とも)來(きた)りて咎(とが)无(な)し。其(そ)の道に反(はん)復(ぷく)し、七日にして來(きた)り復(かえ)る。往(ゆ)く攸(ところ)有るに利(よろ)し。
 復は一(いち)陽(よう)来(らい)復(ふく)して(山地剝の一番上に在った一陽が剝落して、陰爻ばかりの坤為地となった後に、一番下に一陽が復って来て地雷復となり)漸次に陽が長じて行く時である。小人(陰)に剝(はく)尽(じん)された君子(陽)の道が次第に伸び栄えていく(陽が長じていく)。
 陽氣が内に入って長ずるのを害するものはなく、陽氣が集まり次第に伸び栄えるので、過失を犯すこともない。陽氣が天地の道を反復往来(陰陽消長)し、剝尽(陽が消え始めて)から七変化(天風姤、天山遯、天地否、風地観、山地剝、坤為地、地雷復)して、また来復(陽が復って来て長じ始める)する。進んで行って事を為すがよい。
《彖伝》
○彖に曰く、復は亨(とお)るとは、剛(ごう)反(かえ)ればなり。動きて順を以て行く。是(ここ)を以て出(しゆつ)入(にゆう)疾(やまい)无(な)く、朋來りて咎无し。其の道に反復し、七日にして來(きた)り復(かえ)るとは、天(てん)行(こう)也(なり)。往く攸(ところ)有るに利しとは、剛長ずれば也。復は其(そ)れ天地の心を見るか。
 彖伝は次のように言っている。復は一陽来復して漸(ぜん)次(じ)(徐々)に陽が長じて行く時。小人(陰)に剝(はく)尽(じん)された君子(陽)の道が次第に伸び栄えていく(陽が長じていく)。一陽来復して陽の勢いがだんだん盛んになって行くのである。
 動く(下卦震)に順(上卦坤)を以てする(上卦坤の母から下卦震の長男が生まれた)。すなわち天地自然の道に順って動き進み行くから、些(いささ)かも無理なところがない。それゆえ陽氣が内に入って(一番下に陽が復って来て)長ずるのを、害するものはない。志を同じくする陽氣が集まって次第に伸び栄えていくので、過失を犯すこともない。
 陽氣が天道を反復往来し、剝尽(陽が消え始めて)から七変化(天風姤、天山遯、天地否、風地観、山地剝、坤為地、地雷復)してまた来復する(陽が復って来て長じ始める)。天地の自然な運行(天地の道)である。進んで行って事を為すがよい。剛陽の勢いが次第に盛んになって行くからである。一陽来復の時はさながら天地の心を見るようである。
《大象伝》
○象に曰く、雷(らい)地中に在(あ)るは復なり。先(せん)王(おう)以て至(し)日(じつ)に關(せき)を閉(と)ぢ、商(しよう)旅(りよ)行かず。后(きみ)方(ほう)を省(かえり)みず。
 大象伝は次のように言っている。復の時は、雷(下卦震・長男)が大地(上卦坤・母)の中に潜んでいる。未だ微弱な陽氣だから大地(母)の中で着実に力を養っているのである。
 昔の王さまは、復(一番下に陽が復って来た)の形に倣って、一陽来復する(陰氣が最大に達して最も日が短くなった次の瞬間、陽氣が下から復ってきて、漸次に日が長くなって行き始める)冬至の日に関所を閉ざして(経済活動や社会の動きを停止して)商人旅人の足を止め(仕事先から自宅に戻り)、自らの巡幸も休み(日頃の活動をお休みして)、陽氣を養い育てる(冬至占を立て来年の運勢を前知して氣力を養い育てる)のである。

地雷復六二(地澤臨九二の之卦・爻辞)

《爻辞》
○六二。休(きゆう)復(ふく)す。吉。
 柔順中正の六二は賢人初九を師と仰いで德を磨き、継続的に指導を受けて正しい道(仁義礼智信の五常の道)に復(かえ)る。日(ひ)々(び)善(よ)い心が芽生えるので、幸運を招き寄せる。
《小象伝》
○象に曰く、休(きゆう)復(ふく)の吉は、仁(じん)を下(くだ)るを以(もつ)て也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。六二は日(ひ)々(び)善(よ)い心が芽生えるので、幸運を招き寄せる。賢人初九を師と仰いで德を磨き、継続的に指導を受けて正しい道に復(かえ)る(仁義礼智信の五常の道を歩み、仁德を目指して日々精進する)からである。
(四季と易経 その九)