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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 天風姤 一

2022年8月5日

四四 天風姤 ||| ||・

姤、女壯。勿用取女。
□姤(こう)は、女(じよ)壮(さかん)なり。女(じよ)を取(めと)るに用ふる勿(なか)れ。
 姤(こう)は一陰(悪女)が五陽(凡夫)に巧妙に取り入り、あっという間に勢力を増大する時。このような悪女を決して娶(めと)ってはならない。
彖曰、姤、遇也。柔遇剛也。勿用取女、不可與長也。天地相遇、品物咸章也。剛遇中正、天下大行也。姤之時義、大矣哉。
□姤(こう)は遇(あ)ふ也。柔剛に遇ふ也。女(じよ)を取(めと)るに用ふる勿(なか)れとは、與(とも)に長(なが)かる可(べ)からざれば也。天地相(あい)遇(あ)い、品(ひん)物(ぶつ)咸(ことごと)く章(あきら)か也。剛中正に遇へば、天下大いに行はるる也。姤(こう)の時(じ)義(ぎ)大なる哉(かな)。
 姤(こう)は遇う時。一陰(悪女)が五陽(凡夫)と出遇う時である。悪女が凡夫に巧妙に取り入り、あっという間に勢力を増大する。このような悪女を決して娶(めと)ってはならない。悪女は幾久しく身(誠心)を保つことができない。善くも悪くも、陰陽消長して万物は生成発展するのである。剛健中正の德を備えた君子が国を治めれば、天下は大いに平らかになる。姤(こう)の時の意義は何と偉大であろうか。
象曰、天下有風姤。后以施命誥四方。
□天の下に風有るは姤(こう)なり。后(きみ)以て命を施し四方に誥(つ)ぐ。
 天(乾)の下に風(巽)が吹き、遍く地上に風が行き渡るのが姤の形。姤の君主は、命令を発布して天下の隅々にまで行き渡らせ萬(ばん)民(みん)を教化する。今(きん)上(じよう)陛下の詔(みこと)勅(のり)のように…。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)我レ優柔不斷ニシテ、彼レ剛健果決ナリ、故ニ其志相容レズト雖モ、我レ柔順ヲ以テ彼ニ接スルトキハ、遂ニ彼我親和スルノ時トス、且ツ占者ノ善ト不善トニ由リテ、…
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)自分は優柔不断だが、相手は剛健で決断力がある。志は相容れないが、柔順に相手に接すれば、親しみ和合できる時である。
○占った人の善・不善によって、予想もしなかった幸運あるいは災難に遭遇する。
○女難の恐れがある。諂(へつら)いを楽しむ悪癖がある。
○ある時、突然、災難に遭遇する。
○ある組織や社会の中に、侫人がスッと入り込む。
○男が脆弱ゆえ女が活躍する。だが、悪女を嫁に迎えてはならない。
○愛を求めて媚び諂い、相手に尽くして、微笑みかける。
○相手を恐れるが、愛され、色気と口舌に騙されて、悪に染まる。
○すでに悪に染まってしまってから、そのことに気付いて、深く後悔してもどうにもならない。
○物価は、最初は低いが、最後には高くなる。

姤 初六 ||| ||・

初六。繋于金柅。貞吉。有攸往、見凶。羸豕孚蹢蠋。
□初六。金(きん)柅(じ)に繋(つな)ぐ。貞(てい)にして吉。往(ゆ)く攸(ところ)有れば凶を見る。羸(るい)豕(し)孚(まこと)に蹢(てき)蠋(ちよく)たり。
 微(び)賤(せん)な位で、君子を誑(たぶら)かす悪しき小人。金属製の車の止め木に繋いでおくがよい。止め木に繋いで教化すれば悪しき心を正して社会は治まる。止め木に繋がず自由な行動を許せば、君子が誑(たぶら)かされて社会は乱れる。騒がしい豚のように飛び跳ねて、君子を誑(たぶら)かそうと企(たくら)んでいる。
象曰、繋于金柅、柔道牽也。
□金(きん)柅(じ)に繋(つな)ぐは、柔道(じゆうのみち)牽(ひ)けば也。
 金属製の車の止め木に繋いでおく。小人の勢いが盛んになるのを未然に防ぐのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)此爻ハ、我不才ヲ顧ミズ、僥倖ノ福ヲ願フ者ナリ、強テ僥倖ヲ求メントシテ、正人君子ニマデ害ヲ被ラセントス、其行此ノ如クナルトキハ、立ドコロニ凶災アルベシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)自分の能力が足りないことを棚に上げて、わたしは、幸せになれる、幸せになれると願っている侫人である。強く願いを叶えようとして、善人や君子を誑(たぶら)かそうとする。この侫人に誑かされた人は、あっという間に災難を招き寄せる。
○油断すればあっという間に災難を招き寄せる。何事も恐れ慎む心を抱いて、自分の分を守り、事を為そうとは思ってはならない。
○今の時勢と時流とをよく考えて、正しい心で対処すれば、災い転じて福と成すことができる。 ○侫人がスッと入り込んでくる。
○陽が争わずに和順して対応すれば、幸運を招き寄せることもできる。
○女性の力を取り入れれば、成功する。
○巧みな陰謀で、上の人々を誑(たぶら)かそうとする。
○陰がスッと入り込んでくる。陰が静かで正しくあれば幸を招くが、陰が動いて不正ならば、とんでもない災難を招き寄せる。
○小人を戒めて、君子を誑かさないように教え導くことが必要だが、小人を教え導くことができなければ、君子に災難が降りかかることは避けられない。君子はその事を常に頭に入れておき、災難が降りかからないように具えるべきである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治十八年十二月鳥尾得菴居士、來遊セラレ、談、偶々東歐事件ニ及ブ、(中略)子幸ニ其結果ノ如何ヲ筮セヨト、余、謹テ之ヲ筮シ、姤ノ初爻ヲ得タリ、・・・