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期間限定「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 天風姤 一

四四 天風姤 ||| ||・

姤、女壯。勿用取女。
□姤(こう)は、女(じよ)壮(さかん)なり。女(じよ)を取(めと)るに用ふる勿(なか)れ。
 姤(こう)は一陰(悪女)が五陽(凡夫)に巧妙に取り入り、あっという間に勢力を増大する時。このような悪女を決して娶(めと)ってはならない。
彖曰、姤、遇也。柔遇剛也。勿用取女、不可與長也。天地相遇、品物咸章也。剛遇中正、天下大行也。姤之時義、大矣哉。
□姤(こう)は遇(あ)ふ也。柔剛に遇ふ也。女(じよ)を取(めと)るに用ふる勿(なか)れとは、與(とも)に長(なが)かる可(べ)からざれば也。天地相(あい)遇(あ)い、品(ひん)物(ぶつ)咸(ことごと)く章(あきら)か也。剛中正に遇へば、天下大いに行はるる也。姤(こう)の時(じ)義(ぎ)大なる哉(かな)。
 姤(こう)は遇う時。一陰(悪女)が五陽(凡夫)と出遇う時である。悪女が凡夫に巧妙に取り入り、あっという間に勢力を増大する。このような悪女を決して娶(めと)ってはならない。悪女は幾久しく身(誠心)を保つことができない。善くも悪くも、陰陽消長して万物は生成発展するのである。剛健中正の德を備えた君子が国を治めれば、天下は大いに平らかになる。姤(こう)の時の意義は何と偉大であろうか。
象曰、天下有風姤。后以施命誥四方。
□天の下に風有るは姤(こう)なり。后(きみ)以て命を施し四方に誥(つ)ぐ。
 天(乾)の下に風(巽)が吹き、遍く地上に風が行き渡るのが姤の形。姤の君主は、命令を発布して天下の隅々にまで行き渡らせ萬(ばん)民(みん)を教化する。今(きん)上(じよう)陛下の詔(みこと)勅(のり)のように…。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)我レ優柔不斷ニシテ、彼レ剛健果決ナリ、故ニ其志相容レズト雖モ、我レ柔順ヲ以テ彼ニ接スルトキハ、遂ニ彼我親和スルノ時トス、且ツ占者ノ善ト不善トニ由リテ、…
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)自分は優柔不断だが、相手は剛健で決断力がある。志は相容れないが、柔順に相手に接すれば、親しみ和合できる時である。
○占った人の善・不善によって、予想もしなかった幸運あるいは災難に遭遇する。
○女難の恐れがある。諂(へつら)いを楽しむ悪癖がある。
○ある時、突然、災難に遭遇する。
○ある組織や社会の中に、侫人がスッと入り込む。
○男が脆弱ゆえ女が活躍する。だが、悪女を嫁に迎えてはならない。
○愛を求めて媚び諂い、相手に尽くして、微笑みかける。
○相手を恐れるが、愛され、色気と口舌に騙されて、悪に染まる。
○すでに悪に染まってしまってから、そのことに気付いて、深く後悔してもどうにもならない。
○物価は、最初は低いが、最後には高くなる。

姤 初六 ||| ||・

初六。繋于金柅。貞吉。有攸往、見凶。羸豕孚蹢蠋。
□初六。金(きん)柅(じ)に繋(つな)ぐ。貞(てい)にして吉。往(ゆ)く攸(ところ)有れば凶を見る。羸(るい)豕(し)孚(まこと)に蹢(てき)蠋(ちよく)たり。
 微(び)賤(せん)な位で、君子を誑(たぶら)かす悪しき小人。金属製の車の止め木に繋いでおくがよい。止め木に繋いで教化すれば悪しき心を正して社会は治まる。止め木に繋がず自由な行動を許せば、君子が誑(たぶら)かされて社会は乱れる。騒がしい豚のように飛び跳ねて、君子を誑(たぶら)かそうと企(たくら)んでいる。
象曰、繋于金柅、柔道牽也。
□金(きん)柅(じ)に繋(つな)ぐは、柔道(じゆうのみち)牽(ひ)けば也。
 金属製の車の止め木に繋いでおく。小人の勢いが盛んになるのを未然に防ぐのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)此爻ハ、我不才ヲ顧ミズ、僥倖ノ福ヲ願フ者ナリ、強テ僥倖ヲ求メントシテ、正人君子ニマデ害ヲ被ラセントス、其行此ノ如クナルトキハ、立ドコロニ凶災アルベシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)自分の能力が足りないことを棚に上げて、わたしは、幸せになれる、幸せになれると願っている侫人である。強く願いを叶えようとして、善人や君子を誑(たぶら)かそうとする。この侫人に誑かされた人は、あっという間に災難を招き寄せる。
○油断すればあっという間に災難を招き寄せる。何事も恐れ慎む心を抱いて、自分の分を守り、事を為そうとは思ってはならない。
○今の時勢と時流とをよく考えて、正しい心で対処すれば、災い転じて福と成すことができる。 ○侫人がスッと入り込んでくる。
○陽が争わずに和順して対応すれば、幸運を招き寄せることもできる。
○女性の力を取り入れれば、成功する。
○巧みな陰謀で、上の人々を誑(たぶら)かそうとする。
○陰がスッと入り込んでくる。陰が静かで正しくあれば幸を招くが、陰が動いて不正ならば、とんでもない災難を招き寄せる。
○小人を戒めて、君子を誑かさないように教え導くことが必要だが、小人を教え導くことができなければ、君子に災難が降りかかることは避けられない。君子はその事を常に頭に入れておき、災難が降りかからないように具えるべきである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治十八年十二月鳥尾得菴居士、來遊セラレ、談、偶々東歐事件ニ及ブ、(中略)子幸ニ其結果ノ如何ヲ筮セヨト、余、謹テ之ヲ筮シ、姤ノ初爻ヲ得タリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例)明治十八年の十二月、ある居士(禅の修行をしている一般人)がやって来て、東欧事件(ルーメリアの諸州がオスマン帝国に反乱を起こしてブルガリアとの合併を宣言した事件)について占ってほしいと頼まれたので、筮したところ姤の初爻を得た。
 易斷は次のような判断であった。
 現在の欧州各国の情勢は、富国強兵と殖産興業が盛んである。最近では戦争や反乱の傷跡もなくなり、各国の力関係がバランスしている。しかし、完成は未完成に向かい、調和は不調和に向かうのが易の教えである。今回、ルーメリアの諸州がオスマン帝国に反乱を起こして、ブルガリアとの合併を宣言したので、欧州各国は驚いた。
 これを易に当て嵌めると、乾為天の調和が崩れて、一陰が下にスッと入り込んだ天風姤の時に移行したと考えることができる。それゆえ彖伝に「姤(こう)は遇(あ)ふなり。柔剛に遇ふなり。姤は遇う時。一陰が五陽と出遇う時である」とある。
 欧州全体が調和している時、か弱い女性が各国の中にスッと入り込んで、秘かに各国を誑(たぶら)かそうとしている。この企みを表面的に見れば、極めて無謀な企みに見える。しかし、この企みは陰陽消長の循環に従っている。「千丈の堤(大きな堤防)も(ごく小さな)蟻の穴から壊れていく」と云うように、ごく小さなルーメリア諸州が大きなオスマン帝国に刃向かうことは不可能なように見えるが、欧州全体を陰陽消長の循環に当て嵌めると、乾為天の時から天風姤の時に移行したのである。すなわち、ルーメリア諸州の小さな動きは、欧州全体の調和が崩れていくという大きな動きの前兆と云える。
 今回占って得たのは姤の初爻。初爻はルーメリア諸州とブルガリアの二国に相当する。初爻の爻辞に「金(きん)柅(じ)に繋(つな)ぐ。貞(てい)にして吉。往(ゆ)く攸(ところ)有れば凶を見る。羸(るい)豕(し)孚(まこと)に蹢(てき)蠋(ちよく)たり。微(び)賤(せん)な位で、君子を誑(たぶら)かす悪しき小人。金属製の車の止め木に繋いでおくがよい。止め木に繋いで教化すれば悪しき心を正して社会は治まる。止め木に繋がず自由な行動を許せば、君子が誑(たぶら)かされて社会は乱れる。騒がしい豚のように飛び跳ねて、君子を誑(たぶら)かそうと企(たくら)んでいる。」とある。
 初爻は四爻と応ずる関係にある。微弱な二国がオスマン帝国に対抗するためには、応ずる関係にある四爻の支援が必要である。ポイントは四爻をどの国と見立てるかであるが、おそらくロシアが該当すると思われる。だから「金(きん)柅(じ)に繋(つな)ぐ。金属製の車の止め木に繋いでおく」と云っている。この二国を支援する国があったとしても、この二国にはオスマン帝国に対抗する力はないから、無謀に立ち向かっていかずに、足下を固めれば、安全を維持することは可能である。だから「貞にして吉。止め木に繋いで教化すれば悪しき心を正して社会は治まる」と云う。しかし、二国が国力を過信して、妄りにオスマン帝国に刃向かえば、あっという間に滅ばされる。それゆえ「往(ゆ)く攸(ところ)有れば凶を見る。止め木に繋がず自由な行動を許せば、君子が誑(たぶら)かされて社会は乱れる」と云う。
「羸(るい)豕(し)孚(まこと)に蹢(てき)蠋(ちよく)たり。騒がしい豚のように飛び跳ねて、君子を誑かそうと企(たくら)んでいる」とは、欧州全体に対する戒めの言葉である。現在、二国の力は弱くても、乾為天の時はピークを超えて天風姤の時に移行した。弱い動きでも、気が付くと大きな変化が起こっている。この動きを初期の段階で抑えなければ、終に欧州全体の調和が崩れる。
 九二は初六に比している。これを欧州に当て嵌めるとトルコである。九二の爻辞に「包(つと)に魚(うお)有り。咎(とが)无(な)し。賓(ひん)に利しからず。すぐ下にいる初六を苞(つと)に悪魚を包むように封じ込める。初六と親しんでいるように見えるが、悪魚の影響が他に及ばないようにしているのだ。咎められない。苞(つと)に包んだ小人を、他の君子に遇わせてはならない。」とある。
「魚」とは、ルーメリア諸州とブルガリアの二国である。この二国がオスマン帝国に刃向かおうとしているが、元々はトルコの属国である。トルコには、独自の力で二国の反乱を抑えて、他国への影響を食い止める責任がある。二国の反乱を治めることができなければ、二国の勢いは徐々に盛んになって欧州全域に影響するようになる。だから、小象伝に「包(つと)に魚(うお)有りとは、義、賓(ひん)に及ばざるなり。初六を封じ込める。他の君子に遇わせれば、君子の道義に悖(もと)る」と云う。
 九三と初六は応ずる関係でも比する関係でもない。それゆえ今回の事件に直接関係のない国とする。すなわち、ドイツ・オーストリア・フランス・イタリアなどの諸国である。
しかし、唇亡びれば歯も寒いという理屈のとおり、直接的な影響はないとしても、間接的な影響は避けられない。それゆえ爻辞に「臀(とん)に膚(ふ)なし。其(そ)の行くこと次(し)且(しよ)たり。厲(あやう)けれども大いなる咎(とが)无(な)し。初六と出遇うことを欲するが、初六は九二と親しんでいるので、お尻の皮膚が擦りむけたように、落ち着いて座っていられない。進みたいけれどもぐずぐずしている。危険な状態に陥っているが、大きな過失には至らない」と云う。
「臀(とん)に膚(ふ)なし」とは、お尻の骨が突き出て坐ることができないように、近隣諸国にとって、対岸の火事と安心して見ていることはできない。「其(そ)の行くこと次(し)且(しよ)たり」とは、進んで事を処理しようとしても、自分の国の事ではないので、何もすることができずに、悶々としている状態を云う。だが、自分の国の事ではないので直接的な被害は受けない。このことを「厲(あやう)けれども大いなる咎无し」と云う。
九四は初爻の正応であり、ルーメリア諸州とブルガリアの二国に応じて事を起こした国である。おそらくロシアが該当する。
 九四の爻辞に「包(つと)に魚(うお)なし。起(た)てば凶。正応初六を九二がすでに封じ込めてしまった。そこで、九四の苞(つと)には魚(初六)はいない。九二は初六の悪影響が他の君子に及ばないように封じ込めたのだ。その真意を推(お)し量(はか)れずに、九二と争えば禍(わざわい)を被(こうむ)る」とある。これは、ロシアとルーメリア諸州・ブルガリアの二国の関係を現している。本来、この関係はしっかりしたものだったが、この二国に隣接するトルコに邪魔され、ロシアはこの二国をトルコに奪われたと感じている。国土拡大を謀るロシアとしては、この二国を自国の配下に置きたいが、ロシアの謀(はかりごと)が実現すれば、欧州全域の治安が悪化するので、ロシアはジッと見守っているしかない。このことを「包(つと)に魚(うお)なし。起(た)てば凶。正応初六を九二がすでに封じ込めてしまった。そこで、九四の苞(つと)には魚(初六)はいない。九二は初六の悪影響が他の君子に及ばないように封じ込めたのだ。その真意を推(お)し量(はか)れずに、九二と争えば禍(わざわい)を被(こうむ)る」と云う。
 九五は剛健中正で尊位に居る。この爻をイギリスとする。イギリスは富国強兵を実現し、海軍の力が他国の追随を許さない。九五の爻辞に「杞(き)を以て瓜(うり)を包む。章(あや)を含む。天より隕(お)つる有り。君子を誑(たぶら)かす初六が瓜(うり)の蔓(つた)が伸びるように迫ってくる。高木の杞(き)柳(りゆう)(川柳・かわやなぎ)のような寛大さで包み込む。剛健中正の德を内に含んで泰然自若。初六は九五の度量の大きさに恐れ入って退散する」とある。「瓜(うり)」とは、初六のルーメリア諸州・ブルガリアの二国を指す。「以て瓜(うり)を包む」とは、九二のトルコが二国を包容して、その反乱を他国に及ぼさないことを云う。「章(あや)を含む。天より隕(お)つる有り」とは、イギリスが、各国と協議した上でトルコに勧告して、二国の内乱を治めさせることを云う。
 欧州全体を一つと見立てた場合、盟主はイギリスである。イギリスには欧州の平和を維持する責任がある。だから、イギリスは可能な限りトルコを支援して、ルーメリア諸州・ブルガリアの二国の反乱を鎮定しなければならない。それゆえ、大象伝に「后(きみ)以て命を施し四方に誥(つ)ぐ。姤の君主は、命令を発布して天下の隅々にまで行き渡らせ萬民を教化する」と云う。イギリスのビクトリア女王が四方の大国に命令を発して、紛争を裁くのである。姤は「女(じよ)壮(さかん)なり」という内容なので、イギリスの女王の権威が諸国に及ぶのである。
 上九は無冠の地位。この爻をアジア・アメリカなどの諸国と見立てる。これらの国々には直接東欧事件の影響はないが、世界は通商貿易でつながっているので、経済的な影響は避けられない。それゆえ「其(その)角(つの)に姤(あ)ふ。頭のてっぺんにある角(つの)のような傲慢な態度で初六に出遇う」と云う。その経済的な影響が具体的にどういうものかは分からないが、決して良い影響ではない。マイナスな影響が及ぶことは避けられない。その影響による吉凶禍福は予測できない。欧州の国々の目が内向きになれば、東洋の国々にとってはプラスの面も出てくる。それゆえ「吝(りん)。咎无し。初六に誘惑されることもない。結果として過失には至らない」と云う。
 以上の易斷から、東欧事件は、最初は小さな出来事でも、陰陽消長の循環は天命であるから、初期の段階でうまく治めなければ、その影響はどんどん大きくなり、欧州全体の不調和につながっていきかねないと占断できる。
 この占いを依頼した居士は、この易断を聞くと表情をこわばらせて、何も言わなかった。
(易占の結果は書いてない。)

姤 九二 ||| ||・

九二。包有魚。无咎。不利賓。
□九二。包(つと)に魚(うお)有り。咎无し。賓(ひん)に利しからず。
 すぐ下にいる初六を苞(つと)に悪魚を包むように封じ込める。初六と親しんでいるように見えるが、悪魚の影響が他に及ばないようにしているのだ。咎められない。苞(つと)に包んだ小人を、他の君子に遇わせてはならない。
象曰、包有魚、義不及賓也。
□包(つと)に魚(うお)有りとは、義、賓(ひん)に及ばざるなり。
 初六を封じ込める。他の君子に遇わせれば、君子の道義に悖(もと)る。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)人信實ヲ表シテ、懇信ヲ求ム、容レザル可ラズ、然レドモ訪問應答ノ禮、菲薄ノ贈物ハ可ナリト雖モ、過分ノ厚贈ニ至テハ、宜しく注意セザル可ラズ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)誠実そうな人から懇親を求められれば、応じないわけにはいかない。その人から頂く贈り物が少ない場合は問題ないが、過分な贈り物を頂いた場合は、注意しなければならない。このようなやり方で、善からぬ事を企(たくら)む輩(やから)がいるからである。
○君子が小人に接するに中って、時に寛大に、時に厳格に、怨むことなく畏れる気持ちを抱きつつ、決して慣れ親しんではならない。
○今は微少であっても、将来は大きな悪に至る存在を、抑制するのは自分である。抑制に失敗すれば、悪が周辺に及ぶ。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)某甲來リテ、運氣ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ、姤ノ第二爻ヲ得タリ、
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例)ある人がやって来て、運氣を占ってほしいと頼まれたので、筮したところ姤の二爻を得た。
 易斷は次のような判断であった。
 姤は一陰が五陽に接する時。これを人間社会に当て嵌めれば、一人の女性が五人の男性と交際して、一人の女性の魅力に五人の男性が虜(とりこ)になる時である。
 今回占って姤の二爻を得た。貴方は他人の持ち物を保管していたが、これを私用してしまい、持ち主から返せと請求された。だが、巧みに口実を設けて、請求を却下し、ついに自分の物にしてしまった。このことを「包(つと)に魚(うお)有り。咎无し。賓(ひん)に利しからず。すぐ下にいる初六を苞(つと)に悪魚を包むように封じ込める。初六と親しんでいるように見えるが、悪魚の影響が他に及ばないようにしているのだ。咎められない。苞(つと)に包んだ小人を、他の君子に遇わせてはならない。」と云う。しかし、その持ち物は、後日必ず持ち主の手に渡る。自分がやったことは、自分に返ってくる。因果応報の法則であると易断した。
(占いを依頼した)ある人は、この易断に感謝して帰って行った。
 後日、伝え聞くところによると、ある人の知人の商人が奥さんを家に残して、一ヶ月で帰ると伝えて故郷の信州を訪ねた。所用により滞在が長引き四ヶ月後に帰宅すると、何と奥さんはある外国人の妾となっていた。奥さんは商人の留守中、衣食に窮して、しかも実家の父母が思わぬお金が必要となったことから、奥さんの父母は外国人から大金を借り入れた。そのお金を返せなければ、商人の元に帰ることはできないという。
 そこで商人は、奥さんを帰して欲しいと外国人と話し合ったが、外国人は奥さんの父母と相談した上だと応じない。この事件は(占いを依頼した)ある人と奥さんと外国人が商人に秘密裏に企てたことであった。そのことに気付いた商人がある人と談判したが、外国人に借りた大金を立て替えたことを口実にある人は商人の奥さん(他人の持ち物)を自分の妻(自分の物)とした。
 その後、ある人は病死して財産は全て(商人の)妻の物(持ち物は、後日必ず持ち主の手に戻る。自分がやったことは自分に返ってくる。因果応報の法則である)となった。