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易経 繋辞下伝を読み解く 第五章 四

子曰。小人不恥不仁。不畏不義。不見利不勸。不威不懲。小懲而大誡、此小人之福也。易曰。履校滅趾。无咎。此之謂也。
○子曰く、小人は不仁を恥じず、不義を畏れず、利を見ざれば勧(すす)まず、威(おど)さざれば懲りず。少しく懲らして大いに戒むるは、此れ小人の福なり。易に曰く、「校(あしかせ)を屨(は)いて趾(あし)を滅(やぶ)る。咎无し」と。此れの謂(いい)なり。
 孔子は次のように言っている。
「小人(普通の人)は人を思いやる心(仁)が足りなくても、恥ずかしいとは思わない。大義や正義(義)に背いた事をしでかしても畏れる心を持たない。自分が得すること(利)でなければ、積極的にやろうと思わない。御法度や刑罰を用いて上から威圧しなければ、懲りずに何度も悪行を重ねる。悪さをしでかしたら少し懲らしめて、大いに反省させ、心を改めることは、小人(普通の人)が幸福になることを願ってのことである。
 火雷噬嗑(|・|・・|邪魔者を懲らしめる時)の本文に「刑罰を用いられる側の初九が悪事を働いたので足(あし)枷(かせ)をはめられて身動きが取れなくなる刑罰を受けた(初九。校を屨いて趾を滅る)。初期の段階(小悪)ゆえ、反省して行動を改めれば更生できる(咎无し)」と書いてあるのは、このことを言っているのである。

善不積。不足以成名。惡不積。不足以滅身。小人以小善爲无益而弗爲也。以小惡爲无傷而弗去也。故惡積而不可掩。罪大而不可解。易曰。何校滅耳。凶。
○善、積まざれば、以て名を成すに足らず。悪、積まざれば、以て身を滅ぼすに足らず。小人は小善を以て益无しと為して為さざるなり。小悪を以て傷(そこな)う无しと為して去らざるなり。
 故に悪積もりて掩う可からず。罪大にして解く可からず。易に曰く、「校(くびかせ)を何(にな)いて耳を滅(やぶ)る。凶なり」と。
 小さな善行をコツコツと積み上げていく努力を怠れば、名声を得ることなどできない。また、小さな悪行でも、それを性懲りもなく繰り返して、大きな悪行に及ばなければ、身を滅ぼすまでには至らない。小人(普通の人)は、小さな善行をコツコツと積み上げても、得することは何もないと半ば馬鹿にして、善行を積み上げることをしない。また、小さな悪行を性懲りもなく繰り返しても、誰にもわかりやしないと甘く見て、反省しようとしない。
 それ故、小さな悪行が積もり積もって大悪と成り果てて、世間を誤魔化すことができなくなる。その罪は途轍もなく大きくなり、どうにも、免れることができない窮境に追い込まれる。
 火雷噬嗑(|・|・・|邪魔者を懲らしめる時)の本文の最後に「上九は刑罰を執行する噬嗑の卦の極点に居り、極悪非道の罪で首枷を嵌められ、耳が潰れるほどの刑罰を受ける(校を何いて耳を滅る)。言うまでもなく凶(凶なり)」とあるのは、このことである。